作戦会議
会社に戻ってきた、私たちは社食でお弁当をテイクアウトして、また会議室に戻ってきた。
「うわー美味しい。ここの社食いいですね」
「結婚紹介所にここに繋がるドアも作る予定だから、いつでも食べられるわよ」
「うわー、マリアさん。ありがとうございます」
黒木さんはお弁当は買わずに、コーヒーを飲みながら、テストの採点をしてる。
「黒木さんは食べないんですか?」
「俺は昼はいつもコーヒーだ。仕事が多すぎて、昼食ってる時間はない」
まあ魔王で会社員で、教師だもんね。
「この仕事が終わったら、50年ぐらい休暇取るぞ」ってぶつぶつ言っている。
「じゃあ時間がないので、食べながら。アヤの仕事内容について説明するわね。基本は面接と攻略対象とお相手がくっつく様にヘルプする事ね。。この5人の嫁候補を数人ずつ結婚紹介所に送るので、面接をしてもらって、お相手に良さそうな人がいたら、向こうに転生してもらうわ、勿論本人が了承したらだけど」
「で、転生したら攻略対象と両思いになるまで、アヤにも見守りって形で向こうに出張して貰いたいの。勿論、行き来は自由だから、行きっぱなしではないけど、なるべく転生者と行動を一緒にして欲しいの。黒木も先生として向こうにいるし」
まあそれなら問題ないか。今までも婚活パーティーとかのイベントのお手伝いしたり、お見合いの時の付き添いもした事もある。
「それで、この一カ月、アヤには侍女教育を受けてもらおうかと思って」
「はい?」
「転生先は貴族のお嬢様が多いから、一緒にいるのに侍女が1番都合がいいのよ。王宮の侍女の教育係は私の妹なの。だからそこでトレーニングを受けて貰うわ。大丈夫よ、それなりに見えればいいから、完璧にする必要はないし。もう話は通してあるから」
「分かりました、持って行く物とかありますか?」
「向こうに部屋が用意できなかったから、ここから通いになるし、制服とかも全て向こうに用意してあるし、王宮の入り口はここの地下にあるから、毎朝ここに出勤して貰えれば大丈夫よ。後でドアを見せるわね。あ、社員証を作らなきゃね」マリアさんは話ながら、やる事をどんどんメモに書いて行く。
「あ、後折角王宮にいるんだから、騎士団長と王太子、王太子補佐の情報も集めてきたら?性格はゲームと大体同じだけど、やっぱり実際に会うと違う所もあるだろうし」
そうね、魔王様だってもっと寡黙なタイプだと思ってたのに、黒木さんは俺様タイプでよく話すしね。
私が黒木さんを見ていたら、ちょうど採点が終わったみたいだ。
「じゃあ、どの攻略対象から始めるか順番を決めるか」と黒木さんがコーヒーを飲みながら言う。
「そうね、卒業パーティーまで後2ヶ月。聖女が王太子ルートに入ってると言う事は、まず悪役令嬢レイチェルとの婚約破棄イベントがあるって事よね、そこで騎士団長とくっつけたいから、その前に候補を選ばないとね」
「俺としては、まず聖女を王太子から引き剥がしたいが、浄化の旅の後がいいな。王太子に振られたら、あいつは仕事放棄する。まあ今もやってないが」
「私は常々思っていたんですが、魔物って魔王がコントロールしているんじゃないんですか?」
「は?違うぞ。あれは瘴気だまりから勝手に湧いて出た害虫のようなもんだ。瘴気だまりだって、人間の嫉妬とか憎しみから出来てるんだから」
「え?じゃあ何で魔王討伐とかするんですか?関係ないじゃないですか」
「知らねえよ、何でも俺のせいにすればいいと思ってるんだろ」
えーーひどい。何だか黒木さんが可哀想になってきた。
「まあ、俺が人間を駆逐すれば瘴気だまりもなくなって、魔物もいなくなるぞ」
あ、魔王ぽくなった。
「となると、騎士団長をパーティーでくっつけて、その後にレイチェルの兄、王太子補佐、最後に王太子って感じでいきましょうか。黒木、あなたはどうするの?」
「俺は王太子の後でいい」
「そう?いい子いなくなっちゃうかもよ?」
「そうしたら、アヤを嫁にもらうから大丈夫だ!」
え?何で私。
でも黒木さんが誰かと結婚するって考えたら、ちょっと胸が痛んだ。
「他の皆さんは、聖女に食べられない前に結婚って意味はわかるんですが、何で黒木さんも結婚しなきゃいけないんですか?」
「しなきゃいけない訳じゃないんだけど、最近俺の周りも結婚ラッシュでさ。仕事も忙しいから出会いの場もなくて、でもイベントの時とかみんな嫁がいるのに俺だけ1人で寂しいから、みんなが結婚相手を紹介してもらえるならついでに俺もってね」
うん、普通に結婚したいけどできない人の悩みだった。
「じゃあアヤちゃん、社員証を作るついでに、侍女頭に挨拶に行きましょうか、黒木はどうする?」
「俺は企画の会議があるんだ。アヤ、帰ってきたら、企画課に寄ってくれないか?」
「分かりました、ではまた後で」と私とマリアさんは総務部に行った。社員証はすぐに発行して貰えたので、次は地下へ。
「社員証が鍵になるようにしたから、無くさないようにね」
倉庫にある、先程とは違う黄色のドアのパネルにカードを押し付けると緑のランプがついた、ホテルのカードキーみたいだ。
ドアを開けるとウォークインクローゼットのようなところに出た。
「アヤちゃんのサイズはこれかなー?」
棚には制服がずらっと並んでいる。
シックだがなかなか可愛い。
マリアさんもオフィスカジュアルで王宮を歩くわけにはいけないので、着替えてる。
「マリアさん、ちょっと質問いいですか?」
「どうぞー」
「黒木さんって、ゲームの魔王と性格が違う感じなんですけど何でですか?」
「あ?あれ?あの人自分でキャラ設定する時に、ちょっと影があるかっこいい俺にするって言い張ったのよ。本当は寂しがり屋なのにね」
やっぱり黒木さんかわいいな。
「あらー、アヤちゃん、黒木の事が気になるの?」とマリアさんがニコニコしながら聞いてきた。
「違うますよー。魔王ルートをやりこんだので、つい気になって」
「そうなの?黒木はアヤちゃんの事気に入ってるみたいだけどね。このお仕事の間に、本当の黒木はどんな人か見てみたら?」
まあ。。魔王ですけどね。
そんな話をしているうちに、私達は着替え終わったので、クローゼットから外へ出た。
ワーカホリックの魔王は寂しがり屋。なんか魔王ぽくなくなってしまった。




