第17話 褒賞
ベジタル王国・王都
ヤオはイサヤ戦役の功績を認められ、褒賞を貰いにベジタル王国の王都に来ていた。
そして王都の商店街。
ヤオは珍しい品の数々に感心していた。
「さすが王都だなぁ。見たこともない商品でいっぱいだ」
「いろんな服があるわね。あれなんかあたしに似合うんじゃないかしら?」
「ガウー!(食べ物いっぱい!)」
三人で賑やかな街を見歩いていく。
「おっこれなんか珍しい野菜だな。新しい野菜転生できるかな?」
「ヤオは野菜ばっかりね。私と一緒に出歩く服も必要でしょ?これなんかどうかしら?」
「ガウー(串肉美味しい)」
通りの武器屋やマジックアイテム屋も覗く。
「鞭かーこれは良さそうね」
「何に使うんだそんなもん」
「もちろん不届き者をしばくのよ」
「ストレージバックか。収納に良さそうだな」
「マジックアイテムは高いけど利便性は高いわよ」
ハイドラは袋を取り出して、
「魔晶将軍の懐から大量に質の高い魔晶石を頂いたからね、予算は気にしなくていいわ」
そんな感じで昼間を過ごし、
夕方。
ヤオは王城で王に合う最低限の礼儀作法を学んでいた。
「で、王が出席したら顔を伏せ、王が面を上げよと言ったら顔を上げてください」
「わかりました」
「では謁見の間へどうぞ」
王城・謁見の間
だだっ広いカーペットの上で陛下を待つ。
その間、周囲のひそひそ声に耳を傾ける。
「あれが魔王軍を撃退した八百屋?うわ顔立ちなんてほんとに八百屋だ」
「魔王軍をほぼ完封勝ちしたってね。イサヤ領主の采配のおかげじゃね?」
「なんでも魔導兵器の使い手とか。野菜の。ぷっ、うくくく」
ハイドラが後ろから声をかけてくる。
「ヤオ、落ち着いて」
「大丈夫だ。言ってることは事実だからな」
「ガウー(失礼な奴らなのです)」
そうこうしてるうちに文官が声を上げる。
「陛下御出席!」
ヤオは片膝をつき頭を垂れる。
王がしずしずと王座に座り声を発する。
「面を上げよ」
俺はそこで初めて王の姿を見る。
壮観で威厳があり豊かな髭を蓄えている。
まだまだこれから活躍を見せる世代だ。
「ヤオよ此度の働き、まこと見事であった」
「陛下からのお言葉、光栄至極にございます」
「1000匹の魔王軍を撃退した功績、何者でも成せるものではない。褒賞を遣わす」
「ありがたき幸せ」
王の隣の文官が金貨の入った袋を手渡し、勲章をヤオの胸に付ける。
「魔王軍をも退けたそなたの魔導兵器があれば、天下統一も夢ではない。今後のヤオの働きに期待するぞ」
え?何言ってんだこのオヤジ。
野菜を対人兵器に使う?
ヤオは感情を押さえて、
「この身を砕き、微力を尽くします」
とだけ答えた。
「ではお主の為に宴を用意してある。今宵は存分に楽しむがよい」
「ははっ」
夜・パーティ会場
立食形式の会場で、
「本当にお美しい。お名前を聞かせて頂けませんか?」
「あらいやですわ。名乗るほどの身分でも御座いませんので」
「ぜひ私と踊っていただけませんか?」
ハイドラの周りに人だかりが出来ていた。主に男性の。
ヤオはそいつ飛竜だぞ、という言葉をぐっと飲みこむ。
俺の周りには若いというか幼い貴族の男子が集まっていた。
「魔王軍撃退の話を聞かせてください!」
「野菜で完封したというのは本当ですか!?」
目を輝かせながら聞いてくる。
俺は適当に相手をし、
「ガウガウ!(美味しい!)」
自由奔放なミミを眺めていた。
深夜・迎賓館の寝室
「おい、起きろハイドラ」
「なーに?夜這い?あなたいい度胸してるわね」
「違うって!ここを出るぞ」
「こんな時間に?あなた夜逃げでもするの?」
「そうだよ」
評価して頂いた方、ブクマして頂いた方、本当に有り難うございます!m(_ _)m
やる気を補充しましたので続きも頑張ります!