表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネメシス戦域の強襲巨兵  作者: 夜切 怜
アシア大戦前編―巨大兵器群殲滅戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/646

KSX-01X フラフナグズ

「バリー。知っていた? クルトさんが生きていたこと」


 キモンにいるバリーに、ジェニーから通信が入る。


「知るわけないって。何も聞いていない。こんなに味方の動きが読めない軍はそうないぜ」

「すみません。これは私のミスですね。私も知らなかったんですが、企業連合の件承諾時に、五人の構築技士から承諾があったと連絡がありました。コウは数に入っていませんから、クルトさんが許可を出したのだと」


 ジェニーとバリーの会話にアキがすまなさそうに割って入る。


「あの時か! わかるわけない!」

「TAKABAさんのところにいたみたいね。青いサンダーストームが連れてきたから。コウ君が贈った奴だし」

「シルエットベースなどを除けばTAKABAしかフッケバインの修理はできないですしね。装甲筋肉はTAKABAとクルト社しか対応してませんでしたから」

「そうか。逃げ出してあそこまで。確かにばれると追っ手が凄そうだしな。頼みの傭兵機構が一番信用できないと来ている」


 以前のD516要塞エリアからTAKABAがある要塞エリアまではかなり離れているはずだ。

 裏ルートや自走、様々な手段を使って移動し続けていたのだろう。

 身分を隠しての移動は困難を極めたに違いない。


「バリー司令。アーテー戦に参戦許可を」


 アキが切り出す。


「どうした。何か策があるのか」

「はい」

「まじか。わかった。いってこい!」

「あとは私が受け持ちます」


 エメが通信を変わる。バリーが頷いた。


「一騎当千に相応しい援軍だ。いけるな」


 クルト社やコウを思う。

 彼らの士気は確実に上がっているはずだった。



 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


「コウ。お前さんがこの刀を送ってくれた日にな。うちの会社にクルトさんが飛び込んできたんだよ。驚いたのなんの」

「そんなことが……」

「私は狙われていました。輸送機も使えず偽名で逃げ回り、ようやく兵衛さんの元に辿り着いたわけです。そして彼の力を借り、フッケバインをフラフナグズにまで昇華させました」


 KSX-01フラフナグズ。これはクルト一人では到底為しえなかった。

 運動性を追求し、飛行能力を加え三次元行動を可能にした究極のシルエット。


 逃亡先の鷹羽兵衛は幸いなことに必要なもの、そして必要以上のものをすでに所有していた。コウと連携し、ラニウスとアクシピターの改良に勤しんでいたからだ。

 コウと鷹羽兵衛、そして飛行に関しては、クルト個人の技術の他に、鷹羽兵衛の友人である御統重工業の衣川英治の研究成果がそこにあった。

 様々なシルエットの研究成果をさらにフィードバックさせて完成させた機体といえる。


 その手に持つ魔剣は、選定の剣。選ばれしものしか扱えない、オーディンが英雄に与えた剣の名前を冠した。これは兵衛がコウに頼んでアークブレイドの製法を聞き出し、試作した大剣だ。


 二刀を持つ紺碧のアクシピター。

 太刀を腰に抜刀体勢の鋼色の五番機。ラニウスC型

 グラムを構える漆黒のフラフナグズ。


 三機の機体が並んだ。惑星アシアにおいて、トップクラスの性能を持ち、最高峰のパイロットが乗った機体だろう。


 背後から見るメタルアイリスの者たちも気圧されている。これほどの遣い手が揃った戦場に遭遇できるなど、もう二度とないかもしれない。

 この三機が揃って負けるはずがない。

 そう思わせる何かがあった。


「無粋な敵がやってくるなぁ。――積もる話は後だ。行くぜ、クルトさん、コウ!」

「ええ。あなたと一緒に戦える日がくるとは。兵衛」

「はい!」


 コウも心が逸るのを抑えきれない。

 逢いたかった人たち。尊敬すべき剣士たちと一緒に戦えるのだ。


 三機のシルエットによる、暴虐の破壊が始まった。

 高次元投射装甲が紙のように、容易く切り裂かれていく。

 嵐のような進行速度だ。


 背後にいたバズヴ・カタとエポスが続き、ラニウスやヴュルガーが援護に入る。

 マーダーと切り結ぶ三機を追いかけることに必死だ。

 あのマンティス型ですら、一刀のもとに斬り伏せられている。

 

 最後のエニュオが崩れ落ちるまでさしたる時間はかからなかった。



 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆



「最後はアーテーか。有効打は周囲のケーレスを掃討し、対艦ミサイルといったところか」

 

 コウが呟く。そこへアキから通信が入る。


「今からそちらに行きます。アストライアからもらったデータをもとにウィークポイントを指示します。アーテーのこの部分に斬り込み、内部まで貫通させてください」


 三人に映像が送られる。アーテーの見取り図の、背面部分に印が表示される。


「はは。無茶いうな、このねーちゃんは」


 兵衛が薄く笑う。


「あなたがたなら出来ると信じて」


 アキはにこりともせず、告げる。

 危険であり、無茶を言っているのもわかる。だが、この三人ならば不可能ではないのだ。


「できますよ。確かにね。私たちならば」


 クルトはその事実を認めた。

 実際、彼らにしか出来ないだろう。アーテーに直接斬り込むなどという作戦は。


「剣で突き刺すならリアクターは停止します。ここをもしなんらかの形で狙い撃つことができれば、爆破することができます」

「急所、逆鱗の類いだな」

「剣で刺した方が早いと思いますが。もしここを撃つことになったら、急いで逃げてください」


 背中を貫通するような射撃は、厳しい。空中から狙い撃たないといけないからだ。


「私たちは総力をあげて周囲のマーダーを掃討します」


 ジェニーが請け負った。是が非でもアークブレイドは手に入れたいと思いながら。


「わかった。頼んだ、ジェニー。そしてアキ。あの弾薬を使うのか」

「そうです。あれなら私たちも支援できます。危険な武装ではありますが」

「アキとにゃん汰ならやれるさ」


 コウは請け負った。彼女たちの援護は心強い。

 この三人の誰かが、斬り込めばいい。この三人ゆえに可能なその難行に、彼らは挑もうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ラニウスC型はツインリアクター採用のイメージが強かったせいか、R001のアシア奪還後に出来た気がしていましたが、普通に132話で登場していましたね・・・。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