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王立図書館の司書-由美の場合 その2

「お嬢様、私が」とアンナがドアを開けると、クリス様が立っていた。


うわーー〜本物のクリス様。眼鏡をかけていても破壊力がすごい美形だわ。


クリス様は私を見つめたまま動かないし、話さない。


しかし、何か頭の上に見える。漫画の吹き出しのような。。


{今日もモニカは綺麗だな、休憩中に申し訳ないな}


「モニカ、許可証が出た」


私は吹き出しの方が気になって返事ができない。


{やっぱり、休憩を邪魔されて怒ってるのか?許可が降りた事に興奮してここまできてしまったが、失敗したな}


「お嬢様大丈夫ですか?」とアンナの声で我に返った。


「すみません、クリス様。昨日よく眠れずにボーとしてしまいました。許可証が出たのですね。素晴らしいです。早速禁書庫に行かれますか?」と私が言うと。


「休憩は?」とクリス様が言う。


しかし吹き出しはその短い言葉をフォローしてくれる。

{寝不足なのか、体調が悪いなら休憩をもっと長く取った方がいいのではないのか?家まで送って行こうか?いや医者を呼んでくるべきか?}


クリス様って過保護なのね。


「大丈夫ですよ。もう休憩時間が終わるところでしたし。用意をしてきますので、受付の前で少しお待ち頂いても良いですか?」


「わかった」と言うとクリス様は受付の方へ歩いて行った。


「お嬢様はやっぱりすごいですね。あの1言からあそこまで理解できるとは」とアンナが感心している。


「なんかよくわからいけど、モニカはクリス様の思考が見えるみたい。マリアさんのチートのお陰かなと思ったんだけど、他の人のは見えないしね」


「え?どう言う風に見えるんですか?」


「それこそ、漫画の吹き出しみたいに」


アンナは何を想像したのか、ゲラゲラ笑っている。侍女としてどうかと思う。


私はランタンを用意してクリス様の方に向かった。アンナは一緒には来られないので、受付で他の仕事をしてもらう。


「ではクリス様行きましょう、許可証はお持ちですね?」


「ああ」


私達は階段を降りて、図書館の地下に行く。


クリス様はランタンを持って、私の前を歩いて下さる。何も話はしてないないが、吹き出しが見える。


{こんなに暗くて、薄気味悪い所にモニカさんを連れてこなくてはいけないのか。怖がってないだろうか。手とか握った方がいいのか?いやむしろ握りたい}


クリス様は意外とお喋りなのね。

手を握って欲しいのかしら?クリス様は暗闇が怖いのかしらね?


「クリス様、その先を右に曲がった所に禁書庫はあります。ますます暗くなるので気をつけてください。。。あ!!」


自分で言っておきながら、何かに足を引っ掛けてしまった。


「モニカ!!」


クリス様がばっと振り向いて、私を抱き止めてくれたので転ぶ事はなかった。


「すみません、ありがとうございます」


するとクリス様は手をスッとだした。


「危ないから」


エスコートしてくれるって事かな?

吹き出しを見ると、


{これはモニカが転ばないようにしてるだけだ、決してやましい気持ちはない}


合っているみたい。


私はクリス様の腕に私の腕を絡ませる。

クリス様がビクッとしたので

「大丈夫ですか?歩きにくいですか?」と聞いたが、クリス様は「問題ない」と言うだけ。


あんまり人の思考を読むのはプライバシーの侵害みたいで、好きじゃないけど。不快だったら困るものね。


{うわー、モニカの胸がちょっと当たってる。細く見えるのに、意外と。。。。}


うわーーー全然大丈夫じゃないじゃない。慌てて私は体を少し離した。


やっと禁書庫についた時は私は精神的にすごく疲れていた。


「クリス様、国王陛下からの許可証を出して頂けますか?それが鍵になりますので」


私は許可証をドアの真ん中の水晶につける、すると禁書庫のロックが外れた音がした。


「クリス様、禁書庫の中には許可証に名前が登録してある人しか入れません。私は受付に帰ります。閲覧が済みましたら声をかけてください」と自分で言っておいて思い出した。

そうだ!クリス様が私の名前をこの許可証に書いてくれる事がイベント発生の条件だった。

イベント発生に必要な好感度に達していれば、、、、


「君の名前も登録してある」


そう、そうやって言ってくれるはず。


あれ?今何か聞こえた?


「モニカの名前も登録してある、一緒に来てくれ」


え??こんなあっさりイベント開始?


「私の名前を入れたから、許可が降りるのが遅れたのでは?私は王家の血を引いてませんし」


「問題ない」とクリス様はドアを開けた。


{あれを書いたから、許可が降りたんだろうな}


あれって何だろう?


私も実際に禁書庫に入るのは初めてだ。

中はまあわかっていたけど、かなり埃っぽい。はたきとか雑巾を持ってくればよかった。


私はハンカチを出して口を塞ぐ。


書庫はそこまで広くない。周りの壁には5つの本棚があるだけだ。


本は本棚に押し込まれていて、分類はされている様には見えない。

「王家の究極スイーツレシピ」の隣に「禁術魔法辞典」がある。何故この組み合わせ?


「クリス様はどのような本を探しているのですか?」


「魔法による状態異常の無効化についてだ」


「ここに禁術魔法辞典がありますけど」


「禁術ではないな」


そうよね、禁術なら術者の何かを代償にするけど、メグさんはピンピンしてるものね。


「では魔術の本と魔術解除の本を探していきましょう、どうやらこの本棚はきちんと分類されてない様なので、一つずつ見ていく必要がありますね」


「わかった」とクリス様は私と反対の本棚をチェックしている。


気になるタイトルの本を見つけては机において行く。


そして私とクリス様が丁度真ん中の本棚にきた時、クリス様が鍵付きの本を手に取った。


「モニカ、これは鍵が付いているが、俺にはこの文字は読めない」


おお、クリス様にしては長い言葉だわ。私に慣れてきたのかな?


「安心してください、私には言語能力がありますから、大抵の言葉は読めます。。」


私は最後まで言えなかった。

だってクリス様が大事そうに抱えてる本のタイトルは、

「王家伝統 閨指南書 その1」


その1て事は1冊以上あるのか!!!!


「く。。。クリス様、それは絶対に違います。置いてください」


「ここに似たようなのがもう1冊ある」


まさかの「その2」も発見。


私は顔を真っ赤にさせながら、クリス様から本を奪い取った。


その時に裏表紙に描いてあった、男女の絵姿がクリス様にも見えたらしく、クリス様も真っ赤になった。


「す。。すまない」


{やばい、これ絶対閨の本だ。モニカが真っ赤で可愛いが、俺は変態じゃないか}


クリス様が無茶苦茶焦ってる。


「クリス様、とりあえず今抜き出した本からヒントがないか調べましょう」と私が言うと、クリス様はほっとした表情で頷いた。


とりあえずテーブルと椅子をさっと拭いて、私達が本を手に取ろうとした瞬間にドアがバーンと開いた。




王家に伝わる閨の本。鍵は王家の子供が適齢期になったら、親から渡されるという親も子も恥ずかしいイベントです。

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