07 第二の勢力
今回はいつもより短めです。
しかし、一方では新規キャラクターも複数登場し、今後の展開に向けての大きな一歩となっております。お楽しみいただけたらと思います。
ほっと胸を撫で下ろすも束の間、抗いがたい倦怠感に襲われる。
バーンアウトに拘束されてから何時間経ったのだろう。溜まりに溜まった疲労が、安堵すると共にどっと溢れ出てくる。
けれども、疲れたという理由だけで立っていられなくなるのは今回が初めてだった。がくりと膝を突き、遼は崩れ落ちた。いつの間にか、耐火能力をもっていた皮膚は元に戻っている。
いや、あるいは他の要因があるのだろうか。今自分が感じている、動けなくなるほどの倦怠感には。
ほどなくして、彼は意識を失った。
「被害者を発見! ただちに保護せよとのご命令です!」
意識を失った遼の元へ、一台の装甲車がひた走っていた。トレーラーを改造したものらしい。車体を鮮やかに彩る青は、彼女らの属する組織のイメージカラーだった。
「福住さん、それくらいの伝達は私がやりますから。いちいち私の考えてることを読まないで下さい。プライバシーの侵害で訴えますよ」
「そ、そんなあ……」
運転席でハンドルを握る、ポニーテールの女性には凛とした雰囲気があった。対して、助手席の「福住」と呼ばれた女性はボブカットで、和やかで大人しそうな印象を受ける。
「そういう能力なんだから、仕方ないじゃないですか。石田さんが任せてくれた役目ですし、きちんとやり遂げようと思っただけです」
「冗談を真に受けないで」
福住琴音を適当にあしらい、運転席の女性――石田令香だ――は顔をしかめた。彼女の異能、「千里眼」により、保護対象のおおよその位置は見えている。あとは現場に急行し、バーンアウトより先に彼に辿り着くのみだ。
ファイア・ボムの被災地、焼け跡の中を装甲車が走り抜ける。間もなく目的地に到着し、車内にいた全員が外へ出た。バーンアウトの構成員がいないか警戒しつつ、保護対象の男性へと駆け寄る。
「急いで。速やかに撤退するわよ」
組織のメンバーが彼を介抱するのを見届け、石田は命じた。
先ほど言われたことを気にしていたのか、今度は福住も何も言わなかった。