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凶鏡狂境  作者: 七色虹
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出会い

この作品はAIを使用しています。ストーリーの構成と下書きは自分でやっていますが、読みやすい文章にしてもらうためにAIを使用しております。ほとんどの文章力はAIのものです。ご了承ください。

『王子失踪から三年――やはり陰謀か!? 専門家が語る』

『盗賊団による強盗被害が急増! その対策とは――』

街道のど真ん中に落ちていたボロボロの新聞を、一人の少年――ヒイロが拾い上げた。

しばらく記事を眺めたあと、ヒイロは新聞をぐしゃりと丸める。

そして。

むしゃ。

「…………」

真剣な表情で咀嚼する。

数秒後。

「まずい」

最後にまともな食事をしたのがいつだったかも思い出せない。

三日前だった気もするし、一か月前だった気もする。

とうとう限界を迎えたヒイロは、その場で大の字に寝転がった。

陽光を閉じ込めたような陽色の髪が風に揺れる。

通行人たちは「なんだあいつ……」と怪訝そうな視線を向けるが、そんなものを気にする余裕はなかった。

「あの雲……メロンパンみたいだな……」

そんな呑気なことを呟いた、その時だった。

――バリンッ!!

凄まじい破砕音が響く。

ヒイロの真上から、無数のガラス片が降り注いだ。

「うおっ!?」

反射的に顔を上げる。

そこには

空中に浮かぶ一人の少女がいた。

建物の三階ほどの高さ。

今まさに窓を突き破って飛び出してきたらしい少女が、宙を舞っている。

桃色の髪が陽光を受けてひるがえる。

大きなぐるぐる眼鏡の奥の表情は見えない。

だが、その動きだけは異様なほど洗練されていた。

その腕には大きなカバン。


逃げる最中だというのに、少女はそのカバンだけは決して手放そうとしなかった。


割れた窓からは屈強な男たちが身を乗り出して怒鳴っていた。

「待ちやがれ!!」

「そ、空から女の子が……!?」

ヒイロは思わず呟く。

しかし少女は気にする様子もなく、近くの屋根へと着地した。

トン。

軽やかな足取りで屋根から屋根へ飛び移り、そのまま逃走を続ける。

「ん……?」

その瞬間。

ヒイロの鼻がぴくりと動いた。

くんくん。

くんくんくん。

鼻先がある一点で止まった。

「食べ物の匂いだ!!!」

視線が少女の持つカバンに釘付けになる。

次の瞬間には、ふらふらの足取りのまま走り出していた。

考えるより先に身体が動いていた。


少女ーーレイは唇を噛んだ。

(くそっ目立っちまった。どこか人通りの多いところへ……!)

荷物を抱きしめたまま、レイは屋根から飛び降りた。


その下には

ヒイロが涎を垂らしながら立っていた。


「うわぁああああああ!!!!」


「ブフォッ」


レイは避けきれずヒイロの顔面を踏みつける

「何してんだお前!!」


「わ、ごめん無意識だった……」


ヒイロは鼻血を垂らしながら謝る


ぶつかった拍子にカバンの中身が出てしまった。


そこには紙袋に入ったパンと手のひらより少し大きいくらいの鏡があった。


転がり出た鏡が石畳を滑る。


カラン。


夕日を受けた鏡面が一瞬だけ輝いた。


その瞬間。


ヒイロはなぜか目を離せなくなった。


胸の奥が妙にざわつく。


だが次の瞬間には、


「パンだ!!!」


全部吹き飛んだ。


「おい!見つけたぞ!」

「何だあの男!仲間がいたのか!?」


割れた窓から飛び出してきた男たちが、殺気を剥き出しに駆け寄ってくる。

その中の1人が腕を伸ばして叫ぶ


「潰れろ!『重圧』!!!」


その瞬間。


ズドォン!!


目には見えない巨大な塊が、空から叩きつけられたかのようだった。


石畳が蜘蛛の巣状に砕け、


レイの体は強制的に地面へ押し付けられた。


「ぐっ……!」

肺が潰されそうだ。

呼吸するだけでも激痛が走った。


男はニヤリと笑う。

「終わりだ」


「おーいカガミは割るなよ」

仲間らしき男が遠くから声をかける。

ジリジリと男がレイに近づいてくる。


レイは必死に顔を上げ、ヒイロを見る。


――そこにいたのは。


正座してパンを食べている男だった。


そして、黙々と紙袋からパンを取り出し大事そうに抱え、食べ始める。

(何してんだコイツ!?)

