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『戯』 その6

だいぶ急ピッチなんで後で絶対直します!

 漢字の能力は一つにつき多くても三つ発現する。

一つ目は漢字を所有したときに元から発現している。弱い能力が多いが、使いこなせば応用がききやすいものや、武器系統ならば熟練度を上げるものが多い。

二つ目に発現する能力は保漢者が漢字を使いこなし、心から新たな力を欲した時に発現する。強力なものが多く、そのときの状況に合った能力になることが多い。

三つめに発現する能力はめったに現れないが、漢字そのものと言ってもいいほどの強力な能力になる。俺もまだ見たことはない。


 俺は今二つ目の能力を発現している。正直、ここまでは努力次第でどうにもなる。だが、さっきから使おうとは思っているんだが、使えない。


「……何してるんだよあいつ」


 俺一人でやれってことか?だが1対2かよ。せめてドマがもう少し闘えればなあ。だが、これ以上闘わせることはできない。俺の背中側で今も倒れている。


「坊よ、ここは儂が行こう。坊の能力と儂の能力では共に闘いづらいのでな」


「うん、わかったよ!」


 お、ありがたいことに婆さん一人か。確かに『巻』じゃあ婆さんの呼び出す動物を巻き込んじまうな。二人まとめて闘うのと一人を相手に二回闘うのはどっちが楽かなあ。


「『鵺劇』」


 婆さんは四匹の動物を呼び出す。トラ、タヌキ、サル、ヘビを一匹ずつだ。

この中でタヌキとサルは無視しておいてもいいな。タヌキもサルも大した戦闘力はないだろう。

問題はトラとヘビだ。トラは肉食動物だ。その牙と爪には注意しなければならない。俺なんか一噛みで致命傷になりかねない。そしてヘビは毒があると考えていいだろう。しかもここは草原だ。下の草で気を抜くと見失いそうだ。意識を向けておかないと。


「『幻焔』」


 幻の炎を四つ創る。今回の炎は相手の動物に合わせてそれぞれ動物の形にしてある。幻だからこんなこともできるのだ。特に意味はないんだけどな。


「さあ、来やがれ!」


 婆さんの操る四匹の動物が俺の炎とぶつかる。当然相手は幻であることを知っているから無視してそのまますり抜けようとする。


「さっきの闘いを見てなかったのか?まずは一匹だぜ」


 幻の炎をすり抜けようとした四匹の動物のうち、一匹だけ炎に焼かれる。方法はカバネを殺したときと一緒だ。幻の炎の中に一つだけ本物を仕込んでおいた。さっきの闘いでほとんど火は消えかけていたが、一つだけ残っていて助かった。

 ……これで最後を使っちまったけどな。他にもつくっておいた火種は運の悪いことに雹で消されてしまった。


「ほっほっほ。もちろん見ていたよ。婆をなめるなよ?」


 ん?残った他の動物の様子がおかしい。今焼き殺したのはトラだ。最も危険性の高いやつだと思ってトラに本物の炎をぶつけた。これで残るはヘビに注意すればいい、そう思ってのことだったんだけどな。


「……なんだ、そいつらは」


 最初は目の錯覚かと思った。だが、明らかに一匹だけ大きく違うから錯覚だとは思えない。


「ほっほっほ。これが儂の『鵺劇』じゃよ」


 サルとタヌキの手足には縞模様と爪が現れ、まるでトラのようであった。だが、これだけならば違和感程度で済んでいたかもしれない。俺が違和感でないと確信したのはヘビに現れたトラの要素であった。


「ほぼトラじゃねえか……」


 ヘビの身体の半分から顔までがトラの上半身になっていたのだ。下半身はヘビの下半分、上半身はトラの身体と前足と顔。バランスの悪いことこの上ない。俺の予想どおり、まともに動けてはいないようだ。

 だが、タヌキとサルは格段にパワーアップしている。牙こそないが爪は驚異的だ。

 そして二匹は飛び掛かってくる。くそ、もう新しく火をつくる時間はねえ。逃げ回って火ができるのを待つか?


「ボタンちゃん‼」


「「ギャッ」」


 タヌキとサルは飛び掛かった空中で何かに撃たれたかのように勢いを失って落ちていった。振り返ってドマを見ると周りには雹が浮いている。無茶しやがったな。


「……しかも赤いってことは血か」


「少しくらい俺にも命を張らせてくれよ」


 空気中の水分はさっきほとんどを雹にしてカバネに撃ち込んでいた。少なくなった今は血を凍らしたようだ。文字通り命を削って。


「……残りはあの歪なヘビだけか」


 だが嫌な予感はまだ終わらねえ。先ほどヘビが歪になったのはトラを殺したあとであった。これでタヌキとサルを殺したらどうなるか、さすがに分かるぜ。


「これで条件は整ったぞ。いでよ鵺!」


 ヘビについていたトラはさらに姿を歪めていく。顔はサルに、身体は色的にタヌキか?足はトラであろう。尾はヘビになっている。


「これぞ『鵺劇』の真の能力、他の動物が倒されるたびに他の動物へと合成されていき、最終的には一つの動物となる。鵺をこれまでの四匹と同じと扱わんほうがいいぞ」


 元から雑に扱えるはずがない。俺の手持ちにはもう幻の炎しかない。ドマはもうこれ以上さすがに闘わせられない。


「なら俺一人でやるしかないか」


 鵺とやらの力は未知数。俺は疲労困憊。絶体絶命に近い。しかもこいつを倒せても後ろには『巻』を使う子供が控えている。しかしこいつなんて名前だったっけ?えーと……カラマンだったような。いや今はそんなことどうでもいい。

辺り一面に幻の炎を創ってまた地面に火種を置いておくか?そうすれば下手に近づいてはこれないはずだ。


「『幻炎』」


 何とかこれで火傷でも負って欲しいものだ。だが、鵺は軽々とジャンプをし、炎を飛び越え、こちらまでやってきた。

ミスったな。こいつの能力を完全に見誤っていた。鵺は悠々と足を上げその鋭い爪を見せびらかすようにした後、俺へと振り下ろす。

もう駄目かな、そう思ったとき、鵺は炎に包まれた。


……これは俺の能力であって俺のではない能力だ。


「……遅えぞ、何回呼んだと思ってんだよ」


「はっはっは、いいじゃねえか。俺もようやく気が向いてきたんだからよ」


 ……ったくよ、後は頼むぜ『焔』よ。


あと2話で終わりかな?

これ終わったら見直しながら、本編も進めます

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