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ネメシス戦域の強襲巨兵  作者: 夜切 怜
国家形成戦争時代の幕開け

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全機撤退を確認

新年あけましておめでとうございます!

 アルゴアーミー撤退の報を受け、グライゼンに動揺が走った。


「シェルターの外で何が起きているんだ!」

「カザーク隊も隊長機がやられたんだ。俺達もこのままだと……」


 クルィーロ・カザークが撃破されたことは、グライゼンにとっても衝撃だった。

 ――カザーク部隊は戦力の要、そのエース機が撃破された事実に。


「アベレーション・シルエットもほとんど残っていないぞ!」


 アベレーション・シルエット部隊も壊滅状態。フランが飛び込んでは走り去り、数を減らしていったのだ。

 もともと継戦能力は高くなく、後方に下がっている。

 

「仕方ない。今回は撤退するか」

「次回なんてあるのか!」

「それは上層部が決定することだ。ここは所詮防衛ドームだぞ? 制圧したところでろくな利益にもならん。Aカーバンクルを回収するぐらいだ」

「こんなはずじゃなかったが…… 深追いは厳禁だ。Aカーバンクルなんぞ、防衛ドーム放棄時に回収するものだ」


 しょせん寄せ集め。主導権を握るリーダーはすでにやられている。

 彼らは戦闘を継続しながらも撤退の話を進めていた。


「逃げるなら早くずらか…… うわぁ!」


 最後まで言い終えることができなかったアルマジロ。飛び込んできた六番機の大剣に斬り裂かれた。


 その悲鳴が契機となった。

 我先にグライゼンのシルエットはシェルターの外へ向かいだした。



 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆



 撤退を開始したグライゼンの侵攻部隊。L451防衛ドームの攻撃に対し応戦しながらも、シェルターの破壊された孔から逃げ出すように逃走している。


「敵が撤退を開始した! 射撃武器で追撃のみ許可する!」


 ネイトがすかさず判断し指示をだす。

 フランの六番機も指示に従い、AK2に持ち替えた。追撃は簡単に包囲される。

 単身特攻が多いフランはそれが身に染みてわかっている。


「シェルターの外には出るなよ! ニソスが言うには、罠が張ってあるそうだ!」

「了解!」


 防衛部隊は逃走するグライゼンを、追撃する。

 しかし指示には従い、シェルター外には出ないよう、注意深く戦闘を行っていた。


「――グライゼン侵攻部隊。全機撤退を確認。俺達の勝利だ!」


 ネイトが高らかに宣言する。

 一同から歓声が上がった。


「やったぁ!」

「ありがとうクレーン車! 助けてくれて!」

「電柱の旦那、お疲れさま!」

「標識の旦那! 助かったぜ!」


 彼らのみでは防衛は無理であったろう。

 各施設や重機に口々に感謝の言葉を述べる防衛隊。


 機械群の戦闘も終わり、日常の業務に戻るのだ。


「本当に助かった。ありがとう。コントロールタワー」


 ネイトも思わずコントロールタワーに礼を述べた。無機質の機械たちによる支援が無ければ勝利が遠のいていたことは明白だった。


『最後までAカーバンクルを撤去しなかったあなたの判断に感謝を。L451防衛ドームの住人を守ることができたのは幸いです』


 思いもよらぬ回答があり、口をあんぐり開けるネイト。

 慌てて思い直す。当然だ。コントロールタワーは何千年、いや下手すると二万年人間を見守ってきたのだ。

 

「本当にありがとう。応えてくれて。――ウーティス、か。機械への親和性が高いものが構築技士になれると聞いていたが…… 何故我々アシア人から構築技士になれないか、わかった気がするよ」


