第11話 世界は広がる
「うわーおぅ!」
遥か下に景色がどんどん流れていく。
「凄いな、空を飛んだのなんて初めてだ」
ヤオは飛竜に乗って飛んでいた。
飛竜の背には特注の鞍が取り付けられている。
「この速さならナカサ領まですぐに着くんじゃないか?おい、ハイドラ。ちょっとナカサ領まで行ってみようか」
「クォォン!」
午後
「マジか。3日かかる道のりが当日に着いてしまった」
眼下にはナカサ領の街が広がっている。
「ちょっとナカサ領主に挨拶に行ってみようか」
「クオ!」
そのままナカサ邸の中庭に着陸する。
と、
「て、敵襲だぁぁぁ!」
すぐに衛兵達に包囲される。
「お、俺だって!薬品開発部門のヤオ!毎月野菜を卸しに来ているヤオだよ!」
衛兵たちはむむっ、とヤオを確認する。
「おや、これはヤオ殿!今回の用事は館の襲撃でありますか!」
「違うよ!」
「あらあら。どういたしましたの?」
そこにナカサがやってきた。
「あ!ナカサ様!丁度いい所に!」
「あらヤオ様、飛竜なんかに乗って。もしかして襲撃ですか?」
「だから違うって!」
その後これまでの経緯を話して、
「まあ、それで飛竜を従えてるのですね」
「ナカサ様の野菜ポーションがかなり効いたんですよ、有り難うございました!あれ回復力も向上してますね!」
「お役に立ててなによりですわ。私達も日々精進しておりますのよ?」
「はい!これからもっと改良してばんばん売りましょう!」
「うふふ。そうですわね」
その後ナカサ邸を後にしてイサヤ領に戻る。 途中で、
「ん?何だあれ?」
夕暮れ、遥か下方で一つの点を複数の集団が追いかけていた。
「何か追われている?」
俺はハイドラに指示を出し下降する。
小さかった点がどんどん大きくなる。
「ウェアウルフの群れ?と・・・追われてるのが獣人の子供か?」
浅黒い肌に灰色の髪をした獣人の子供。それを三十頭くらいのウェアウルフの群れに追いかけられていた。
「いくぞハイドラ!」
「クゥォォォン!」
獣人の子供とウェアウルフの群れの間に舞い降りる。
しかしハイドラの様子がおかしい。口を開けて何かを溜めている。
「ハイドラ?」
次の瞬間!
ゴォォォオ!
ハイドラがブレスを吐いた!
十五頭くらいのウェアウルフが炎にまかれる。
俺は唖然として、
「ハイドラ。お前ブレス吐けたのか・・・」
ハイドラの背を眺める。
「ガウ!ガウ!」
獣人の子供がこちらに駆けてくる。
「お、大丈夫か?怪我は無いか?」
「ガウ!」
そして獣人の子供はウェアウルフの群れに向かっていく。
「おい!危ないぞ!」
こちらの心配をよそに獣人の子供はウェアウルフに突っ込んでいく。
次の瞬間!
獣人の子供が着けている籠手が光る!
その腕がウェアウルフのみぞおちに入り、ウェアウルフが燃え上がった。
俺はその姿を見て思い出していた。
魔装具を纏って戦う闘士、魔装闘士の事を。
「クオッ!」
ハイドラがヤオの肩を押す。
「おっと、俺もぼうっとしてられないな!くらえ!ダイコンソード!」
あとは殲滅戦だった。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
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