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ネメシス戦域の強襲巨兵  作者: 夜切 怜
アシア大戦前編―巨大兵器群殲滅戦

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TSW-R1C―ラニウスC強襲飛行型

2021年3月30日 ラニウスC強襲変更型に名称変更。燃料に8酸素(赤色酸素)を導入。

2021年7月31日 ジェットエンジンになっていたので修正。回転デトネーションエンジンです。


「ジェニー。タキシネタ隊の補給が終わった! 連続で悪いが出撃準備だ。タキシネタなら飛んだほうが早い!」

「待ってたぐらい! タキシネタ隊、でる!」


 海上に浮上したキモン級から、タキシネタ隊が出撃し、続いてファミリアが乗るスターソルジャーが出撃する。

 タキシネタ隊の加速にスターソルジャーがついていけない。最速の戦闘機――ケリーの最高傑作が、エメを助けるために遺憾なくその性能を発揮した。

 

「私も出る」

「ブルーか。――わかった。いってこい。サンダーストームはお前だけだ。スター5部隊、護衛頼む!」

「了解しました!」


 重攻撃機であるサンダーストームに目一杯の対空兵装を乗せ、出撃する。

 

「待ってなさいエメ。コウを連れて今いくから」


 サンダーストームが発進。

 最高速度は試作機より改良されマッハ1.8だが、高度を落とした戦闘空域では700キロ以下まで落としている。元々は低空戦闘目的の機体だ。

 

 戦闘空域に到達するとコールシゥンの背後を取る形だ。

 護衛のスターソルジャーが一気に奇襲を仕掛ける。もちろんサンダーストームも対空ミサイルを放つ。


 予期せぬ方角から攻撃を受け、次々と撃墜されていくコールシゥン。

 しかし敵の数は無数だ。すぐにサンダーストームに殺到してくる。全長30メートル近い重攻撃機など的に過ぎない。


 だがコールシゥンの予想を上回る、高運動性を見せるサンダーストーム。

 加速し、回避行動を取る機体をなかなか捉えることができないのだ。


 追おうとすると周囲のスターソルジャーたちに攻撃される。ようやく近付いたと思ったら至近距離から60ミリ機関砲の乱射を喰らうのだ。空中戦ではまず直撃しないといっても、少しでも受けると致命傷だ。

 この重攻撃機は厄介な相手だと認識した。


 対空ミサイルが一発直撃したが、びくともしない。サンダーストームは相当な装甲の厚さだ。


「コウ! 見えた! あれがアストライアね!」


 タキシネタは既に戦闘を開始していた。スターソルジャー隊も次々に空域に到着、参戦している。


「頼むブルー!」


 とくに海面すれすれの飛行は厄介だ。低空速度の操縦ほど、パイロットの腕が問われる。意思を奪われた人間には無理な芸当だ。

 しかしコールシゥンたちも戦う意思はある。背後を取ろうと減速しながらサンダーストームの背後を取ろうとしたとき、さらにサンダーストームが減速する。


 急ブレーキをかけたような減速に、コールシゥンはサンダーストームを追い越してしまう。背面から覆い被さるようにサンダーストームが急上昇した。

 パイロットは信じられないものをみた。


「なんで? あんなところにシルエットが!」


 サンダーストームの背面からシルエットが飛び出してきたのだ。それはコウの五番機、ラニウスだ。

 追加装甲を身にまとい、背中に大型バックパックを背負っている。サンダーストームから離脱し、そのままコールシゥンの背後を斬りかかった。

 バランスを崩し、海面に激突し沈んでいくコールシゥン。


「アストライアに敵はまだ多数いる。私は対空戦闘に戻る! コウ、そのままいってあげて!」

「ありがとう! ブルー。待ってろ、エメ!」


 海面に足を掬われないよう、海面を滑走するラニウス。ジェットエンジンは海中では使い物にならないのだ。

 武器をAK2に切り替え、最大加速。遷音速で移動するラニウスをコールシゥンのパイロットは信じられないものをみるような面持ちで迎え撃つ。

 だが、これでも五番機は最大加速ではない。戦闘速度なのだ。


 その頃アストライア艦内ではオペレータの声が響く。


「航空優勢に移りました! キモン級のタキシネタ隊とスターソルジャー隊が戦闘に参加しています!」

『間に合いましたね。全てが』

「うん!」

「シルエットが急接近で海上から近付いてきます! これは――裏ボス! コウさんの五番機です!」

「コウが来てくれた!」


 エメの顔が輝いた。モニタにラニウスが映し出される。

 戦闘速度で移動し敵を迎撃しながら、海面すれすれとは思えない物凄い速度をだしていた。


 襲いかかるコールシゥンたちを撃ち落とし、可変機のアルラーが斬りかかってきたので、空中で斬り倒す。


「お前らを一機でも倒して! エメのもとへいく!」


 コウが叫び、空戦を開始する。

 ラニウスが飛んだのだ。


 ラニウスCと新しい追加装甲。鷹羽兵衛がコウの試作をもとに、御統重工業の衣川に改良を依頼。コウと一緒に研究したものだ。

 変形こそないが、空戦、そして近接のための加速を切り替えて使うことができる。

 二人目のアシアによって解放された8酸素――酸素の同素体である赤色酸素を生成し燃料に採用。金属水素と組み合わせ、驚異的な燃焼効率を誇る。


 この機体こそ、ラニウスBにフッケバインの内蔵型回転デトネーションエンジン構造を取り入れ、飛翔能力を格段に向上させたラニウスのC型。TSW-R1C強襲飛行(アサルト・フライヤー)型。

