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王立図書館の司書-由美の場合 その3

禁書庫には許可証がないと外からは開けられない。だから私達以外は絶対に入ってこられないはずだ。


ドアが開いた勢いで、埃が舞い上がり、誰がいるかわからない。でもどうやら2人いるようだ。


埃が落ち着き、そこにいたのは聖女メグとアンナだった。メグはアンナを紐で縛っている。流石元SM女王だ、あのお馴染みの縛り方だ。


「お嬢様申し訳ございません、受付でいきなり飛びかかってきて、火魔法で図書館を燃やすと言われまして」とアンナが半泣きで言う。


メグの手には許可証がある。どうせ王太子に頼んだのだろう。


メグは禁書庫を見廻し、机の上の本を見るとニヤッと笑った。

「その本が無くなれば、私の邪魔はもう出来なくなるのね」


メグは手をスッと出して「ファイヤー。。。」しかし、クリス様の声がそれを遮った。

「させるか、このクソ聖女!!」


クリス様は手近にあった本をメグに投げ,それが見事にメグの顔にクリーンヒットした。

あ、閨の指南書。鍵付きだから相当痛そうだ。


私がアンナに駆け寄ろうとすると、廊下から走ってくる足音が聞こえた。


「ルーク先生!!」


あ、アンナはマリアさんと通信できるって言ってたから、きっと助けを呼んでいたのね。


「アンナ、大丈夫か!このクソ聖女、俺のアンナに何するんだ」


ルーク先生はアンナを抱き起こして、怪我がないかチェックしている。


その間にメグは自分に治癒魔法を使ったのか、スクッと立ち上がり。


また火魔法の詠唱をしようとする。

クリス様の手には「閨の指南書 その2」が握られているが、次はきっと燃やされてしまう。


ルーク先生も気がついたが、もう間に合わない。


本が燃やされると思った瞬間にものすごい勢い怒りが私の中に生まれた。


「図書館では火の扱いは厳禁です!!」と私は叫んで、さっきまで座っていた椅子をメグに投げつけた。


メグは私は何も出来ないと思っていたのだろう。私が椅子を振り上げたのにも気がついていなかった。


アンナはルーク先生に守られていて、メグ1人だったので躊躇なく投げる事が出来たのも幸いした。椅子は思いっきりメグに当たり。メグは今度こそ気を失って倒れた。


「お嬢様かっこいい!!」とアンナは大喜びだ。


今度は数人の足音が聞こえる。いつもは滅多に人が来ない所なのに、今日はすごいな。


やってきたのは騎士団長のカール様と騎士数名だった。

「アンナ嬢大丈夫か?受付でアンナ嬢が女に縛られて、地下に連れて行かれたと通報してくれた人がいて、遅れてすまなかった」


カール様は魔法封じの腕輪をメグにつけて、「連れて行け」と騎士達に命令した。


「アンナ嬢に何かあったら、私のレイチェルが心配します。お怪我はありませんか?」


「大丈夫です。ルーク先生も来てくれましたし」


「そのロープはどうなっているのですか?聖女がしたんですか?」とカール様がやや顔を赤らめて言う。


そりゃ。女王様お得意の〇〇縛りだからね。


「おい、カール。俺のアンナをみるなよ。なんか隠せるものを貸せ」


ルーク先生はアンナに借りたローブを被せると、アンナを抱き上げて

「ロープはここで切ると体を傷つけてしまうかもしれないので、私のオフィスでゆっくり外しましょう」


何だろう、間違った事を言っていないのに、ルーク先生が言うと違う意味に聞こえる。


「モニカさん、アンナは連れて行きますので、帰りはクリス様に送って頂いても宜しいでしょうか?」とルーク先生が言う。


「勿論よ、アンナを宜しくね」


「では私も聖女の尋問がありますので」とカール様も去っていった。


残されたのは私とクリス様だけ。


私は椅子と閨の指南書その1を拾い上げ、クリス様の方に近づいた。


クリス様はまだその2を握っている。


私はその本をそっとクリス様の手から外し、本棚に戻した。


「クリス様、本は投げる物ではないですよ」と私が言うと。クリス様は黙っているが。吹き出しがいっぱいだ。


{やばい、やばい、やばい。。。}


何だろう、凄く怯えてる。


「でも、そのお陰で他の本もアンナも助かりました。ありがとうございます」と言うと、安心したのかヘタっと椅子に座り込んだ。


「クリス様、何でそこまで私の事を怖がっているんですか?確かに、本や図書館の事になると少し我を忘れてしまう事がありますが」


「覚えていないのか?」


「やっぱり私がクリス様に何かしたんでしょうか?」


「そんな大した事ではないんだが、昔は俺は空気の読めない子供でね、10歳ぐらいの時図書館でレイチェルに大声で本を読んであげていたんだ、そこに君が来て。図書館で静かに出来ないなら外に出なさいって、俺の首を掴んで外に引きずり出して、そんなうるさい口ならカエルでも詰めてやるって、カエルを掴んで俺の方に。。。。。。」


