第12話 魔装闘士
「大丈夫か?」
俺は獣人の子供に声をかける。
「ガウ!」
何を言ってるかわからない。が、そこで思い出す。翻訳スキル・初級の存在を。
「翻訳スキル。これで会話出来るかな?」
「ガウガウ!(助けてくれて有り難うなのです!)」
「どういたしまして」
俺はハイドラにも声をかける。
「ハイドラ。お前は大丈夫か?」
「クォォ(大丈夫です。ご主人様)」
お、やっぱりハイドラとも会話できる。まあスキルを使わなくても、言いたいことは伝わっているようだが。
ヤオは獣人の子供に向いて、
「お前、こんな所でどうしたんだ?家族は?」
「ガウガウー・・・(家族はずいぶん前に亡くなりました・・・」
「何でこんな街道から離れた所に?」
「ガウガウガウ(お金も食料も尽きて、食べ物を探しに脇道に入ったらさっきのウェアウルフに襲われました)」
「そうか・・・」
俺は少し考えて、
「お前『魔装闘士』だろう?俺の護衛にならないか?」
「ガウ?(え?)」
「ガウガウ?(私そんなに強くないですよ?)」
「今はまだそんなに強くないかもしれない。でも鍛えたらもっと強くなれると思うんだ」
「・・・。」
「どうかな?」
獣人の子供は少し考えて、
「ガウ!(よろしくお願いします!)」
「ああ、よろしくな」
「俺はヤオ。お前、名前は?」
「ガウ!(ミミと言います!)」
「じゃあ街に帰るか」
「ガウ!(はい!)」
イサヤの街・ヤオの家
「俺は仕事を終わらせてから風呂に入るからお前先に汚れ落としとけ」
「ガウ!(はい!)」
俺は作業を終わらせ、風呂に入る準備をする。
今日はウェアウルフと戦ったりその他諸々あって疲れた。
「おーい、ミミ。まだ汚れてる部分あったら落としてやるぞ」
風呂場の扉を開けると、ミミの裸体が目に入ってきた。少し思考が停止する。ミミの胸には俺に無いものがあって、ミミの股間にはおれに有ってミミには無い部分がある。
つまりミミは女の子だった。
「ガウー!(きゃぁぁぁあ!)」
ミミは風呂桶を掴むと、俺の顔面狙って投げつけた。
ガンッ!
俺はそのままノックアウトした。
30分後。
「すまん。てっきり男の子だと・・・」
「ガウガー!(こんなに可愛い男の子はいないのです!)」
「泥だらけで判らなかったんだよ!」
「ガウ(ほんとにもう)」
ミミはそっぽを向く。
「お詫びじゃないけど美味しいシチューを作るよ」
ヤオはシチューを作り、ミミに食べさせた。
「ガウ!(美味しい!)」
「いっぱい有るからな。ゆっくり食べろよ」
「ガウ!(はい!)」
俺は微笑ましい気分でそれを眺めながらシチューを食べる。
3人で。
「?」
俺は違和感を覚え、違和感に目を向ける。
そこには銀髪美女がテーブルを囲んでいた。
美女は当たり前のようにシチューをもりもり口に運んでいた。
「あ、あのー。どちら様で?」
「え?私だけど?」
「いや私じゃわからねーだろ。誰だよお前」
「ホントにわからないの?仕方ないわねー」
銀髪美女は声を変える。
「クォォォン」
「!」
俺は愕然とする。
「ハイドラ!ハイドラなのか!?」
銀髪美女は頬に指を当てて。
「正解」
お茶目に首を傾けた。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
評価とかしていただければやる気とか出ます。