双子令嬢-ミカとミクの場合 その3
レイチェル様は自信満々に話を続ける。
「私はリヒト殿下の婚約者として10歳の時から、義理としても色々宝石などのプレゼントを貰ったんです。今はカール様から頂いた物しかつけたくないし、売っちゃおうかと思ったんだけど、流石に王家の王太子妃用の宝石とかは返却しなきゃいけないの。国宝レベルだから、金庫には特殊な魔法がかかっていて、私とリヒト殿下が揃わないと金庫から出せない様になっているの。だから引き取りに来いってリクエストは出してたんだけど、聖女がリヒト殿下が私に会うってだけでヤキモチを妬いてこなくてね」
「だったら今回も来ないんじゃないか?」とカール様もちょっとイラついた様に言う。
「そこで今回は男性陣に一肌脱いでもらいます」
「全員ですか?」
「アル様はまだ魅了の魔法がかかっているフリをして、聖女に殿下と結婚する時に必要だから、私の所から宝石を取りに行かないとダメだと言うんです。あの強欲女なら、国宝級の宝石といえばすぐ、リヒト殿下を連れてくるでしょう?」
「金庫室には私とリヒト殿下以外が行くと鍵が開かなくなりますので、聖女は入れません。その間、アル様以外の方達は聖女様の接待です」
「「「嫌だー」」とカール様とクリス様が叫んだ。
「俺はやっても良いぞ」と魔王ルーク先生はノリノリだ。すごく悪い顔をしてる。
「私は数名、顔のいい使用人を集めておきます、その間にアル様、ケイト様、メリッサ様と私でリヒト殿下にかかってる魅了の魔法を無効化しましょう」
女性陣はやる気満々だが、男性陣のテンションが無茶苦茶下がった。
聖女は人気ないな。
落ち込むカール様にレイチェル様は何か耳うちをした。すると、カール様はいきなり元気になった。
「愛するレイチェルの為に俺はやる」
それを見たモニカ様も、クリス様に何か小さな鍵を見せた。クリス様は目を見開いた。「一刻もこの問題が解決する様に、全力で聖女を接待します」
お二人とも素晴らしい。魅了の魔法なんか必要ないわ。
アンナはルーク先生にやりすぎちゃダメですよって言われてる。
アル様はメリッサの事をチラッと見ている。あら、アル様はメリッサに気があるのかしら?
次の日、レイチェル様から早速聖女と殿下が午後に公爵家に来る事になったと連絡があった。
「では早めにいって待機しましょう」とアンナに支度をしてもらって、馬車に乗る。
公爵家にはアル様、メグ、リヒト殿下以外はもう既に揃っていた。男性陣はレイチェル様コーディネートの正装姿だ。
女性陣は
「スチルだわ」
「眼福」
「鼻血出そうです」
と大盛り上がり。
アンナがすごく真剣な顔でモニカさんに、
「一瞬でいいんです、クリス様の眼鏡を取ったところがみたいです」と頼んでる。
モニカさんは「じゃあ私はカール様の腹筋が見たいです。」
レイチェル様は「じゃあルーク先生のデレる所が見たい」
思わず私とメリッサも
「「私たちも!!!!」」
ルーク先生は目が笑ってない笑顔で
「はい、盛り上がっていますが、もう時間がないですから。皆さん配置に付きますよ。アンナさんはちょっとこちらへ」
「あーーごめんなさい!!!」とアンナさんは言うが、ルーク先生に引きずられて行った。
10分後に戻って来たアンナさんは、なんかげっそりしていた。
私とメリッサは地下の金庫室に隠れ、アンナさんとレイチェル様は応接室でリヒト殿下一行を待った。
約束の時間を思いっきり過ぎた頃、メグ達はやって来たようだ。
しばらくしてアンナさんがやって来た。
「いやーー凄かったですよ」
「私をいじめた女の家になんか来たくなかったけど、リヒト様と離れたくないからしょうがないから来たわ。とっとと私の宝石持って来てってメグが言っても、表情を崩さなかったレイチェル様は凄いと思いました」
「今、ルーク先生を筆頭にハーレム状態で接待を始めたので、メグはご機嫌です。すぐにアル様とリヒト殿下が来ると思います」とアンナが言ったら、確かに人の声が近づいて来た。
「私は上の様子を見て来ますね」とアンナさんはまた部屋を出て行った。
すぐその後にドアが開き、リヒト殿下が入って来た。やっぱりかっこいいわ。
