幸せってこういう事
国王陛下が入って来たので、私は顔を下げ淑女の礼をする。
「皆、顔を上げよ」という声が聞こえたので、顔を上げた。
国王陛下はゲームでは話だけで顔は出てこないが、リヒト様に似たイケオジだ。
アレ、あの人何処かで見た事がある。
レイチェル様が「あの方が新しい王妃様なのかしら、アヤに似てる気がする」
え??と思って。国王陛下の隣に座った女性を見る。
「お!叔母さん!!!」
あーーそうだ、このイケオジ、髪の毛の色とか違うけど、叔母さんも結婚相手だ。
「なんで国王陛下が結婚相談所にくるのよ」と呟いた。
国王陛下はニヤッとして、
「私は使える手段は全て使う男なんだよ」
どうやら、国王陛下は前王妃が病気で亡くなった後、その王妃との思い出を再現するために、2人が出会った白薔薇学園を舞台にしたゲームを思い立った。しかしこの国ではその手段がないと異世界でゲームを作る事にして、女神と魔王に助けを求めた。
「国王として一生に一回は願いを聞いてもらえるから」
一生に一回の願いがゲーム作り。
「ついでに部下にしたから命令したい放題」
うわー国王陛下は策士だな。
「そしてミラクルハピネス社を作ったんだが、こいつらはオッサンが主人公のゲームなんて売れないって、私をシークレットの攻略対象にして好き勝手にゲームを作り始めたんだ。そしたら思いの外売れてしまって、この国の経済まで潤ってしまった」
この国の財政って乙女ゲームに支えられてるんだ。
「だが、王妃を失い、1人で余生を過ごす悲しみは金では消えず、姿を変えて街歩きしている時に彼女の結婚相談所を見つけたんだ。政略結婚ではなく、身元のしっかりした、しかも心が通じ合う女性を紹介して貰えるなんて素晴らしい場所だと思って入ったら、紹介して貰う前に彼女に恋に落ちてしまったんだ」
あの日は私も覚えている。
あのイケオジが事務所に入って来た瞬間、叔母さんを見て、ボーーーと固まってしまったのを。
「私は息子のリヒトがレイチェル嬢との政略結婚に乗り気でない事も、レイチェル嬢がカール団長に心を寄せているのを知っていた。だから女神に頼んで結婚相談所の様にリヒトにも相手を見つけてくれないかと頼んだ結果が。。。あれだった」
マリアさんはちょっと恥ずかしそうにしている。
「なので次は魔王に頼もうとしたら、彼女が姪をヘルプにつければ良いと言ってくれたんだ、魔王もアヤさんを見て気に入ったらしく乗り気だったし」
「え?私が黒木さんに会ったのって会社の会議室が初めてですよね」
「あーーーーーそれな。お前が事務所にいる時、あのおっさんのペットだって、黒い子犬をお前の叔母さんが連れて来たろう」
あーーあの可愛い子犬。むっちゃ懐いてくれて、顔とかベロベロ舐めまくってたな。
叔母さんが躾がなってないってケージに入れそうになったの慌てて止めたっけ。
「あれ、俺だ」
叔母さんが「ドスケベ犬だったわね」って呟いた。
あの犬、顔以外の場所も舐めまくって。。
「ぎゃーー何やってるんですかスケベ」
「俺はあん時からアヤを俺のものにするって決めてたんだよ」
国王陛下もなんか気の毒そうな顔で私を見ている。
「アヤさんは期待以上の働きをしてくれて、リヒトだけでなく、私の忠実な臣下達も幸せにしてくれた。何を褒美に与えようか?この国のものでも、日本のものでも何でも良いぞ」
流石の太っ腹。
うーーんどうしよう。
「国王陛下、私の異世界結婚紹介場の仕事ってどうなりますか?」
「私を含めてこの6人はもう相手がいるからな、次の世代の世話をするか、まあ他の臣下で希望者がいればお願いするかもだが、そこまで件数は多くないかもな」
「アヤは働かなくても、俺が養えるぞ」
「私は家でじっとしてるのは性に合わないですよ。子供が出来たらまたちょっと変わるかもしれないですが」
子供か。。と黒木さんがニヤニヤしてる。
うーーん、あ!
