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魔王とタコパでザクロのお酒

私がスーパーに着くと、黒木さんが隣のお店から丁度出てきた。何か箱のようなものを持っている。


「何買ったんですか?」


「たこ焼き用プレートと卓上コンロ」


「私もこのスーパーの入り口の横のたこ焼き屋見てて食べたいなと思ってたんですよね」


「そう俺も。でも今買っても冷めるし。あのクルクルするのしてみたい。アヤは出来る?」


「出来ますよ。うちでよくタコパするんです。トッピングにチーズとかタコの代わりにエビとか入れても美味しいです」


「お、色々買っていこう!」と2人でスーパーで本当に色々買ったら、すごい荷物になってしまった。


「持てないですよこれ」


「大丈夫、牛尾と八木がまだ会社にいるから呼んだ」


よくみたらもう来ていた。


「牛尾さん、八木さんは本当にすぐに呼び出されて、なんか申し訳ないです」と私が言うと。


「アヤさんは気にしないでくださいね」と八木さんが言う。


「いいんだよ、俺の臣下だから」と黒木さんは偉そうに言うが、


「親しき中にも礼儀ありって、臣下でも感謝の心は忘れちゃダメですよ」


「うわーアヤさんは女神ですね。お気づかいありがとうございます。僕らは大丈夫ですから」と言いながら、牛尾さんの尻尾がブンブン揺れてる。


2人にお陰で無事に黒木さんの家に着いた。みんなで一緒にタコパと思って誘ったが、2人は真っ青な顔をして大丈夫ですって出ていってしまった。


「人数多い方が楽しいのに」


「今日はアヤが俺と一緒に過ごす日だから、みんなでやりたかったら次回ね」


まあ、黒木さんの家だし。やっぱり臣下が魔王の家に入り浸るのは微妙なのかもしれない。


「あ、私はこれ持ってきたんです。たこ焼きには合わないかもだけど、うちの母直伝の肉じゃがです」


「え?アヤの手作り??すごく嬉しい」


「じゃあ温め直しますね、好きな味だと良いんだけど」


月曜日に無茶苦茶怖かったから、ご機嫌とる為に作ったんだけど、喜んでくれてよかった。


黒木さんはご機嫌でたこ焼きに使う具材を切っている。


私は肉じゃがを温め直し、たこ焼きの生地を作った。


「じゃあ焼きますよー」


「えーー穴から溢れてるよ?多すぎじゃない?」


「良いんです、これぐらいしないと、丸くならないんですよ」


黒木さんにも串を持たせて、たこ焼きを回転させていく。


かなり上手にできて大興奮の黒木さんが可愛い。


王道のから、チーズウインナーとかホットケーキミックスで甘いのも食べた。


黒木さんは私の肉じゃがもベタ褒めしてくれたし。


「もう、お腹いっぱいで動けない」


「今夜はうちに泊まっていけば?何にもしないって約束するし、部屋も鍵は中から閉まるから。姪っ(メデューサ)に聞いて、女性が必要なものは揃えたんだよ」


うーーん、魔王の約束って信用できるんだろうか?すぐ嘘をつくし。


でも確かにもう動きたくない。ここなら会社まで徒歩だし。


悩んでいる私を見て、何か瓶を出してきた。

「ほら、このザクロのお酒。帰るんだったら飲めないけど、泊まるんだったら飲めるぞ。アンチエイジング効果が凄くて、お肌がプルプルになるらしい」


なぬ?アンチエイジング?