「聖女が待っている、手短に済ませるぞ。おい、お前らは。。討伐隊と行動する双子か?ここで何をしてる、他人がいると鍵が開かない、早くここから出ろ」
その瞬間、アル様がリヒト殿下に拘束魔法をかけた。
「殿下すみません、すぐ済みます」
アル様が詠唱すると魔法陣が床に描かれた。私達は決められた場所に立つ。もちろんメリッサがリヒト殿下の正面に来る様に。
アル様が叫んだ「用意はいいか、行くぞ」
リヒト様は体を動かす事はできないが口は動くので「アル、何をする気だ。王太子に対する不敬だぞ」と騒いでる。
上にいる聖女に聞こえないといいんだけど。
アル様が詠唱を始め、手からクリス様がした様な金色の光が出てリヒト様に届く寸前に魔法陣を伝って私達からも同じ様な光が出てリヒト様を包んでいく、そしてその光がまとまって、リヒト様から正面にいるメリッサの方に向かった。
光が消えるとそこには床にうずくまるメリッサ。リヒト様もまだ動けない。
「メリッサ!」と私が叫ぶと。
「ケイト様、私がメリッサ様の所に」とレイチェル様がメリッサの方にかけていく。
アル様はかなり魔力を使った様で、リヒト様の方に行こうとするがなかなか動けない。
「アル様、無理をせずに。私がリヒト様を。。」と言うと。
リヒト様が急に立ち上がり、
「熱い、肌が焼ける」と右腕を掴んでる。私は慌てて駆け寄って、リヒト様のシャツの袖を捲った。
そこには真っ赤な腕輪がリヒト様の腕を締め上げ、煙が上がっている。
私は無我夢中で腕輪を掴んで、リヒト様の腕から引き剥がした。
「殿下、大丈夫ですか?今、治しますね」と私が手をリヒト様の怪我している腕に当てようとすると、その手を掴まれた。
え?魅了の魔法が解けてない??
「私より君の手が火傷をしてしまってる」
そう言われて、自分の手を見たら確かに両手に火傷をしている。
夢中で気が付かなかったけど、言われたら痛くなってきた。
えっと、自分の手に意識を集中させて「ヒール」、するとたちまち私の手は元通りになった。
「君は治癒魔法持ちなのか?」
「殿下、私に殿下の傷を治させて頂けませんか?」
「君はケイト嬢か?メリッサ嬢が怪我をしていないか、私より先にみたほうがいい」
「殿下、メリッサ様は気を失っていますが、外傷などもなく、呼吸も安定してます」とレイチェル様が言う。
「ではアルを」
「あーーもう殿下、他人の心配より自分の心配してください!治します!ヒール!!!」
殿下の腕は元通りになった。しかし、リヒト様は口を開けたまま私をみてる。
「殿下、他に痛いところがありますか?」
「ケイト嬢、君はなんか凄いな」と笑い始めた。
その笑顔があまりにも綺麗でつい見惚れてしまった。
アル様は動ける様になったみたいで、こちらにやって来た。
「殿下、お目覚めになられましたか?」
「ああ、やっと頭がスッキリした。私には魅了の魔法が効きにくかったみたいで、さらにあの腕輪をつけられ。ずっと霧の中を彷徨っている様な感じだった。ぼんやりと何が起こっていたのかは感じてたが、何もできなかった」
「殿下、もっと早くにお助けできずに申し訳ございません」
「アル、もう大丈夫だ。お前はメリッサ嬢の様子を見て来なさい。向こうに行きたくてウズウズしているのが見え見えだ」
アル様は顔を赤くして、メリッサの方へ行った。そして気絶しているメリッサをお姫様抱っこした。
うわーメリッサが気がついたら、また気絶しそうね。
「殿下、私はメリッサ様をゲストルーム連れて行きます、そしてその後応接室に向かいます。レイチェル様、案内して頂いてもいいですか?」
「わかった、私とケイト嬢も応接室に向かう」と言って、私の手を取った。
「え!!」と言うと。
「す。。。すまない、つい」とリヒト様が赤くなった。
「びっくりしただけです。すみません声をあげて」
「嫌って訳ではないんだな。では聖女をこの国から排除しに行きましょうか?お嬢様」と私をエスコートする様に手を差し出してくれた。
「ええ、この国の平穏を取り戻しましょう」と私はリヒト様の手を取った。
次もミカとミクの話ですが、アンナ視線になります。やっと終わりが見えて来た。




