第14話 倒すべき敵
新・ヤオ邸宅の庭
「はああああっ!」
「ガウーッ!」
俺はハイドラとミミの鍛錬をぼんやり見ていた。
ハイドラが正拳突きを放つ。
ミミが軽くいなし懐に入り込む。
ミミのアッパーを体を逸らし躱し、バク転蹴りを叩きこむ。
ミミは吹き飛んだ。
「そこまで!」
ヤオは制止をかける。が、
ダダダッ!
ドカッ!
「ぐはぁっ!」
ハイドラとミミのアタックを受けて吹っ飛ぶ。
「ちょ、ちょっと待て!」
「待たないわよ!これは訓練、生存訓練なのよっ!」
「ガウガウガウー!(相手が戦闘不能になるまでやる!それが私たちの流儀なのです!)」
「あ痛たたたた!」
5分後
「お前らやり過ぎだって。なんで俺まで・・・」
「じゃないと勝てないじゃない」
「勝つ?何に勝つんだ?」
「魔晶将軍よ」
俺は自分の耳がおかしくなったのかと思い、聞き返す。
「魔晶将軍?」
「そう。魔王軍の将軍の一柱よ」
「何で俺が?」
「決まっているじゃない。敵討ちよ」
ヤオは聞く。
「誰のだ?」
「私のよ」
俺は首を捻り、
「お前生きてるじゃん」
ハイドラは腕を組み、
「私に瀕死の重傷を負わせたのよ?放ってはおけないわ」
ヤオは堪らず、
「嫌だよ!何だってそんなお前ですら死亡フラグ立てるような奴と戦り合わなきゃなんないんだよ!」
「だから言ったでしょ私の敵だって」
「何だってそんな危険な奴相手にしたんだ?」
ヒードラは遠い目をし、
「話せば長くなるわ・・・」
「いいから話せ」
「私の大事にしてる魔晶石を寄こせと言ってきたの」
「それで?」
「それだけよ」
「25文字以内か!」
「だって!私が長い年月魔力を込めて磨き上げた至高の一品なのよ!売ったらあなたの屋敷が30件は買えるのよ?そんなのタダで渡せるわけないじゃない!」
「そ、そんなにするのか・・・」
「あいつ私以外の魔族からも強奪しているみたいなの。あいつの評判は最悪よ」
「なんでそんなに集めてるんだ?金目当てか?」
「おそらくだけど、そう遠くないうちにこの領地に侵攻してくると思うわ」
俺は素っ頓狂な声を上げる。
「なんだってー!」
「という事なの。訓練に付き合ってくれるわね!」
「いやいやいや訓練とかそんな方法でなんとか出来るレベルじゃないだろ!領主に知らせないと!」
領主の館
「それは本当かね?」
「そちらでも何か掴んでるのでなくて?」
イサヤ領主は俯く。
「魔族の動きが『静かすぎる』んだ。何か企んでるとは思っていたが」
「魔晶将軍が魔晶石を集める理由は多くないわ。数か月以内にも攻めてくるわよ」
「対策を立てよう。ヤオ、力を貸してくれるな?」
ヤオは頷く。
残り時間は数か月。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
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