1-3)条件で人を見る婚活は、なぜ疲れるのか
婚活をしていると、まず最初にぶつかるのが、「条件で人を見ることへの違和感」です。年収、学歴、職業、身長、住んでいる場所、家族構成──プロフィールに並んでいる数字や肩書き。たしかに、大事です。現実を考えたら、ある程度の条件でふるいにかける必要もある。でも、だからこそ、こんなふうに感じたことはないでしょうか?
「条件は申し分ないはずなのに、全然惹かれない」
「理想に近い人とマッチングしたけど、会ってみたら話が合わなかった」
「会えば会うほど、恋愛じゃなくて営業活動してる気分になる」
そう。条件で選ぶ婚活は、実はものすごく疲れます。
【条件だけでは"心"が動かない】
婚活市場は、基本的に"条件ありき"で動いています。マッチングアプリも結婚相談所も、最初の出会いはプロフィールから。年齢・職業・年収・身長・最終学歴……それをざっと見て、「この人、いいかも」と判断する。でも、その時点で「相手の人間性」には、まだ一切触れていません。
条件だけで選んだ相手と会ってみると、頭の中にチェックリストが生まれます。「あの条件に見合う人かどうか?」という物差しで相手を測り始める。そして、無意識のうちに期待値と実際のギャップに目が向いてしまうのです。
話がうまくかみ合わなかった → 「この人、頭の回転遅いのかも」
レストランの予約が微妙だった → 「年収ある割にセンスないな」
服装が好みじゃなかった → 「意識高い職業なのに、自己演出下手なんだな」
……そんなふうに、会う前に作ってしまった「期待のフィルター」が、どんどん相手を減点していく。これが「条件疲れ」の始まりです。
婚活で辛いのは、会うたびに「帳簿をつけている」ような感覚に陥ることではないでしょうか。「この人の年収はこれくらいだから、休日の過ごし方はこうあるべき」とか、「この学歴ならこういう教養があって当然」など、無意識に「理想の相手」と照らし合わせてしまう。
恋愛って、本来は"心"が動くもののはず。ふとした瞬間の笑顔に胸がキュンとしたり、何気ない優しさに惹かれたり。しかし、条件を入り口にすると、「心が動くかどうか」は後回しになってしまいます。「この人、いい人かも」と思う前に「この人、条件に合う人かも」と考えてしまう。そうすると、だんだん自分の「好き」という感覚が曇っていき、婚活が"楽しくないもの"になってしまいます。
【「就職活動みたい」になる婚活の現実】
もう一つ、婚活がしんどくなる理由は、"自分自身"も条件で見られているという現実です。相手に年収や学歴でジャッジされる。写真で年齢や体型をチェックされる。プロフィールに空欄があると、それだけでスルーされる。
結婚相談所でのお見合いや、マッチングアプリでの初デートは、まるで就職面接のよう。「自分を売り込まなければ」という気持ちが先立ち、リラックスして相手を知る余裕がなくなります。「自分は相手の条件に合っているか?」という不安が頭をよぎり、自然体でいられなくなる。
そして、何人もと会うたびに、自分が「選ばれるかどうか」試されている気分になってくる。これはもう、恋愛ではなく就職活動。「自分をよく見せなきゃ」「もっと魅力的に話さなきゃ」とがんばるほど、疲れていく。本当の自分とはちょっとズレた"婚活用の自分"をつくって、そのキャラを維持しなきゃいけなくなる。
「初対面からすごく楽しそうに話さなきゃ」
「趣味や価値観を合わせているフリをしなきゃ」
「相手が求める理想の異性像に近づかなきゃ」
そんな思いが強くなればなるほど、出会いは営業活動のようになり、心を開く余裕がなくなります。実際、婚活に疲れた人の多くは「演じすぎて、本当の自分がわからなくなった」と漏らします。
そうすると、「自分が惹かれる相手」という軸もどんどんぶれていきます。
「この人に好かれた方が得かな」
「この人となら、まあ無難な未来が描けそうだし」
「周りからの評価も高そうだし、悪くない選択かも」
……そんなふうに、"選ぶ"というより"選ばれる前提"で相手を見てしまう。自分の心が動いているかどうかより、「いい条件の人に選ばれること」が目標になってしまう。結果、ますます感覚が鈍っていく。自分の本音がわからなくなっていく。
【頭ではなく、感覚が疲れていく──身体の声を聴く】
この「疲れる感覚」は、実は"頭"よりも"感覚"の疲弊です。たとえば、条件だけで選んだ人と食事に行ったとき、こんな感じになっていませんか?
