プロローグ
僕が10歳になる前日、国中は祭りのため忙しく活気に溢れていた。
誕生日に祭りをすることは毎年の事だし、嫌いではないが好きでもない。
そんな僕が今年の誕生日を楽しみにしているのは
明日から1人前になるために色んなことを習えるから。
そして何よりも僕の父親に会えるから。
僕には母親というものがいないらしい。
産まれた時から10歳になるまでは母親に育てられるのが
王族の決まりだそうだが、僕にはいなかったので
代わりに父の姉が面倒を見てくれた。
ベラという父の姉は紺色の長い髪を持つ美しい人だ。
母親が居なくてもベラがいるからなんとも思わないし、
ベラはいつも自分の兄、つまり僕の父親の話を沢山してくれる。
会ったことはないけれどベラの話を聞くだけで父がどんなに偉大で素晴らしいのかがわかる。
そんな父に明日会えるので楽しみで仕方がない。
父の姿はベラ、父の片腕であるジャガー、
そして僕を産んだ母親しか見た事がない。
普段、マスクをしてる父親はカッコイイし、とても憧れるが、
10年間憧れ続けた父の素顔が見られることが楽しみで仕方がない。
そんなことを考えながらいつの間にか僕は眠っていた。
読んでくれてありがとうございます!
小説を書くのは初めてですが精一杯頑張ります!