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恋猫シリーズ

恋猫

作者: にぷる

なんで猫なん?!


とは思わない


依月いづきは猫が大っ嫌い


じゃあ「なんで猫なん?!」って


思われたかというとね、


それには深~い過去が


あるわけだ……





―――――それは


小さいころ、猫にかまれたり


ひっかかれたりしたからじゃないよ


でも怒ったよ


だって僕の顔がきずだらけに


なっちゃうでしょ


なんたって僕はカッコいいからね


そう、依月は自分大好きナルシなわけ


でも猫を嫌いになることは


なかったよ


なんたって依月の夢は


猫と結婚することだからからね


ここで僕の彼女を紹介しよう


三毛猫の十楽そら


わがままだけどかわいいから


なんでも許せちゃう


食事中に机の上にのってきても


暴力ふるわれても


なんでも


かわいいところもあるんだ


寝顔とか


じゃれてくるところとか


すりすりしてくるところとか


一緒にいるともう


ほかに何も要らないって思えてくるんだ


彼女と出会った時


僕は彼女に黄色い首輪をプレゼントした


そしたら彼女は僕にキレイな石っころ


をくれた


一生大切にするからな








でもある日、


どーしても許せないことがあった


それはね、十楽が散歩に出掛けたとき


たまたま変な噂を聞いたらしんだ


僕がモルモットの優芽うめ


と浮気してるってゆーの


はっ、ばかな


十楽がこんなあり得ない話信じるわけない


って思ってた


でも十楽は僕の思いを裏切ったんだ


十楽、嫉妬して優芽を噛み殺したって…


散歩から帰ってきた十楽が言ったんだ


僕はすごく怒ったよΣ( ̄皿 ̄;;


もう許せなかった


そして大喧嘩した末に


十楽は僕の家から


出ていってしまった


そのときにもらった


猫ビンタは


涙も吹き飛ぶほど痛かったよ


だから、僕は


猫が嫌いになったんだ…


でもそんなことより


優芽のことが気になったよ


なんたって優芽は


僕にとって大切な存在だったからな


つまり依月は優芽と浮気してたってわけだ


だから十楽の言ったことは


依月を思ってのこと


十楽は本当に依月を愛してたんだ


……それなのに



あの頃の僕は目の前のことしか


見えなかったから


十楽の淋しさなんてわかんなかったし


僕には十楽より優芽が好きだったんだから




世間が「最低ー!!」


だのなんだのと騒いでも


全然へっちゃらだった


確かに僕が悪かったけど


優芽を噛み殺した十楽のほうが


よっぽど悪いじゃないか!!




とはいっても


なぜだろう


僕はまだ十楽を忘れられることは


できなかった


今は優芽が好きなはずなのに


なぜだろう


いや、その答えは


とるに足らない


だってあんなに楽しかったんだよ


忘れられるわけないじゃんか








――――――――だから今日


僕は我慢できず


十楽に会いに行くことにしたんだ


一度でいい


どーしても話がしたかったんだ




あれから十数年たっていた


そんなにたってるなんて


正直ビックリだ


その間ずっと忘れられなかったんだからな




そして今、僕は十楽の家の前にいる


インターフォンを押す僕の手は


震えていた


ピンポーン


その音が妙に大きく感じたのは


僕の心臓に響いているからなのかな


数分まったけど


十楽はでてこなかった


もう、僕のことは忘れてしまったんだ


きっと


帰ろう、もう、忘れよう









その帰り道


僕の十年間が一瞬の


夢にかわってしまった


ような気がした





目の前に…僕のすぐ前に十楽はいた


言葉がでなかった


動くこともできなかった


嬉しいはずなのに


…………痛!?


ひっかかれた


あのときのこと思い出した


あのときのと同じ怒りが吹き出てきた


それと同時に涙が


今度はちゃんと涙が吹き出してきた


痛い…痛いのに


なんでかな


この痛みは


なんとなく


十楽の心の痛みのような


気がした


涙で視界がぶれてきた


くそ!


十楽が見えない


喉が熱くて声が溶ける


くそ!


涙のせいで


瞬きしてしまった


その一瞬さえも惜しい


視界が少し晴れてきた


でもそこにはもう


十楽の姿はなかった


その代わり


そこには


十楽と楽しく遊んだ思い出が


転がっていた

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― 新着の感想 ―
[一言] ざんしんで ひきこまれます ありがとうございました
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