•沈黙を埋めようと、がんばって話題を探す
•話していても、なんか心ここにあらず
•楽しいはずのデートなのに、いつも時計を気にしてしまう
•帰り道、ホッとすると同時に妙な疲労感に襲われる
•「次はいつ会おうか」と言われても、気が重くなる
これは、「頭では納得しているけど、体が納得していない」状態。「スペックはいい人だし、今後のためにもがんばっておくべき」と頭では思っている。でも、心や感覚がまったく動いてないから、どんどん"恋愛モード"から遠ざかっていきます。
体の反応は正直です。
「この人といると、なぜか肩に力が入る」
「話をしていても、目を見るのが少し辛い」
「帰り際に妙にホッとする」
──これらの感覚は、あなたの身体があなたに送っているメッセージ。そして、その感覚を無視して「条件がいいから」と重ねていくと、どんどん疲弊していきます。
不思議なことに、スペック的に"良さそうな人"と会えば会うほど、「もう恋なんてできないかも……」って気分になってしまう人も多い。それは、あなたの感覚が鈍いわけでも、理想が高すぎるわけでもなくて、「頭で選ぶ」ことに疲れているだけなのです。
【「条件」は使い方を間違えると毒になる】
誤解しないでほしいのは、条件を見ること自体が悪いわけではない、ということ。むしろ、ある程度のフィルターは必要です。例えば、「子どもがほしいなら年齢差は考慮したい」「遠距離はNG」「共働きを希望している」など、譲れない条件があるのは当然です。
条件は「最低ライン」であり、「入り口」に過ぎません。問題は、その条件を「絶対的な価値基準」にしてしまうこと。
たとえば、「年収1000万円以上」という条件だけで人を選ぶと、「その年収で何をしているのか」「どんな価値観で仕事と向き合っているのか」「どんな生活を望んでいるのか」という本質的な部分を見落としてしまいます。また、「身長170cm以上」という条件だけにこだわると、「一緒にいて安心できるかどうか」「心を開いて話せるかどうか」といった、本当の意味での「相性」を後回しにしてしまいます。
条件は、本来は「最低限クリアしていればいい」くらいの立ち位置でよく、大事なのは"その先"の感覚です。条件を「理想像」として掲げると、自分がしんどくなる。条件を「目安」や「目印」として使えば、出会いの幅が広がる。
たとえば、「年収1000万以上が理想」と思っていても、「年収800万でも、めっちゃ感覚が合う」人が現れるかもしれない。「大卒以上がいい」と思っていても、「専門卒だけどすごく誠実で居心地がいい」人が現れるかもしれない。「都内に住んでいる人がいい」と思っていても、「少し郊外だけど価値観が似ていて、一緒にいるとホッとする」人が現れるかもしれない。
そういう出会いをちゃんと拾っていくには、自分の中の"条件信仰"をちょっとゆるめてあげることが必要です。
【「条件」より「一緒にいる感覚」で選ぶとラクになる】
じゃあ、婚活の疲れを減らすにはどうすればいいのか? それは、「条件で選ぶ」のではなく、「一緒にいるときの自分の感覚」で選ぶことです。
•なんかこの人と話してると笑顔になれる
•無理にがんばらなくても会話が続く
•一緒にいて、安心できる
•「本当の自分」を少しずつ見せられる気がする
•別れるとき、「また会いたいな」と自然に思える
──そういう小さな「フィーリング」をちゃんとキャッチしていく。逆に、「なんか気を遣いすぎる」「一緒にいると、妙に消耗する」相手は、たとえ条件が良くてもスルーしていい。