もぐもぐもぐ…一通り咀嚼してからパンを飲み込み


ゴクリ

「ぷはー!助かったぁ!!」

そう言ってレイの方を向き

「ありがとう!あとちょっとで死ぬかと思った!!」


「おいおい何で俺の重圧を受けて平然としていられるんだ!?」


「え?なんかやってたのか??通りで肩重いと思ったー!」

腕をブンブン回しながらヒイロは男に近づく。


「そんなことより!大勢の男が少女を追いかけ回すのは良くないぞ!!」


そう言ってヒイロは男の肩に手を置く。


「グアッ.....ツ!?」

男の肩が悲鳴を上げるような音を立てる。

「な、なんだ......!?俺の『重圧』が効いていない......!?」

男は後ずさる。

目の前の少年は、ただ不思議そうに首を傾げていた。


「ん?どうした??」

何も気がついていないのかヒイロは男の顔を覗き込むように見る。

「お、頭になんかゴミついてるぞ。」

そう言ってヒイロは男の頭に手を伸ばす__

「か、かっ解除!」


レイにのしかかっていた重圧がなくなる。


「な、なんなんだコイツ……!」 


男の顔から余裕が消える。


「退くぞ!こいつは俺たちじゃ相手にならねぇ!」


男の仲間はそう言って消えていった。


「と、取り敢えず助かったのか……??」

レイは困惑していた。

先ほどまで怪物のような力を見せた、陽色の髪の少年に。

「立てるか?」

何事もなかったように、ヒイロはレイへ手を差し伸べる。


「あ、あぁ大丈夫だ。」


レイは真っ先に鏡へ飛びついた。


傷はない。


鏡面にひびも入っていない。


そのことを確認してから、

ようやく安堵の息を吐く。


「助かった。ありがとな」


「礼なんていらないよ!困ってる人を助けるのは当たり前だ!」


その瞬間。


『ぎゅるるるるるううう』


静まり返った街道に、獣の咆哮のような腹の音が響き渡った。


「…………」

「……あはは、ちょっとお腹空いててさ」


レイはヒイロのボロボロの服と、痩せた体を見つめる。

さっきまで化け物じみた力を見せていた男とは思えないほど、彼は腹を空かせていた。


「……ご飯でも奢ろうか?」

ヒイロの目が輝いた。

「ご飯!?」

「おう」

「行く!!!!」

即答だった。


街の喧騒から少し離れた小さな食堂。海の近いこの街では魚料理が名物らしい。店の隅では子供が指先から水を出して遊び、厨房ではコックが火を吹いて魚を炙っている。


魔法が日常に溶け込んだ、ありふれた光景だった。


「好きなものを頼めよ」

そう言ってレイはヒイロにメニューを渡す。

がヒイロはメニューすら見ずに店員にオススメを聞いて次々と注文していく。

(コイツ……どんだけ食うつもりなんだ!?)