 空間戦闘用として機動力に特化した機体。

 本来は近接戦闘のため加速最優先のラニウスの出力を下げずに、飛行能力を上げるのだ。


 バックパックには二基のフライトバインダーモジュールを搭載――推力偏向ノズルを持つ大型スラスターを二基ずつ備え合計四基。揚力を補助するための主翼も左右に装備。スラスターと主翼を内包するための装甲型結合機(バインダー)を装備している。エッジスイフトと同じく生物模倣技術を採用。ゴライアスオオツノハナムグリという巨大甲虫をもとに構築された機体であった。


 舞うように敵機を撃破する五番機。

 ときには減速し、時には超音速を超える速度をだし、コールシゥンの群れを翻弄する。


 対空ミサイルがラニウスを狙う。敵はシルエットではなく戦闘機と判断したのだ。

 電磁装甲のプラズマを解放し、周囲の対空ミサイルをすべて誘爆させる五番機。


 アルラーが変形し、斬りかかる。

 

「甘い!」


 真横に移動するとは思わなかっただろう。

 四肢に装備している推力偏向ノズルが衝撃波を発し、空中で横方向へスライド移動させたのだ。

 回転デトネーションエンジンが発する斜めデトネーション波を利用している。腕と脚に備えた推力偏向ノズルが、ラニウスの運動性をサポートしているのだ。


 そのまま側面に回り込み、真横からアルラーを両断する。


「おい、海上に凄ぇ暴れている機体がいるぞ」


 ヨアニア隊も気付いた。


「あんな低空で音速超えて戦闘機を斬る、だと…… 正気の沙汰じゃない。何者だ!」

「離れたら戦闘機を大口径砲で撃ち殺すとかえげつねえぞ!」


 コウは近接戦に固執していない。AK2をうまく使い、距離を取ろうとするコールシゥンたちを撃墜していく。90ミリ砲は航空機には有効だ。


「なんだあの動きは。あれはTAKABAのラニウスか! あんな動き出来るのかよ!」


 黒瀬も唸った。

 可変機でもないのに、空中で戦闘機を斬り倒し、バトルライフルで撃ち落としながら戦っているラニウスが化け物にみえる。


 コウは焦る気持ちを抑えて、襲いかかる敵を全て迎え撃っていた。

 頭は冷静に冴えていた。五番機のサポートによるものだろう。彼の強い意志に応えているのだ。


 一機でも多く倒すことが、エメの守りになる。自分にできることは、戦うことだけ。

 少しずつアストライアに近付いていく。


 ついにアストライアに辿り着いた。

 アストライアの甲板まで一気に上昇する。甲板に辿り着いた。


「エメ!」

「コウ!」


 叫ぶコウに、エメが涙目で通信してきた。


「よくやった、エメ! もうすぐみんなも来る!」

「コウ……」


 甲板では、シルエットが対空射撃を行っている。

 ヨアニアとクアトロ・シルエットだ。周囲を見渡すとアストライアの対空兵装は破壊し尽くされ、シルエットが対空射撃を行っているのだ。

 この世界で最も頑丈な甲板の一つであろうアストライアの甲板にもダメージが残っている。想像を絶する攻撃を受け続けていたのだ。


 タキシネタが次々とコールシゥンを撃墜していく。

 スターソルジャーはやはり敵と互角程度。エッジスイフトの援護に回っている。


 ブルーはその装甲と積載能力を利用し、コールシゥンに対空ミサイルを浴びせていた。


 コウは甲板で目的の人物を見つけ、通信を試みる。


「あなたが黒瀬さんですね。萬代屋杲といいます。エメとアストライアを助けていただきありがとうございました!」


 通信ごしに深々と頭を下げるコウ。いくら下げても下げたりない。一番エメが辛いとき、助けてくれたのは彼なのだ。


「おう。君が例の日本人か! 同郷のよしみって奴だ。気にするな! それに戦闘はまだ終わってない。一緒に戦おう!」


 コウがいかに黒瀬に感謝しているか、それだけでも痛いほど伝わってきた。

 むしろ、その若さが微笑ましく、好ましいとさえ思った。大人ほど、理由をつけて諦める。


「はい!」


 コウもまた、対空戦闘に参加する。ラニウスも呼応してか、いつもよりAK2の精度が上がっているようだ。


「エメ! 聞こえる? 私達もその海域に到着する。あと少し!」

「アキ!」

「よくがんばったね、エメ」

「うん!」

 

 仲間が次々と現れる。

 耐えた甲斐があった。それは身を挺して彼女を守り切ったファミリアたちのおかげだろう。


 上空を見るとスターソルジャーが増えていく。


『エメ。制空権確保です』


 敵機が撤退を開始し始めていた。

 飽和攻撃特有の追加で投入される戦闘機編隊もない。


「制空権確保。これで戦闘機が安全に着艦できる。――皆さんありがとうございます!」


 エメの声が全軍に響く。


 遂にエメとアストライア率いる空母打撃群は、多大な犠牲を払いながらも成し遂げたのだった。


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