「お嬢様方、ちょっと相談が」と4人を集めて私のアイデアを話すと。
「「「「絶対それ欲しい」」」」
「国王陛下、新しいビジネスの提案があります」
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「ちょっと黒木さん!!なんでフルーツオレがこんなに発注されているですか?」
「俺が買うから大丈夫だ!ていうか言ったろ、お前も黒木なんだから名前で呼べって」
「リュウさん、自分の好きなものばっかり発注したらフードロスになります」
「家だとリュウなのにな」
そう、黒木さんはいろんな名前がありすぎるので、結婚するにあたりどの名前で呼んで欲しいか相談したところ、黒木の名前がいいと。
「名前なんて人間が勝手に決めたもんだから、本当の名前なんて俺にはないんだよ。アヤが好きな名前で呼べばいい。お前は黒木って名前が気に入ってるんだろ?」
「アヤ店長、ちょっとレジのヘルプいいですか?ランチタイムです」とメリッサ様がバックヤードに顔を出した。
私が国王陛下にお願いしたのは、ミカさんとミクさんが働いていたコンビニを買い取る事。
単に私たちがコンビニに行きたかっただけなんだが、日本側で発注とかするついでに、こちらのお店も普通に営業している。そしてバックヤードには学園のルーク先生のオフィスに繋がる扉を作った。
「なんで俺のオフィスばかりに繋がる扉を作るんだ」
「黒木さん。。。リュウが副店長だからとみんなが集まりやすいのってここなのよ」
「お前、俺の仕事増やすなよ」
ちなみにコンビニではミラクルハピネスの会社に近いというので、ファンがよく訪れる。そこで私はメインキャラの生写真を置く事にしたら、大ヒットした。
「この方達はどこで活動されてるレイヤーさん達なんですか?完成度が凄すぎる」
全員本人です。装備も衣装も全部本物です。
ちなみに1番人気はクリス様の眼鏡を半分外した写真だ。私も生で眼鏡なしクリス様を見させてもらったが、あれはやばい。
2番人気はルーク先生の黒木さんがフルーツオレを飲んでいる写真。
「この方達は?ゲームではお見かけしてないと思うのですが」
「魔王の臣下達です。絶賛、彼女募集中です」しっぽと耳が生えた牛尾さんと八木さんの写真も何気に人気がある。
「このルーク先生が飲んでいるフルーツオレありますか?」
「ありますよ。いっぱいあるのでお好きなだけどうぞ」
黒木さんは俺の読みあたり!みたいな顔をしてる。写真と抱き合わせで売ろうかしらね。
レジではケイト様がバリバリお客様を捌いてる。王太子妃にコンビニのレジをさせていいのだろうか?
普段の営業はそのまま前のオーナーとバイトさんを雇っているので、私達は昼間の数時間だけ働いている。ケイト様曰く王太子妃教育の気分転換にいいそうだ。
「ケイト様、メリッサ様、そろそろ交代の時間ですよ」
「はーい、いらっしゃいませ!あ、マリアさん」
「また遠征帰りですか?」
「そう、兵庫に行ってきたの!」
マリアさんが毎回金欠の理由は、推しを追っかけて遠征行きまくっているかららしい。
「結婚はもう数回したからいいの、今回は推しに全てを捧げるわ」
「だからって、給料全部突っ込むなよ。前の推しの時もやりすぎて大変な事になったろ」と黒木さんはフルーツオレを棚に並べてる。
「あの時は黒木も手を出したから、彼が最後の曲を完成させられなかったでしょ」
「誰ですか、前回の推しって」
「アマデウス・モーツァルト。最後のレクイエムが完成するの楽しみにしてたのに」
「ちなみに今回の推しは?」
「宝塚の男役の子」
あー宝塚歌劇団にいってたんですね。
冷蔵庫の一部が全部フルーツオレになり、満足した黒木さんは。
「おい、アヤ帰るぞ、今日は話があるんだろう?」
「そう、ちょっと相談したい事があって」
私達はルーク先生のオフィス経由で家に帰る。
今日の夕ご飯は肉じゃがと煮魚だ。
黒木さんは肉じゃがを嬉しそうに食べてる。
「で、話ってなんだ?」
「この家なんですけど、部屋の増築とかできます?」
「なんだ?ゲーム部屋でも欲しいのか?」
「え?何それ欲しい!じゃない!。。。家族が増えそうなので、この家だと手狭になりそうで」
黒木さんはお箸を落とした。
「え、それって、子供ができたのか?」
「ええ、さっきコンビニの妊娠検査薬で調べて、来週は病院で診てもらいますね」
黒木さんは下を向いてプルプルしてる。
え?感動のあまり泣いちゃった??
「これで。。」
「これで、魔王の仕事を誰かに渡せる!」
「へ?」
「俺、本当に魔王の仕事嫌いでさ。これでアヤと旅行とかいけるな」
「まだ生まれてもいませんし」
黒木さんは私をぎゅっと抱きしめて。
「アヤ本当にありがとう。俺はずっと1人で孤独だったんだ。アヤと出会えて、毎日忙しいけど本当に幸せだ。赤ちゃん楽しみだな」
今、その赤ちゃんに魔王の仕事押し付けようとしてましたよね。
「牛尾と八木に家の増築頼むわ、いやいっそのこと全部作り替えてもいいな」
相変わらず臣下使いが荒い。
「牛尾さんと八木さんにもいい子が見つかる様に頑張って探さないとね」
「メイも爬虫類好き男子探してくれって言ってたぞ」
「じゃあ産休中は異世界結婚紹介所の魔界出張所でも開きますか?」
「まあ俺が紹介された人以上の人はもう残ってないだろうけどな」
黒木さんは私を抱きしめつつ、お腹に手を置いて幸せだなって呟いた。
本当に幸せ。聖女探しで失敗したマリアさんに感謝しないとね。
(完)
やっと終わりました。途中で登場人物と黒木さんの名前が多すぎてごちゃごちゃになりそうで、読みにくい所も多かったと思います。
しかし、私がコンビニ好きすぎて、コンビニ経営する話が多くなってしまいます。




