表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

前編(催眠が効かない僕視点)

※ヒロインの台詞は、主人公にだけモールス信号のように聞こえます。

どういったことを喋っているのかは、想像していただければより楽しめるかもです。

後書きの方で、一応答え合わせもあります。

実はアルファベットにちょっとした遊び入れてます。

その詳細については、後編の後書きにて……。

「a-@tm -gwa -- tm- !」


僕が通学路を怠そうに歩いていた時、後方から女の子が、いつも通り意味の分からん言葉で声を掛けてきた。


やべぇ今日もわかんねぇや。


彼女の名は宵宮夕子。


いわゆる宇宙人である。


いやいや何を非現実的なことを言ってるんだ己はとか、そんなツッコミをされても文句は言えない。


というか冗談であってほしい。


何がって?


そんなの決まっている。


学校にいる先輩や同級生が彼女の謎の催眠術にかかって、言いなりになってしまうことだ。


明らかに不自然に、催眠術にかかってしまった者は例外なく目がすわっているのだ。


ただ、もしかしたら僕の見間違いとか、僕が何らかの病気に罹っているのかもしれない。


そう思って一応病院にも行ってみた。


結論を言えば、僕自身は健康体そのものだった。


高校生になっても皆勤だしね。


なんて優等生なんだろう僕。


健康って素晴らしいね。


元気が一番!


はははっ。


クソがっ。


なんで健康体なんだよ。


いっそ仮病使って、学校休んじゃおっかなとか思ったりしたけど、皆勤が途切れちゃうのがもったいなくて休めない。


無駄なプライドだなとか言わないでください。


僕の取り柄、これぐらいしかないんです。


……あぁいや、もう一つあるな。


現在進行形で、彼女の謎の催眠術にかかっていないことか。


ただそのせいなのか、彼女の言葉が理解できないのだ。


モールス信号みたいな音しか聞こえない。


んじゃ実質取り柄一つじゃん。


つれぇ。


催眠術にかかる体質であれば、こんなふうに苦労はしないのだ。


「n@-@t yl yp- p-ot --t-y -d yp-- ?」


僕が返答の仕方を考えている最中、おそらく挨拶をしたのであろう宵宮夕子が、僕の顔を覗き込む。


ん?


挨拶に考えるも何もないだろって?


そうだね。


普通は同じように『おはよう!』とか返せばいいよね。


でも僕の場合は考えなくてはならないのだ。


だって──。


「……悠久の果てに意識が持っていかれていた……だが安心しろ。今覚醒したぞ選ばれし者よ」


厨二病キャラで押し通してるんだもん僕。


ふざけてんのかって?


