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魔法 イグニスの継承者

 集中力。それは、魔法においての基礎である。集中力がないと、魔法の基本、転移魔法すら使うことが不可となる。つまり、逆を言えば集中力さえつけてしまえば魔法は使いたい放題となる。が、否。この世界ではそんなには上手くはいかない。俺にとっての魔法は便利なものばかりだと思っていた。だが、それは単なる俺の考えにしかすぎなかった。




 ──そう。イグニスの継承者が現れるまでは・・・・・・




 ──ある日。



 「おはよう未来君」

 「おはようアカネ」


 

 俺はアカネに挨拶をしながら席へと着いた。


 

 「アカネっていつも学校来るの早いよな」

 「そうかなぁ~。」


 アカネは人差し指を下唇にあてて答えた。

アカネが学校に来る時間は本当に早い。俺が登校初日の時は1時間近くも前に着いたのにも関わらずアカネも学校に着いていたのだ。早すぎだろ・・・・・・



 「ふったりとも~。おっはよー!!」


 次々と教室の中に生徒が入ってくる波に流されながら一人の生徒がこちらへ挨拶をしてきた。

名前はラナと言っただろうか。とにかく元気が取り柄の少女だ。髪は茶色に染まっていて、ラナの髪形のことを一般にツインテールと言うのか、髪を二本に分けて結んでいる。



 「おぉ、ラナ。おはよー」

 「おはよ~ラナちゃん。今日も元気だね」 

 「二人はいつもラブラブだね!!」

 「おい、ラナ! な、な、なに言っているんだ!」

 「あれ~未来君。顔赤くなってるよ?」



 含み笑いで言うアカネに対して、ラナも、


 「そうゆ~アカ姉も顔赤いよ?」

 「そ、そんなことない・・・・よ・・・・多分」

 「アカ姉恥ずかしがってるぅ~」

 


 アカ姉。まぁ、そのまんまアカネのあだ名というより呼び名だ。クラスの半数以上からはアカ姉と呼ばれている。誰が付けたのかは知らないが、俺が転校してくる前から呼ばれていたらしい。


 生徒の波がなくなった。っと、同時に教室に担任の先生が入ってきた。



 「は~い、みなさ~ん。ホームルームを始めますよ」


 

 ほんっと、ホームルームとか教室の雰囲気だとか日本とあまり変わらないところが正直驚く。魔法って言う意味の分からないものは存在するわ、街は西洋のような景色を維持しているところを思うと想像がつかない。



 「え~と。では・・・・」



 ───ドガドガッ、ガン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



 先生の言葉をかき消すかのような爆発音と破裂音がけたたましく鳴り響いた。教室が一瞬にして静まり返り、ほんの数十秒たらずで教室に悲鳴と先生の叫び声が響いた。



 「え、なに。なにがあったの?」

 「みんな見て! 廊下から煙が!!」

 

 俺もその言葉を聞き廊下側に視線をずらした。


 「ッッ!!!!」



 教室の中にいた誰もが唖然としてその光景を見ていただろう。そう、煙がでる。っと言うことは・・・・火だ。


 「み、みんな! 落ち着いて!! とにかく転移魔法で外に!!」


 先生の指示に従って次々に転移魔法で脱出をするクラスメイト。が、一人だけ転移魔法を展開しない人がいた。



 「おい、アカネ! 早く転移を!」

 「未来君・・・・向かい側の教室って・・・・」

 「向かい側? ・・・・・・!! まさか! 魔力吸収ルーム!」



 魔力吸収ルーム。実際に魔法が使えない状態での訓練のようなものをする特別室があり、それがちょうど向かいの教室だ。なぜ、そのような部屋があるかは俺には分からない。が、ちょうどこの時間向こうの教室は使用中だ。つまり・・・・・・


 

 「まだあそこには人が・・・・! 未来君。私行って・・・・」


 今にも走り出しそうなアカネの腕を俺は掴んだ。


 「未来君なにを! 離してよ!! あそこにはまだ人が」


 アカネの訴えを完全スルーした。

女の子一人を危ないところへは行かせられない。そもそも、俺のプライドが許さないからだ!