感覚で選ぶことの最大のメリットは、「自分の心に正直になれる」ということ。マッチングアプリのプロフィールを見ながら「この人、条件はいいけどなんか違うな」と感じたら、それは大切なシグナルです。逆に、「条件はちょっと違うけど、なんか気になる」と思ったら、それこそ大切にしたい反応です。
感覚は、最初はふわっとしていて頼りないと感じますが、きちんと味方してくれます。そして、「条件より感覚」を優先するようになると、出会いがずっと軽やかになっていきます。
「この人と話してて疲れない」
「自然体でいられる」
「時間が経つのを忘れる」
──そんな感覚を大切にできるようになると、婚活そのものが楽しくなり、「もっと色んな人に会ってみたい」という好奇心が湧いてきます。
これは、婚活に限らず、これからの人間関係全般においてもとても大切な感覚です。
【「条件」が変わっても「感覚」は残る──長く続く関係のために】
「条件」と「感覚」で選ぶ大きな違いは、「条件は変わるけど、感覚は残る」ということ。
年収は上がることもあれば下がることもある。住む場所は変わることもある。外見も年齢とともに変化する。そんな中で変わらないのは、「一緒にいて心地よいか」「この人となら、苦労も乗り越えられそうか」という感覚です。
実際に、長く続くカップルの多くは「条件のマッチング」ではなく「感覚のマッチング」で選んでいます。無理して背伸びしなくても自然体でいられる。困ったとき、素直に頼れる。笑い方やしぐさが好き。そういう「理由のない好き」が、実は長く続く関係の土台になるのです。
だからこそ、条件ばかり気にして疲れるより、「自分の感覚」に素直になる方が、結果的に幸せな関係につながりやすい。
「この人、条件はイマイチだけど、なんか気になる」
「資格はないけど、話してて楽しい」
「希望の年齢より上だけど、一緒にいると安心する」
……そんなふうに感じたとき、それを「例外」として片付けるのではなく、「大切なサイン」として受け止めてみてください。
【「好き」を取り戻すために、感覚を信じてみよう】
条件で人を見る婚活は、情報が多いぶん、"選んでいる感"が強くて安心できます。でも、それって"好き"とはまったく別物です。条件は、相手のスペックを保証してくれるかもしれないけど、自分の気持ちを保証してくれるわけじゃない。
「この人を好きになれるかどうか」
「一緒にいて、自分らしくいられるかどうか」
「困ったとき、自然と頼りたいと思えるかどうか」
「この人が悲しんでいたら、自分も悲しくなるかどうか」
──それは、数字や肩書きではわからない世界です。本当の意味で"好き"を取り戻すためには、少し勇気がいります。条件から一歩離れて、感覚の声を聴く。そのうえで、心が動く人をちゃんと選んでいく。
「頭ではなく、心や体が選ぶ」というと、なんだか無責任に聞こえるかもしれません。でも実は、感覚で選ぶ方が、はるかに誠実で、自分にも相手にも正直な選び方なのです。なぜなら、感覚は嘘をつかないから。「条件はいいけど、なんか違う」という感覚を無視して関係を続けるのは、自分にも相手にも不誠実です。
条件疲れから解放されると、婚活は"頑張るもの"ではなく、"感じるもの"になります。そして、感覚を大切にした関係の方が、長い目で見ても幸せな関係につながっていきます。だからこそ、まずは「条件疲れ」から、自分を解放してあげてください。そして、「なんとなく惹かれる」という感覚を、もっと信じてみてください。
そうすれば、婚活は「素敵な人との出会いを楽しむ時間」に変わっていくはずです。