半分当たってるが半分間違ってる。


命懸けでふざけてる。


だってそうでもしないと僕、肉塊にされるかもしれないからね。


怖いね。


おいおい話すね。


「-a- oga ---m- wu y- --f- 」


僕が意味の分からん厨二病もどきなセリフで返答すると、これまた意味の分からんモールス信号もどきで彼女は返答した。


くすくすと笑ってるから、多分馬鹿にされてる。


泣きたい。


アンタのせいで厨二病もどきを演じてるんだぞこの野郎。


早く帰りたい。


というかなんで、よりにもよって僕に構うんだこの人。


分かりやすく痛々しいセリフ吐いてるから、いじりたいのかなぁ。


いじめっ子みたいでなんか嫌だわぁ……。






そんな痛々しい厨二病を演じることになった原因を語ろう。


その事件は、高校に入った初日を振り返らねばならない。


めでたく第一志望の高校に入れた僕は、とりあえず学校内を歩いていた。


部活動が盛んな学校故か、いろんな部活から勧誘がきてたけど、部活に入る気はなかったから断りをいれた。


そんな勧誘があちこちから来てた時、とあるイケメンな先輩が例の彼女を誘おうとしていた瞬間を目にした。


彼女がまさに絵に描いたような美少女だったから、木陰でその様子を興味本位で見ていた。


これが青春ラブコメものなら、ここでOPでも始まるかもね。


いいねぇラブコメ的青春。


僕には程遠い世界だなぁ。


でも悲しんではいけない。


僕には僕の青春を送ればいいだけの話だからね。


のんびり楽しもう。


なんて呑気に考えながら見ていたら、先輩が青ざめた顔で彼女から離れようとしてたのよ。


あれ……何か様子おかしいなぁ。


思わず声をかけようとした瞬間、彼女の後方から謎の触手が先輩を串刺しにしたのだ。


しかも悲鳴をあげれないように、口から入れやがった。


あまりにも非現実的な光景を目の当たりにし、当然ながら僕は生きた心地がしなかった。


思い切り頬を引っ張っても夢から覚めることはないから、残念ながら現実であることは確実だ。


何だよ。


何なんだよアレは。


確実にやったよなあの美少女……いや宇宙人だあれは。


とにかく離れようと思って動いたら、神のいたずらか足元にあった小石を蹴り飛ばしてしまった。


馬鹿野郎。


その刹那、僕は彼女の触手によって校舎の壁へと追いやられていた。


謎の美少女もとい宇宙人に、ホラーゲームよろしくな恐ろしい表情で迫られている。


触手がうにょうにょ動いていて、今にも僕を貫きそうだ。


何あの反射神経。


バトル漫画出身のお方?


いやそんな冗談を言ってる場合ではない。


死ぬ。


「-td- --f-w -t o-pt ?」


目の前にいる女子高生の服を着込んだ化け物は、モールス信号のような音をだしている。


何を言ってるんだ。


でもなんとなく尋問されていることは理解できた。


しかし僕は答えられなかった。


というか答えられる余裕がない。


「-ac- -o pt -t-w -fgp m-op t-tv m-t-- w- t-t p- wy-o- -r y- --i- 」


分からん分からん。


何か確認されてるっていう認識でいいのか?


何か僕の顔をジロジロ見たり、身体を触手で触れてるし。


「-n- -a --f-u fw-- f- yn- ---- wu-jn -d-w -a-zu zu -zu-s d-y-s u--- -nv-l t--d c-z」


かと思ったら、今度はぐるぐるとした真っ黒な瞳で僕を見つめてきた。


こっっっわ。


催眠術にかかったようなそんな瞳。


というかこれ、僕にかけようとしてるのか?


