みんなで生き残る為に
X463反攻作戦で得たデータをもとに、ラニウスの改良案の叩き台を作成することにした。
コウは改良案の完成のために、様々な兵器を開発することにする。
だが、そうするには足りないものが多すぎた。
コウの他ににゃん汰とアキ、エメがいる。ヴォイは戦闘が終わった五番機やハンガーキャリアーの整備だ。
「ケーレス相手に集団戦や射撃戦、ストームハウンドとの連携でファミリアの戦闘方法もわかった。収穫が多い」
「AK2も役立ったみたいにゃ」
「あのライフルは凄いよ。確実に俺の弱点を補ってくれていた。本当に二人が、俺のためにつくってくれたんだな、って。ファルコ戦で有効に使えなかったことが申し訳ないぐらいだ」
「欲張りですよ。あなたが無事に戻ってくれることが一番なのです。それだけでAK2の価値はあります」
AK2が銃として役立ったとしても、コウに何かあってはいけないのだ。
「ありがとう。アキ。にゃん汰」
苦手な集団戦や中距離戦を補い、盾となったAK2。全て彼女たちが想定していた運用だ。自分にそれだけの価値があるか疑問なぐらいだ。
「そういってもらえるだけでうれしいです」
「感謝する心は大事にゃ」
アキははにかむように微笑んだ。にゃん汰は照れているようだ。
「AK2の簡易量産を提供したいと思うけどいいかな?」
「もちろんにゃ。ワイルドキャット・カートリッジも後に市販化された例はいくらでもあるにゃ」
「弾頭がポピュラーになると調達も容易になりますね」
コウの提案に二人も賛成する。
「俺はみんなを連れてメタルアイリスかストームハウンドに入隊しようと思うんだ。彼らなら、ファミリアやセリアンスロープにとっても環境はよいと思う」
「私達だけだといつか無理がでてくる。コウと一緒ならどこにでもいく。聞くまでもない」
エメが告げ、二人も同意する。答えはわかっていたが、確認はしておかなければいけない。
「ああ。みんな一緒だ。離ればなれになりそうならアストライアに引っ込むさ」
きっと、皆にとってはそのほうがいいんだろうな、とは思う。
だが人類がストーンズの手に落ちたら、アシアを内包している工廠要塞が無事とは思えない。いずれどこかの勢力に身を置くことになる。ならば縁がある勢力にいた方がいいだろう。
「これからの方針はそれとして。しばらくはここで兵器開発を?」
「そうだな。色々考えてはいるんだが…… アシアのおかげで作れるものが一気に増えすぎた」
コウは苦笑した。ありがたいことなのだが、情報の取捨選択がより難しくなったのはある。
「前回のオークションはびっくりするほどの値が付いたようだ。皆技術に飢えている」
「今回は慎重に?」
「いいや。出し惜しみしたら俺の手のなかで腐らすだけって分かっている。材料は提供しよう。完成品は決めていない」
「それでいいにゃ。各々の構築技士がブリコラージュするにゃ」
「作るとして、何を作りますか」
「五番機を改良するための構造材を研究したいな。戦車、装甲車、攻撃機を考えている。その上でシルエット案をいくつか」
「私達も乗りたいです」
「……うん」
「え? まじで? いいのかにゃ。嬉しいけどにゃ!」
口ごもるようにアキに答えるコウ。
反対されると思っていたにゃん汰が身を乗り出した。
「俺一人じゃ限界もある。みんなで生き残る為に――戦ってもらった方が生存率が高まる可能性も考えた」
コウがアンダーグラウンドフォースに加入するのも、みんなで生き残る手段を考えたためだ。
「もちろんです。可能性じゃ無く、その通りなのです」
アキが力説する。
コウが一人で戦うなか、彼女たちが乗っている戦闘能力が低いハンガーキャリアーで何ができようか。
皆で戦うという結論に達してくれたことが嬉しく思う。
「私、シルエット乗る」
「エメはダメ」
コウとしては十歳にも満たない女の子が戦場に出ることは認めたくない。彼自身耐えられそうにない。
「考えてみて。もしコウやみんなが戦闘で敗れて、私どうやったら助かるの?」
「そ、それは……」
「ストームハウンドの整備士と話した。子供だった。自分たちをかばって死んだファミリアがいて辛いっていっていた」
コウは答えることができない。
「前線にでるヴォイたちを支える、そのための工作用シルエットが欲しい。ファミリアとセリアンスロープだけじゃ、野外の補給が出来ない。私は戦闘はしない。出たとしても支援に徹する」
エメの言葉に返す言葉がない。彼女の言っていることは事実だ。
「……わかった。検討する」
それだけ言うのが精一杯だった。
だが、彼女を守るだけのものを作らなければいけない。
「最強の作業機ができそうですね」
「とても過保護な作業機が爆誕する気がするにゃ」
コウは大きくため息をついた。
ただ、置いていくという選択肢は出来ない。泣かれたことがあるからだ。他の三人どころか、普段エメのなかで眠っている師匠やアストライアまでエメの味方に回った。
「ところでアストライア。例の計画本当にやるのか」
『当然です。作戦参加者はコウ。アキ。そしてメタルアイリスのフユキ。そしてジェニーかブルーが同行してもらうのがよいでしょう』
「私は嬉しいですが、いいのですか?」
「こんな見た目だから無理にゃ。そもそも私には無理な任務にゃ」
「私もダメ。お留守番する。ヴォイは論外」
にゃん汰とエメが早々に断念したほどの計画であった。
『コウとアキの服も作成指示しておきました。メタルアイリスには作戦概要書を送付済みです』
「早いな……」
『タイミング的にも今が最適です。人付き合いが苦手なのは承知しておりますが、そのフォローのための作戦参加者です』
「わかった。ではメタルアイリスの受諾次第作戦を決行しよう」
次の作戦はコウがもっとも苦手な部類。
戦うほうがいい、とは思いつつも必要なこと。勇気を振り絞り作戦を決意したのだった。