「お肌プルプル」


1ヶ月の寮生活でレイチェル様のお肌はプルプルにしたけど、私は適当にしててカサカサだから、エステに行きたかったのよね。


「まさに悪魔の囁きですね」


「魔王の囁きだぞ、俺も飲んでるから、ほら」


黒木さんは私の指を自分の頬に持ってきて、ツンツンさせた。


「うわ!何これ。プルプルで赤ちゃんのお肌みたい」


その答えに満足したのか、黒木さんはお酒をグラスに注いで、私に渡してきた。


まあ何もしないって言ったしとお腹がいっぱいすぎて、警戒心は全く無くなってた。


「「かんぱーい」」


「うわーこれ美味しいですね。これでお肌の調子も良くなるなんて最高!」


「だろ?でも結構強いからゆっくり飲むんだぞ」


そう言われたのに、お腹が一杯な上にアルコールが入ったからついウトウトしてしまった。


「アヤー、客室で寝たら?俺は片付けがあるから、まだ寝ないけど」と言って、黒木さんは客室に連れていってくれた。


バスルーム付きの客室はお化粧落としとかバスローブと顔用のマスクまである。


「す。。すごい、高級ホテルみたい」


「はい、これは喉が渇いた時用の水。ちゃんと中に入ったら鍵を内側から閉めるんだぞ」


「黒木さん、片付けのお手伝い出来なくてごめんなさい」


ついでに思いっきり疑ってごめんなさい。


「良いんだよ、ゆっくり寝ろよ」と言うと、黒木さんは私のおでこにキスをした。


私はそれで真っ赤になってしまい。慌ててドアを閉めてしまった。


だから、黒木さんの笑顔があの魔王っぽい笑顔なのも、ぼそっと呟いた言葉も何も聞こえてなかった。


「俺の子羊ちゃんは本当にすぐ信用しちゃうから、心配だな」


そして次の日の朝、凄く爽快に目が覚めた。


バスルームには新品の下着やシャツもある。メイさんにお礼言わなきゃな。


そして本当に肌がもちもち!


大喜びで着替えて、キッチンに行くと黒木さんが朝食を作っていた。


「えーー黒木さん、朝食まで!」


「気にするな、俺も食べるからついでだ。よく寝れたか?」


「よく寝れたし、見てください、お肌プルプルです」


黒木さんも満足そうに私をみている。


ご飯の後は2人で会社に行ったが、黒木さんは人事に用事があると、私だけ先に企画課に行った。


「おはようございます」と言ったら、みんなが私を凝視している。


メイさんだけニコニコしてるが。


「あーー気がつきました?」


お肌プルプルだもんね。


「あ、わかってるんですね。てっきり、黒木さんがこっそり飲ませたのかと思いました」と八木さんが言うと。みんなほっとしてる。


「え?そんな事ないですよ。私も飲んで良かったなって思ってるんで。黒木さんには大感謝です」


「そうですか、喜んで頂けてよかったです」とメイさんが言う。


「メイさんにもお礼言わないと、お部屋の準備頑張ってくれたんでしょ?」


「気にしないでください、臣下として当然の事ですから」


「すごく快適でずっといたいぐらいだったけど、仕事があるからね」


そんな事を話していたら、マリアさんと黒木さんが企画課にやってきた。


マリアさんは私をみて、黒木さんをみて。

「黒木!!!!!!!」と叫んだ。


黒木さんに詰め寄ろうとしたマリアさんをみんなが「アヤさんは納得しているみたいです」って慌てて止めていた。


「あ。。アヤちゃん、本当に?それで良いの?」


「えーーそうですよ、黒木さんはちゃんとどうなるか説明してくれましたよ」


「そ。。そう。なら良いんだけど」


黒木さんはニコニコしながら

「ほら、アヤ、あれ飲んでよかっただろ、みんなのも喜んでくれてるし。この仕事が終わったら、みんなでパーティーしような」


「パーティー、あ!タコパ。そうですね、きっとみんなも気に入ってくれると思います。じゃあ私は王立図書館に行きたいので」


「アヤ、俺も授業があるから途中まで一緒に行くよ」


と、私たちが出ていった後にみんなはマリアさんに詰め寄った。


「「「「タコパって何ですか?」」」」




やっぱり黒木さんは悪どいのです。

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