5−3 龍
日差しが眩しくて目が覚めた。肩に腹に巻きつく腕が重い。
二人ともパジャマを着てるから、ベッドに入ってすぐ眠りに落ちたのだろう。
寝ようぜ?と力づくでベッドに引き込まれてからの記憶はない。
亮平はまだ寝ている。
彼も一昨日はほとんど寝ていないのに、私に付き合って一日中動いてくれていた。疲れているんだろう。
体に回された腕はがっしりとホールドを崩さない。
逃げないんだけどな、と思いつつ。力を抜いて、その胸に頬を寄せる。
昨日の夜はアレは姿を見せなかった。
事件や事故はエリアの外へ向かっている。
まるで浩を探すように。
今はまだエリアを出てはいない。
でも、七課の仕掛けを突破してしまったら。
「また、余計なこと考えてる」
ぎゅっと、体に絡みつく腕が強くなる。
「何にも考えられないようにしてやろうか?」
と、頭頂部に柔らかな感触とリップ音。
「…怖いんだもの」
素直な言葉が唇から溢れる。
「考えすぎるから怖いんだ。大丈夫だって」
肩にまわる手が、髪を撫でる。ぴったりとくっつくと亮平の鼓動が頭の中に響く。
「大丈夫。今回はかなりわかりやすいから」
亮平が寝返りを打って腕枕はそのままに仰向けになる。腕枕にしている腕を曲げて、私の頭を肩に密着させた。そのまま、優しく髪を撫でられる。あやすように。
「何がわかりやすいの?」
わからないことだらけじゃない。
どうして浩を助けてくれたのか。
浩を使って何をしたいのか。
浩を助けたって前提が違うんじゃないか、と亮平は言った。
「今回の子ども、あの子の背の御仁は浄化したいんだろ。ただ、祓いも必要。だから、優美子と浩なんだよ。まっすぐでわかりやすい」
「優美子を紹介したのは私よ。そんな、優美子に浄化させるなんて考えてもいなかったわ」
ただ、警戒していた紀久さんを安心させるために引き合わせた。下心もあったけど。
「多分、龍与が引き合わせなくても浩が引き合わせたさ。間違いない」
なんで。なんで、あの子達なの?
「多分たまたまなんだろうな」
私の考えを読んだように亮平が言う。
「背の御仁があの子どもに肩入れする理由はわからないが、浩がちょうど良くそこにいたから使ったんじゃないか?」
「そんなこと」
「結構あるだろ?こっちの界隈では。神様のお考えはわからんが、人が絡まなければ、結構単純じゃないか」
…そうかもしれないけど。
「足りなければ瀬越や安代を使うだろ。今頃使われてるかもな…久万里に電話してみっかな」
「何?いつもの直感?」
亮平の直感はバカにできない。島崎部長の経験に基づいた未来視に通ずるものがある。
「んー、今回のは思し召し、てやつかも。まじで神様案件かな」
なお、悪いじゃないの。




