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ネメシス戦域の強襲巨兵  作者: 夜切 怜
C212防衛ドーム攻防戦

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救援

 三機のシルエットが戦闘を行っている。


 敵の多くはケーレス系統に属するアントワーカー型。顎に模したブレードで、接近戦を得意とする、数で押すタイプだ。小口径のレーザー砲を装備しているが、出力は高くない。

 中に混じっているのがアントソルジャー型。こちらは中口径ライフル砲を装備している。

 指揮しているのは、アントコマンダー型。蠍のような尻尾にあたる部分がレールガンになっている上位機だ。装甲も一回り厚い。


 シルエットの後方で車両も二両いる。


 シルエットは全機、SF-S1A1 ベアだ。装甲の厚さが利点の、汎用性の高い機体だ。

 二機はライフルを装備。もう一機はレールガンと両肩にミサイルランチャーを装備している。


 燃焼式軽ガスガン機構を利用した中口径ライフルはレールガンに近い初速を叩き出す。砲口速度の初速は秒速二キロ。初速のブレが激しいため弾速を落として調整している。

 着弾すると絶大な威力を持つ一般的なシルエットの武装だ。

 高次元投射装甲に有効な武器だ。理論値では弾頭は加速できる余地を残しているが、弾頭の初速が不安定になり、砲身と弾頭そのものが持たない。


 背後には支援車両二両。一台は通信車両、もう一つは装輪装甲車だ。こちらは火砲で支援していた。


 戦闘が続いているのだろう。弾切れを起こしているようだった。


「埒があかねえな。コマンダー型に近づければ」

「こっちも弾がない。接近戦闘に移行する」


 ライフルに銃剣(バヨネツト)を装備。白兵戦に備えた。

 サイズ比でいえば21世紀世代の銃剣よりも先祖帰りしており、刀身は長めの印象を受ける。

 これはシルエット戦闘における白兵戦の多さを物語る。


「待ってください。未確認の――シルエットが接近中です」


 通信車両から緊迫した女性オペレーターの声が響く。


「増援か?」

敵味方識別装置(IFF)に反応はありませんが、ストーンズ側の勢力ではなさそうですね。あれ? 傭兵管理機構マーセナリーズアソシエーシヨンにも登録がない……」

「敵じゃないなら放っておけ!」

「了解です。いや、救援にくると言っています」

「ありがたい! どのみちジリ貧だ。敵じゃないことを祈ろう」


 それはとても奇妙な機体だった。

 頭部が破損しているシルエットだった。無残に片眼のゴーグルが破壊されている。


 こちらにまっすぐ向かってくる。肩を突き出すように構え、腰を落としている。射撃に対してはコックピットを守ることも踏まえ、合理的だ。

 TSW-R1-05。コウの五番機だ。


 あっという間にこちらに合流し、大剣を振るう。

 アントワーカー型が一撃で数機飛び散った。


「援護感謝する!」


 ベアのパイロットが通信を送った。


「お互い様だ」


 それだけ、返答があった。


 身を低くしての斬撃が登録してあるシルエットは少ない。

 豪快になぎ払っていく五番機は頼もしかった。


 援軍を強敵と判断したのか、アントワーカー型が五番機に押し寄せる。

 鴨とばかりに次々となぎ払っていく五番機。


 ベア二機も猛追する。護衛の減ったコマンダーに接近を試みる。

 装甲の厚さに任せ、押し寄せるアントワーカー型を突破する。


 後ろのベアは、確実にレールガンでソルジャー型を排除していった。


「こいつら柔らかすぎないか?」

「ああ。アントワーカー型やソルジャー型はAスピネルを搭載していない。高次元投射装甲じゃないから柔らかいだろうね」

「機械の標準装備じゃないのか」

「違うよ。こいつらはバッテリータイプだ。彼らもシルエットのライフルで応戦しているだろ?」


 そう話している間も、ワーカー型を切り倒している。


「あの司令官っぽい奴だけが強敵か」

「侮るな。数が多いから、ちくちくダメージは受ける。装甲強度が落ちないよう気をつけたまえ」

「了解!」


 コウがアントワーカー型を引きつけている間に、ベアたちは突進し、銃剣を突き立てる。

 側面に回り込もうにも、ベアの機動力が低くてそうはいかない。


 ついに一機が大顎に捕まってしまった。


「うわあ……」


 腰がメキメキとひしゃげていく。そしてそのまま切断されてしまった。


「マイク!」


 残った男が絶叫し、さらに猛攻を仕掛けるが、前足でなぎ払われてしまう。

 倒れたところをレールガンを連続して打ち込まれた。

 至近距離だ。いくら硬い次元装甲でも限度があった。


「このままでは……」


 レールガンの射撃が止んだ。


 尾の部分の砲塔が無くなっている。


「助かった!」


 彼にはわかった。援護にきてくれたシルエットの仕業だと。


「あの数は厄介だな」


 コウもまた、コマンダーとの戦いに参戦していた。

 後方からベアと装甲車両の射撃も加わる。


「あのカマキリよりこのアントの方が速いな!」

「耐久力はこいつが下だ。押せ!」


 師匠も戦況のサポートをしてくれる。


 素早く振り返った大顎の攻撃が迫る。

 そのタイミングに合わせ、下段からの切り上げ。

 

 アントコマンダー型の頭部が粉砕される。


 コウは五番機を跳躍させる。

 破壊された頭部を踏み台に、胴体まで駆け上がる。

 剣を突き立て、そのまま自重に任せて、胴体から飛び降りた。

 鈍い音ともに、アントコマンダー型の胴体は、大きな亀裂が入る。


 コウはいったん離れ、剣を構え直す。

 アントコマンダー型は壊れた大顎を、突き出し、五番機を警戒した。


 側面が爆発する。


 亀裂部分にレールガンが直撃したのだ。

 ほぼ胴体を両断されかかっている。転倒していたベアも起き上がり、胴体を攻撃する。


 コウは再度、側面に回り込み、先ほど攻撃を加えたほうとは反対側に移動した。

 五番機の上段からの振り下ろし。本来なら当たるはずのない大ぶりの攻撃も、ダメージが大きなアントコマンダー型には回避する余力は無い。


 アントコマンダー型が動きを停止させた。

 それを合図に残ったケーレスも撤退を開始する。

 

「ありがとう。本当に助かった。俺はバリー。あんたは?」


 最後まで接近戦に残っていたベアから通信がきた。


「俺はコウ。転移者だ」


 現地の人間との、初めての交流だった。

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