学び 召喚術の基礎
俺は召喚術師になることは決断した。
それは、他の誰でもないカナのために。
ただ、予想を遥かに越えた。そう、召喚術師になることは並大抵の努力じゃなれないものだった。例えるなら、100人召喚術師を目指したとして、最終的に召喚術師になれるのは、たったの三人いるかいないか。
だが、俺は諦めない。カナのために・・・・
「何度言ったらわかるのよ!! 召喚術の基本は集中力よ!」
「あ~、もう。さっきからやってるだろう!」
「できていないから言っているの!」
あー、もう。諦めたい。そもそも集中力つけて、風をおこして火を消せとか無理だろ!!
難易度高過ぎ、基本難!!
そんなある日。
「未来。あなた、学校に行きなさい」
「は? 学校?」
この世界には学校と呼ぶものが存在していたことは、随分と前から知っていた。俺のいた世界とは異なっていて、魔法について学ぶ場所らしい。
「召喚術も魔法の一つのようなものよ。だから行きなさい」
「いや、別に構わないが、急になぜ?」
「あなた、魔法について何も知らないでしょう。」
知らないに決まっている。俺の世界は魔法ではなく、科学が発展した世界なのだから。そもそも、魔法なんて漫画やアニメの世界の概念ばかりと思っていた。
っと、要するに。いろいろあって、学校に通うこととなった。カナは学校に行っているのか? っと問うたが、既に卒業していたらしい。
最初は学校に行くことを拒否した(それは、召喚術師になることを拒否した以上に)のだが、
「もう、入学手続きはしてあるから」
とのこと。という訳でいやいや学校に通うことになった。もとの世界では、俺は高校二年生であった。ここに来てもう、三ヶ月はたった。つまり、向こうでは高校三年生になったばかりか。
召喚術の勉強を初めてからは、もとの世界のことを考えるのは極力避けてはいたのだが、それでもたまに思い出してしまうのは、やはり帰りたいからだろう。
だが俺は、カナの両親を救ったら必ずもとの世界に変えると決めた。だから、今は一日でも早くカナの両親を救うことだけを考えている。
──学校登校初日。
俺は朝早く家を出て学校へと向かった。初めて通う場所なので迷ってもいいように早めに出たのである。が、バカだった。家から学校まで徒歩でおよそ十五分かかるかかからないか。
にもかかわらず、集合時間の一時間前についてしまった。
完全にバカだ・・・・
「君が今日から来る転校生?」
ふと、後ろから声をかけられ、振り向くと一人の女の子が立っていた。カナとは対象にロングヘアーとでも言うのか。腰まで髪を伸ばしていて、青色に染まったその髪は、美しいそのものだった。
「 え、まぁ一応・・・・・・俺の名前は未来。湊未来」
「ミナトミライ?」
彼女は始めて聞く発音なのか、首をかしげている。
「君は?」
「あ、ごめんね。私の名前はアカネ。よろくしくね~」
彼女はにこやかな笑顔で挨拶をした。
あ~。なんと素敵な笑顔だろうか。
そういえば、この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがある。それか、この世界の一人の名前には『性』がないのだろうか。
カナや目の前の女の子もアカネと『名』しかない。
「・・・・らいくん。・・・未来君!」
「え、あ、なに?」
「門・・・・開いたよ?」
もうそんなに時間たったか?
軽い疑問を抱きつつも校舎へとアカネと横にならんで向かった。
「じゃあ、未来君。自己紹介を」
朝のホームルームの時間に先生は俺の自己紹介の時間を設けてくれた。
「今日からこの学校に通うことになった、湊未来です。」
「え~と、それじゃあ。未来君には空いている席を・・・・」
「先生~、ここ空いてますよ」
見ればアカネが自分の隣の席を指差していて、俺はアカネが指差している席へと腰をおろした。
気づけばこのクラス・・・・男が俺だけだった。
その日の放課後。
「どうだった? 初めての学校は」
家に着くなりカナに問われた。
「あぁ、魔法の基礎は集中力と言うことが学べた」
俺はこの世界に来て三ヶ月。集中力がどれ程大事なのか学んだ。それについては後日語るとしよう。
今回も読んで下さりありがとうございます。
感想、アドバイス等あればよろしくお願いします。
ぜひ次話も読んで下さい。