なんかすっごい圧力感じるもん。


「-ot-g --v-d dyn- -dva d-sv j-ij dyn v-f s- --kt- ap-at」


首を傾げて、僕を見つめる美少女。


仕草は可愛いんだけどなぁ。


「……---- u-c- ---f- y-do」


なんて呑気に考えてたら触手を刃のように尖らせてきやがった。


やべぇ何か答えないと殺されるぞこれ。


でもなんて言ってるか分かんないし。


だったらもう勢いで誤魔化すしかない。


「まさか……君が選ばれし一族とはな……。少々驚いたよ……ふっ」


意味の分からん言語なら、こっちも意味の分からん言葉で対抗する。


自分で言ってて意味分からんな。


何だよ選ばれし一族って。


何のだよ。


「……?」


目の前にいる美少女も困惑した表情浮かべちゃったよ。


ちょっと可愛いなって思っちゃった。


えっ、何この馬鹿みたいな状況。


「いや言わなくてもいい……僕には分かっているさ……少女よ」


僕もなんだ気持ち悪いな。


なんでペラペラと喋れるんだよ。


……多分中学時代の名残だなこれ。


厨二病抜け切ってないのかも。


僕が何か気持ち悪い対応してたら、とうとう吹き出しちゃったよ目の前の美少女。 


へへ。


助かるかなこれ。


「-s-dy dy-a- u-n-y- ---a my- q- yd- s-f m-v-d -d dy」


笑いながら何か言ってるわ。


分からんって。


でもこれ助かりそうだぞこれ。


何か適当なこと言って立ち去ろう。


「おっと……風が僕を呼んでいるようだ……君も自分の使命を全うするといい……」


「……-h---?」


そして僕はその場をそそくさと去ることにした。


何か美少女が驚いてたり、モールス信号の音で僕を呼び止めようとしてたけど無視。


よかったー。


生き残ったー。


ていうかあの時の僕、よく無視できたな。


あれで消されてもおかしくないよねあれ。


その場にいるのが恐ろしくて、そそくさと去っちゃったけど。


とりあえず入学式は波乱の幕開けだったのだ。


まさかまだ知らぬ先輩が肉塊になるとはね。


もしかしたら、先輩も彼女の言葉が分からなかったのかもしれない。


そのせいで肉塊にされたんだろうね。


マジのマジでギリギリでした。


まぁ終わりよければすべてよしってことで。


ははっ。


というわけで今の状況を言おう。


僕は今、いわゆる主人公席に居座っている。


窓際族ってやつだね。


……それだと意味変わっちゃうか。


まぁいいや。


とりあえずクラスメイトとは、なんとなくやっていけてる。


ただ一人を、のぞいて。


その一人は当然決まっている──。


「……あっ! 宵宮さん! おはよ!」


クラスの中心的人物が声を上げる。


「夕子ちゃん! おっはー!」


宵宮の女友達らしき人物も続く。


「宵宮さまぁ!! 今日も大変お美しい……!」


宵宮のファン的な何某も黄色い声をあげる。


そして、その本人が言葉を紡ぐ。


「i-dng -?!n -- dn- db-a-A-g-q d-・d」


うん。


分からん。


でもクラスメイトは分かっている。


なんでそんな事が分かるのかは、彼らの瞳を見れば一目瞭然である。


みな、あの時の彼女の真っ黒な瞳のように、ぐるぐるとしているからだ。


こっっっっわい。


下手なホラゲーより怖い。


帰りたい。


めちゃくちゃお家帰りたい。


強制的にクラスのマドンナと化した彼女は、僕の隣の席に座ってきた。


「r-@tm -gwa -- tm- 」


おそらく僕にも挨拶してる。


だから分からんって。


「……今日も風が泣いている……」


とりあえず意味深なこと言お。


気持ち悪いね僕。


「相変わらず何言ってるかわかんねぇなコイツ」


クラスの陽キャラ的な何某がそう言う。


こっちのセリフだわくそ野郎ども。


隣の宇宙人が何言ってるのか教えろや。


「--ok --qv」


隣の化け物は何か笑ってるし。


何わろてんねん。


ちくしょうこんなことになるなら、通信制の高校に入学すればよかった。


とにかく、僕の目標は隣の化け物から離れること。


平穏を掴み取らねばならないのだ。


つまり、無事に卒業することだ。


……というか誰か僕を助けてください、お願いします。


宵宮夕子の声を聞け モールス信号 答え合わせ


「a-@tm -gwa -- tm- !」

おはよう!


「n@-@t yl yp- p-ot --t-y -d yp-- ?」

どうかしたの?


「-a- oga ---m- wu y- --f- 」

相変わらず面白いね


「-td- --f-w -t o-pt ?」

見ましたか?


「-ac- -o pt -t-w -fgp m-op t-tv m-t-- w- t-t p- wy-o- -r y- --i- 」

まだ催眠にはかかってないみたいね



「-n- -a --f-u fw-- f- yn- ---- wu-jn -d-w -a-zu zu -zu-s d-y-s u--- -nv-l t--d c-z」


わたしのいう事に疑問を持つな



「-ot-g --v-d dyn- -dva d-sv j-ij dyn v-f s- --kt- ap-at」


もしくはかからない人?



「……---- u-c- ---f- y-do」


……殺すか



「-s-dy dy-a- u-n-y- ---a my- q- yd- s-f m-v-d -d dy」


君、そういうキャラなんだ


「……-h---?」


……え?



「i-dng -?!n -- dn- db-a-A-g-q d-・d」


おはよう。みんな


「r-@tm -gwa -- tm- 」


おはよう


「--ok --qv」


ふふ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