 「転送魔法展開!」

 「え、みら・・・・」



 徐々にアカネの身体が光に包まれる。光に包まれるのもほんの数秒。光が消えた時にはもうアカネの姿はどこにもない。そう、転送が完了したと言う意味だ。俺はそのまま、転移魔法を展開して魔力吸収ルームへと転移をした。




 魔力吸収ルームへ転移が完了したところで、人数を確認した。

二・・・・六・・・・十一。十一人!


 「おい、大丈夫か!?」


 幸い負傷者はいなかった。


 「よし、このまま脱出を・・・・・・」

 「無理だ、ここは魔力吸収ルームで魔法は使えないんだ」

 「だから、助けに来たんじゃ・・・・」



  ・・・・・・・・完全にバカだ。魔力吸収ルームだから、俺が助けにきたのに・・・・俺も一緒にこの部屋に入ったら何の意味もないじゃん!! どうする、どうする・・・・・・どうしよ!!



 「先生! 何かないんですか!」

 「ない!」


 

 そんなにきっぱりと断言するなよ!


 あ~くそっ! どうする。なにか手立てはないのか・・・・・・


 

 「悩め、悩め。どうせ助かりはしない」



 あれこれの試行錯誤の最中。どこからか消え入りそうな声が聞こえる。


 「誰だ!」

 「我が名はイグニスの継承者」


 イグニスの継承者・・・・・・なんだそれは。イグニス・・・・!!!

俺の脳内を一つの打開策が横切った。


 イグニス・・・・。ラテン語で『火』だ! 最初からおかしいと思っていたことが一つあった。教室内から見える廊下はさっきより火が燃え上がっているのに一向に教室内に燃え移らない。その答えがさっきわかった。イグニスの継承者そいつが火をつけた。火をつけた方法はなにか・・・・魔法だ。魔力吸収ルームだからこそ、魔法でつけた火は教室内には燃え移らない。ここまでが分かればあとは脱出方法だ。


 「先生! この部屋は魔法が使えないんですよね?」

 「あぁ、そうだ」



 俺はニヤリ。っと、含み笑いをしたと同時に何とかなった。っとい喜びを覚えた。



 「じゃあ先生。召喚術は?」




 いつの日だっだろうか。

俺は召喚術は一つの魔法だと思っていた。が、否。そうではなかった。

確かに魔法と召喚術は同じ理論で成り立っているものだが・・・・結果としては二つは別物。例えるなら足し算と引き算。この二つは同じ『算数』という分類だが計算方法は別物。それと一緒だ。



 そして、召喚術には大きく分けて二つの召喚方法がある。



 一、自分のいる場所にある特定の人を呼び出すやり方。


 二、今いる場所以外の特定の場所を指定して自分または、他の人をその場所に召喚するやり方。魔法で言う『転送』だ。

 



 「我が身とこの場の十一名をコロッセオに召喚!!」



 瞬間。青白い光に身体が包み込まれた。魔法と違い眩しい光ではないが、召喚術はとてつもない体力を消耗する。それも自分を含めた十二名もの人を一気に召喚するのだから、それこそ一人の時との比にはならない。



 さっきまで自分の包み込んでいた青白い光は徐々に消え去り、視界には見慣れた村が広がっていた。召喚した十一名はそれぞれ転移魔法で家に帰るなり学校に戻るなりした。



 「未来君!」

 「え! あ、アカネ。どうしてここに」



 そして一番驚いたのはアカネがコロッセオにいたことだった。



 「よかった。無事で・・・・心配・・・・したんだから」


 今にも泣きそうな声で必死に喋るアカネ。


 「ごめん。でも君を危ない目には・・・・」

 「あなたね。すこしは気を使ってあげなさいよ」


 アカネの後ろから次に姿を現したのはカナだった。


 「・・・・・・・・」

  


 しばしの沈黙が続いたかと思うと、一瞬にして吹き飛んだ。


 「おかえり。未来君!」

 「あぁ。ただいま」



 やっぱりあの時取った行動は間違っていはいなかった。

終わりよければ全てよしという言葉があるが今は、始めから終わりまで全てよしだな。



 ・・・・・・・・




 「そうだ、カナ。イグニスの継承者ってしっているか?」



 ふと、イグニスの継承者のことが頭に浮かび、カナに聞いてみることにした。が、それは間違いだった。



 「あなた、それをどこで!!」 




 さっきまで穏やかだったカナの表情が一瞬にして険しい表情となった。



 

 


 


 

 

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