桃色の長いおさげを結び直しながらレイは言った。

「自己紹介がまだだったな。オレの名前はレイ。お前の名前は?」


「俺の名前はヒイロだ!よろしくな!レイ!!」

ヒイロは他の客に運ばれていく料理の匂いを嗅ぎながら答える。


「その…いや、答えたくなかったら答えなくていいんだが、お前はなんでそんな格好なんだ?」

ボロボロの服とボサボサの髪、その身一つで荷物は何も持っていない。

「えへへ、実は俺、世界を旅しているんだ!」

「旅……?」

「ああ、それで、この街にも休憩がてら寄ったんだけど……道中でチンピラに襲われて荷物全部取られちゃった!」

一文無しとは思えないほどの明るい笑顔で答える。

「それで数週間はご飯食べれてなくてさー!本当に今日レイに出会えて良かった!ありがとう!」

レイはその眩しい笑顔に少し照れたように顔を背ける。


「でも困ったなー!ほんと!これからどうしよう」

ヒイロはでかいため息を吐く。


「働き口を探すにも、俺、マホウ使えないしなー!」


ははは、と笑うヒイロの声が店内に響き渡った。


 その瞬間、食器の擦れる音がピタリと止まる。


周囲の客たちが、まるで『信じられない化け物』を見るかのような目で一斉にこちらを振り返った。

「使えない?」

「おいおい、嘘だろ」


「そんなやついるわけ……」

客たちの囁き声が、波のように広がっていく。 


この世界において、生まれながらに固有魔法を持たない者はいない。

魔法を使えないということは、人間として欠けているということだった。


「……は?」

レイもまた、絶句した。

「そもそもマリョク?ってやつがさ――」

「待て待て待て一旦黙れ!!」

 レイはガタッと立ち上がり、ヒイロの口を強引に両手で塞いだ。周囲のざわつきが大きくなるのを感じ、額に冷や汗を浮かべながら、引きつった笑みを作る。

「あ、あははは! お前ってホント、固有魔法がヘタクソだもんなぁー!発動に三分かかるのを『使えない』なんて大袈裟に言うなよー!」


「……?」

 ヒイロがレイの手の中で目を丸くする。周りの客たちは「なんだ、不器用なだけか」「紛らわしいな」と納得したように自分たちの会話に戻っていった。


店内にようやく元の喧騒が戻り始めた頃、店員が大量の料理を運んできた。

黄金色の焼き目が美しく、ふっくらとした身が食欲を誘う。

「んー!んー!」

「あっ、悪い。口塞ぎっぱなしだったな」

 レイが手を離すと、彼女の手のひらにはヒイロのよだれがびっちゃりと付着していた。

「ウゲェッ……」

手を拭きながら小声で言う

「どういう嘘だよ!魔法が使えない人間なんて、存在するわけないだろ」

「でも本当だし……」

「いやいや、じゃあさっきの身体能力何だったんだよ」

「あぁ…さぁ?」

ヒイロは軽い感じで返事する。

もはや頭の中は、目の前の魚料理をどこから食べるか、それだけでいっぱいだった。


「いただきまぁぁす!!!」

食堂中に響く声と同時に、ヒイロは料理へ飛びついた。

「うまっ!! 何これうまっ!!」


目を輝かせながら、次々と料理を口へ運んでいく。


それを呆れたように眺めながら、レイは自身の財布をちらりと見る。

自分は水だけを口にした。


「なぁ、旅の話詳しく聞かせてくれないか?

知りたいんだ。世界のこと。」

「あぁ!もちろん!!そうだなぁ、1番印象に残った場所は白鳥を信仰する村だな!そこでは村民はみんな白鳥のレオタードを着てるんだが_______」


ヒイロが語るのは、信じられないような世界の話だった。

見たこともない文化、想像すらできない景色。


ぐるぐる眼鏡の奥のレイの瞳は、子供のように輝いていた。


「………ヒイロはいつ旅を再開するんだ?」

レイは窓の外を眺めている。

人々はそれぞれの目的地に向かって早々と歩いていた。

「そうだなぁ体力は回復したし、あとは無くしたお金分どこかで稼いで、食糧とか買ったら出発かなぁ…」

口をもぐもぐとさせながら話す。

「そうか……」

レイは飲み終わったコップのグラスの縁を指でなぞる。


食べ終わった頃にはもう日が落ちる直前だった。

レイはペタンコになった財布を眺めている。

「レイ!今日はありがとうな!マジで命の恩人だよ!!!」


夕日を受けたヒイロの陽色の髪は、まるで本当に太陽の欠片を閉じ込めたように輝いていた。レイは思わず目を細める。


眩しいのは、夕日のせいだけではなかった。


同じ頃。

月明かりさえ届かない海蝕洞の奥深く。

そこには、街の人々が決して知らない裏の世界が広がっていた。

積み上げられた宝石。

奪われた名画。

禁じられた魔道具。

どれも、持ち主の嘆きなど知らぬ顔で薄暗い洞窟の中に眠っている。

そこは、近頃街を騒がせている盗賊団のアジトだった。

「……失敗しただと?」

洞窟の奥から、低い声が響く。

その一言だけで、屈強な男たちの肩が跳ねた。

先ほどまで街でレイを追っていた男たちは、冷や汗を流しながら頭を下げる。


「チッ。何をしている。あの鏡一つで半年は遊んで暮らせる金になるって言っただろうが」


「異常に強い奴がいてな。奪い返し損ねた」

重圧使いの男が言う。

「だが、コイツがあの女の居場所を把握できる。体勢を整えてすぐに向かうつもりだ。」


そう言って床にドカリと座る。

水晶を持った長髪の男がスッと出て来て

「私の能力『捜索』であの女に印をつけている。この水晶を除けば、どこにいるか素早く見つけるとこができますよ。」

そう言って水晶に手をかざす。


「む?むむ?」


「見つかったか?」


「いや」


「向こうから来た」


「は?」


アジトの扉が開く。


そこにはレイが立っていた。


片手には鏡。


もう片方には。


気絶したヒイロ。


「やっぱりこれ返すので仲間に入れてください!」

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