1-5)「選ぶ基準」は自由だが、結果の責任は自分にある
「選ぶ基準」は自由だが、結果の責任は自分にある
この本のメッセージは、ずっと一貫しています。
「条件より、感覚で選んでもいい」。
でもこれは、「好きに選んでいいから、あとは知りません〜」という無責任な話ではありません。むしろ逆。自由だからこそ、自分の選びにはちゃんと責任を持とう、という話です。
【恋愛を「正解探しゲーム」にしてしまう罠】
婚活や恋愛は、つい「正解のあるゲーム」みたいに考えてしまいます。年収◯万円以上、学歴は◯◯、長男じゃない、親と同居なし、見た目は爽やか、性格は穏やか……みたいに条件を並べて、「これをクリアしたら幸せになれる」と信じたくなる。
なぜそうなるのでしょうか? それは、人間が本来持っている「不確実性への不安」があるからです。特に人生の大きな決断である結婚において、何かしらの「保証」が欲しくなるのは自然なこと。だから私たちは、数値化できる条件や社会的に認められた基準に頼りたくなるのです。
「この人と結婚して幸せになれるかどうか、わからない」という不安を、「でも少なくとも経済的には安心」「家族背景もしっかりしている」というような「確かな要素」で埋めようとする。それが条件リストの正体です。
でも、現実はそんなに単純じゃない。どれだけ条件を揃えても、うまくいかないときはあるし、逆に「正直スペック的には微妙だけど、なぜか幸せ」という関係もある。実際、周りを見渡せば、「理屈では説明できないけど、あの二人はぴったり」という例はいくらでもあるはずです。
では、どうやって選ぶのが正解か? と言われたら……ただ一つの正解なんて、ありません。
【「感覚で選ぶ」ことの本当の意味】
ここまで読んで、「じゃあ感覚だけで選んでいいのか!よし、今すぐフィーリング全振りでいくぞ!」って思った方。その勢い、いいと思います。感覚を信じる勇気は、恋愛において大切な要素です。
ただし、ひとつだけ忘れないでほしいことがあります。それは、どんな基準で選んだとしても、その選びの結果は、自分が引き受けるものだということ。
「感覚で選ぶ」というと、なんだか気ままで無責任なイメージがあるかもしれません。でも実は、感覚で選ぶことは、とても主体的で責任のある行為なのです。なぜなら、他人から借りてきた基準ではなく、自分自身の内側から湧き上がる感覚を信じるということは、まさに「自分で決める」という主体性の発露だからです。
【選び方に関わらず存在するリスク】
「直感で選んだ相手が、やっぱり合わなかった」
「好きな気持ちはあったけど、現実の生活はうまくいかなかった」
そういうこと、もちろん起きます。感覚で選んでも当然失敗はある。でもそれは、条件で選んでも同じです。
「ちゃんとした人だと思ってたのに、価値観が合わなかった」
「将来安泰と思って結婚したけど、全然幸せじゃなかった」
「条件を全部クリアしたのに、どこか物足りなかった」
「親や友人が太鼓判を押した相手だったけど、一緒にいて疲れる」
よくある話です。つまり──どんな選び方にも、"うまくいかないリスク"はある。完璧な選び方、100%成功する方法など存在しないのです。
大事なのは、「そのリスクを誰(何)のせいにするか」です。
【失敗を「選び方」のせいにしない勇気】
感覚で選んでうまくいかなかったとき、「やっぱりフィーリングなんて信用しちゃダメだったんだ」と、自分の感覚を否定する人がいます。逆に、条件で選んでうまくいかなかった場合は「もっとちゃんと調べるべきだった」と自分を責める。
でも、それはちょっと違う。うまくいかなかったのは、選び方が悪かったからじゃない。相手との間に、合わないところがあっただけ。そしてそれは、どんな選び方をしても起こりうることなのです。
人間関係は生き物です。最初はぴったり合っていても、時間とともに変わっていくこともある。逆に、最初は違和感があっても、一緒に過ごすうちに心地よさが生まれることもあります。だからこそ、「選び方」だけに固執するのではなく、選んだ後の関係性の育み方も大切なのです。
では、どうすればいいのか? 答えはシンプル。「自分がどう選んだか」を、ちゃんと自分で受け止めること。
「自分の選び」に責任を持つということ
・「私はこの人の、こういうところに惹かれた」
・「直感だったけど、自分なりに信じた」
・「たとえ失敗しても、自分で納得できる選び方をした」
・「この感覚を大切にしたかった」
・「あのとき感じた安心感は、嘘じゃなかった」
──このように、自分の選びに責任を持てる人は、恋愛でも人生でも、強いです。なぜなら、他人の基準や世間の常識に振り回されず、自分の人生を自分で選んでいるという確かな軸があるからです。
失敗したとき、「あの人に勧められたから」「みんなが良いって言ってたから」と他者に責任を転嫁するのではなく、「自分がそう選んだ」と受け止められる。そのような人は、次の恋愛でも、より自分に正直な選択ができるようになります。
この本では、感覚やフィーリングで人を選ぶことをずっと肯定していきます。でもそれは、「考えなくていいよ」とか「流されていいよ」という意味ではありません。むしろその逆で、「自分の感覚をちゃんと信じて、向き合って、自分の言葉で語れるようになろう」という提案です。
【自分の感覚と対話する習慣を持つ】
なぜ惹かれたのか?
どこに安心感を覚えたのか?
何が決め手だったのか?
どんな未来を一緒に描けると思ったのか?
その人といるとき、自分はどんな自分でいられるのか?
そういうことを、後からでもいいからちゃんと自分で振り返る。うまくいかなくても、言い訳せずに引き受ける。そうやって恋愛を重ねていくことで、「感覚に頼る自分」がどんどん育っていきます。
最初は自分の感覚が何を語っているのか、うまく聞き取れないかもしれません。でも、少しずつ対話を重ねていくうちに、その声はだんだん明確になっていきます。「この人といると胸がキュッとする」「話していて時間を忘れる」「この人の価値観に共感する」といった感覚は、実は条件リスト以上に、あなたの幸せを示す道標かもしれないのです。
恋愛の選び方に正解はないけど、"自分なりの納得"は作っていける。それがこの本のスタンスです。
【自由に選ぶ強さを手に入れる】
感覚で選ぶのもOK。
条件をひとつの軸にするのもOK。
両方を大切にするのもOK。
何を選ぶかも、誰を選ぶかも、あなたの自由。その自由は、あなたの人生をあなたらしく生きるための大切な権利です。でも、その自由を正しく使うためには、「私はこれを選んだ」と胸を張れるように、ちゃんと自分と向き合っておこう。
結婚相手を選ぶとき、完璧な判断材料など存在しません。どんなに慎重に選んでも、未来は予測できないものです。だからこそ大切なのは、「この人と一緒に歩んでいきたい」という自分の気持ちに正直になり、その選択に責任を持つこと。
それが、感覚で選ぶ恋の、いちばんの強さです。自分の内なる声に耳を傾け、それを信じる勇気を持つこと。そして、その選択の結果を、誇りを持って受け入れること。
あなたの感覚は、あなただけの、かけがえのない羅針盤なのです。