 ネイトはシュライクの座席に深く座り込み、ようやく一息をつくことができたのだった。




 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆



「コウ。L451防衛ドームより通達。グライゼンは撤退。防衛に成功したとのことです」

「なんとかなったか」


 コウは胸を撫で下ろす。

 いくら強化した六番機とはいえ、カザークやクルィーロ・カザーク相手には辛いと踏んでいたのだ。


「まずはプレイアデス隊とバザード隊を着艦させてくれ。主にバザード隊を」


 コウは五番機からエメに連絡する。ユースティティアの戦闘指揮所も緊張が揺らいでいた。

 彼らは勝利したのだ。


「それはもちろん! わかっているよ!」


 バザード隊の健気ともいえる決死の救援には、応えねばならないだろう。

 パイロットたちにも着陸指示はしてある。このまま回収し、ニソスに合流してもらう予定であった。

 この処置を喜んだバザード隊のパイロットたち。一時的とはいえ栄転に相当する。


「一万キロもの距離を宇宙空間を使わず直進するんだもんなあ。ジョージさんも無茶をする……」

『宇宙経由といえばハルモニアもBAS社製ですよ』

「そうだったな。あれはアシア大戦で本当に世話になった輸送機だ。……非武装だが。英国系企業は長距離遠征に何かこだわりでもあるのか」


 コウはBAS社のアベルが構築したハルモニアに乗り、アシア大戦を転戦し続けた。

 ユースティティアにも一機搭載されている。


『それをいうなら日系転移者企業も人のことはいえません』


 零式は艦載機とは思えぬ航続距離を誇っている。


「それもそうか。行動範囲の重要性を考慮する兵器は海洋国家ならではかもしれないな」


 自衛隊について詳しく知らないコウは、今更ながら反省する。


「警戒態勢を維持しつつ、各部隊の帰投を開始します。コウも戻ってきて」

「ああ。戻るよ」

「撃退に成功したので、私達も一度L451防衛ドームに立ち寄りましょう」

「そうだな。まだまだやらないといけないことがたくさんあるし」


 コウが面倒そうにいった。

 ここからは彼が苦手な分野が待っている。

 いわゆる政治的な交渉であった。


「私も手伝いますよ。そう身構えず」


 フユキとヴォイが会話に参加する。彼らは仕掛けたトラップの確認作業中だ。


「お願いする。そろそろ戦闘工兵部隊も帰投を開始してくれ」


 今もなおグライゼンやアルゴアーミーのシルエットが罠にかかり、あちこちで爆発が起きている。

 一撃で破壊することは不可能だが、極悪なトラップはシルエットの脚部ぐらいは破壊する。

 こうなると軍隊としてはやりづらい。負傷兵が増えると死亡者増加より戦力が低下する事態と同様。

 見捨てるわけにもいかず、運搬せねばならない。


 当然ヘロット階級は見捨てられる。彼らはヘロット同士集まって撤退を始めている。

 同情するわけではないが、哀愁漂うその姿に追撃する気が起きないコウだった。


「了解しました。L451防衛ドームに戻ってからが本番ですね」

「戦後処理か…… 敵だけではなく、味方に対してもあるなんてな」

「そういうものですよ。勝者側、敗者側双方の陣営で様々な交渉が必要なのです」

「乗りかかった船みたいなものだからな。やるよ」

「その意気です」

「個人的には、単機で大暴れしたいけどな!」


 五番機で最前線にいたほうが気楽なのだ。

 たとえ建前でもウーティスは死んだものだとコウ自身は思っている。その認識の甘さはアシアに怒られるのだが。


「コウ。あとでお説教だからね。アシアとアストライアと私の三人で。そのコウの望みを叶えるためのニソスなんだし」

「私とにゃん汰の追加もお願いします」

「わ、わかってるってば」


 慌てて説教回避に動くコウ。

 ニソス創設の目的。それはコウに個人行動させないための、最小限の軍隊。

 最小限とはいえ大げさだというコウの抗議はトライレームの首脳陣全会一致で拒否された。


「とりあえず、全機帰投。トラップはまだ様子見で」

「了解です。戻りましょうヴォイさん」


 地面を潜るドリル戦車。

 その間にも、各地で工兵部隊が仕掛けたトラップによる爆発は起きているのであった。



いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!


L451防衛ドームの防衛戦も戦闘が終結しました。

撤退戦は撤退する側はもちろん、追撃する側もリスクが高いものです。


惑星リュビアからコウたちが帰還し、惑星アシアのスフェーン大陸以外の現状、その一端も明らかになりました。

そして次の展開も見据えて、この章も終結に向かいつつあります! 

応援よろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦(いくさ)に勝ったのに説教を受けるコウ。 新年おめでとうございます! 今年も拝読させていただきます!
[良い点] 最近の連続更新乙。 [一言] >ニソス教の存在意義 そんな理由だったのか……(イマサラタウン)。コウくんとしては色々歯痒そう。悪く言えば身代わりの実働隊ってわけだし。 (感想内)>臨機応…
[一言] >それをいうなら日系転移者企業 伊400とかもアホな航続距離持ってたしね 石ころ配下にはトラップ回避できる奴も少ないんだろうな、ある意味知恵比べだし
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