「本当にすみませんでした。もう良いです。今、思い出しました」


もしかして、もしかしなくても。


「クリス様が必要最低限しか話さないのって」


「君がそんなに喋らなくても、私が思考を読んであげるから静かにしてなさいって、覚えてたばかりの思考を読む魔法を俺に」


「わーーーー本当にごめんなさい」私は半泣きで謝った。


眼鏡冷血子息の原因が私だったなんて。


「もうなんてお詫びをしたら良いか。クリス様の人生を無茶苦茶にしてしまいました」


「え?モニカ。そんなわけないよ。俺の事はモニカだけが分かっててくれれば良いんだから、特別感があって嬉しかったんだよ」とクリス様が微笑んでくれたが、私の心は晴れない。


クリス様は私をそっと抱きしめて。

「まだ信じられないなら、俺の思考を読んでごらん?」と言うので、クリス様の頭の上を見ると。


{モニカ、心から愛しています。俺と結婚してください}って書いてあった。


私はクリス様の顔をまじまじ見て。


「カエルを口に詰め込もうとしたり、椅子を投げつける私で良いの?」と聞くと。


クリス様が私の頬にキスしながら「君以外とは結婚できないよ」と囁いた。


「で、返事は?」


「クリス様、お願いがあります。今のセリフをちゃんと言葉で言って欲しいです。そして眼鏡を外しながら言ってください」


「そうだね、思考でプロポーズは良くなかったね。え?眼鏡??外すの?まあ良いけど、これ伊達眼鏡だし」


「え?伊達眼鏡だったんですか?」


「眼鏡を外すと女の子が寄ってきちゃうんだ。モニカ以外の子に好きって言われても嬉しくなかったからね」


クリス様は私の顔を見ながら、ゆっくり眼鏡を外し、「モニカ愛している。俺と結婚してくれ」と言った。


私はもう気を失いそうだったが、何とか返事をした。


「勿論結婚するわ。あとやっぱり普段は眼鏡をかけていてね。その顔は私専用でお願いします」と言うと、クリス様はさっきの閨指南書をいそいそと持ってきて。

「俺も少しは王族の血が入っているし、これ読む権利はあると思うんだよね、鍵は何処かなー?」

「。。。。。クリス様、またカエルを口に詰め込まれたくなかったら、お探しの解術方法を探しますよ」


「は!はい。ふざけてすみませんでした」


私達はすっかり調べ物に夢中になり、帰ったのが真夜中になり、領地から帰ってきたお父様とお母様に2人で怒られたのでした。


特にお父様は娘は嫁にはやらんと大騒ぎだったけど、公爵家には逆らえないって渋々婚約を認めてくれた。

……………………………………………………


モニカお嬢様とクリス様が禁書庫で調べ物をしている時、私はルーク先生のオフィスにいた。


「これどうなってるんだよ。しかもエロい」


「そりゃ女王様が直々に縛ったんですから、もうロープ切ってください」


「いやいや、構造を知りたい」


「知ってどうするんですか!!!」


「そういえば、メグは自分で自分を縛れるぐらい、私の緊縛はレベルが高いから、私以外は外せないって言ってました」


「おお、すげーな。ちょっと聖女を見直した。じゃあ切るか、絶対動くなよ」


何で私がこんな目にとちょっと涙目になって、ロープを切ろうとしてるルーク先生を見上げたら、ルーク先生は「それやばい、ちょっとタイム」って言って隣の部屋に逃げ込んだ。


「ちょっとルーク先生、早く外してよーーーーーーーーー」


その声が外にも聞こえたのか、その後、ルーク先生は縛るのが好きという噂が学園中に広まった。



由美の話はこれで終わりです。またアヤと黒木さんの話が入って次の攻略対象の話です。

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