3.箱
「これは、何かに使えるかもしれない」
「綺麗だな。捨てるのもったいない」
こんな理由で空き箱をしまっていないだろうか。
私も箱をしまっていた時期があった。
いや、実際箱をしまっておいて役立った事もある。
テレビゲーム機が壊れた時、修理に送るのに箱が必要だった。
ああ、とっておいて良かったと思ったものだった。
引っ越しの時、電化製品を梱包するのにぴったりサイズの箱が必要だった。
ああ、とっておいて良かったと思ったものだった。
なんか細々した物をしまうのに適当な箱は無いかな……、あった!
ああ、とっておいて良かったと思ったものだった。
でも、思いついたのって、この3つくらい。
後は、箱があってすごく良かったという記憶が無い。
むしろ、箱があったがために、余計な物をしまいこんでしまい、結局あとになって大量のごみと化してしまったという、失敗の記憶の方が多い。
先に挙げた3例だって、箱がとってなければないで、どうにでもなったろう。
箱を大事にとっておかなかったために、暮らしに致命的な打撃を受ける事など絶対に無いのだ。
そもそも、箱は危険だ。
しまってしまうと、中に何が入っていたのか判らなくなる。
それをクローゼットの奥に入れでもしようものなら、もうアウトだ。
何年間にもわたって、空間の無駄使いをしてしまうのだ。
宝石や現金ならともかく、長期しまいこんでしまうような物なら、持っていなくていい。
前回書いたクレジットカードのように、暮らしていくうえでメインで使うものはわずかなのだ。
使わないものは捨ててしまって良い。
服とか食器とか、高級だから普段使うのはもったいないというのなら、それは逆だ。
普段使わないほうがもったいない。
高級品こそ普段使いしよう。
そうすれば、あなたも私も普段から高級なモノを使う、高級なヒトになれる。
安っぽいモノを使ってばかりでは、人間まで安っぽくなってしまいかねない。
先日靴を買った。
靴の入っていた箱は、もちろん、真新しいまま、即解体されてリサイクルペーパーとなった。