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あめつち  作者: きまぐれ猫


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星雲

子どもの頃、科学館に遠足で行った時に買ったお土産が、鉱物標本と天体図だった。

私が買った鉱物標本という物は、1、2㎝四方程度の鉱物の欠片がちょっとした説明とともに台紙に十数種類張り付けて並べてあるものだ。

プラスチックの箱に入れられたそれを、よく箱から取り出しては直接触って遊んでいた。

元から鉱物に興味があったというのではなく、身近には無い珍しくてキラキラした石が並ぶ標本が、子ども心に格好良く見えた記憶がある。

その標本はしばらくの間手元にあったけれど、何度か引っ越した中で失くしてしまった。


もう一方の天体図を買ったのは、遠足のプログラムでプラネタリウムを観た影響だった。

初めて観たプラネタリウムの内容はあまり覚えていない。

当時と今とでは投影機の性能に差があるのは明らかだけれど、解説する内容はそうそう変わらないだろうから、きっと星座の話をしてもらったのだと思う。

お土産コーナーで友達と選んだ天体図には夜光塗料が使われていて、暗い場所で観ると星座が浮かび上がる仕様だった。


その頃にはもう星を見るのが好きだった。その切っ掛けも自覚している。

子どもの頃は家族で出掛けるとなると車で遠出するのが常だった。

海だったり温泉だったり、行く場所は様々だったけれど、家に帰り着く頃には夜になっていることも多かった。

今のようにどこでも簡単に動画が見られる時代ではなく、夜の車内の暇つぶしなんてほとんど無くて、よく星を眺めていたものだ。


流れ星が見えたとか、何か忘れられないような特別な体験があったというわけではない。

それでも星を見ていた事だけは鮮明に覚えているのだから、もしかしたら遠出の記憶と結びついているのかもしれない。

特別な体験とは違うけれど、夜空の中に星雲を見ていたことは思い出深い。

もちろん当時は星雲なんて言葉を知らなかったから、大人になってからあれが星雲だったのだと分かった。

視力が落ちた今では肉眼で見ることが難しいからこそ、なおのこと特別な思い出になっている気もする。


星に詳しい人が身近にいたなら、もっと興味を持って見ていたかもしれない。

だから、当時の私はただ星空を眺めることが好きだったというのが正確だろう。

北極星やオリオン座、北斗七星にカシオペア座などは、理科の授業で聞いて初めて認識した程度だ。

それでも、林間学校で始めて天文台から月や土星を観た感動は覚えている。


今はもう天体図を手元に置いてはいないけれど、大人になってから買った宇宙や太陽系に関する図鑑をリビングに置いている。

専門に学ぶほどの知識を得たいわけではなく、子どもの頃と同じでただ眺めるのが好きなだけ。

気が付いた時に手元に持って来て開いては、美しい天体を見て、宇宙が存在することの不思議を感じる。


彗星だったり、流星だったり、皆既食だったり、数多くの天体現象が起きる中には一生に一度しか遭遇しないだろう出来事もある。

毎年起こる有名な流星群であっても、悪天候や満月に近いタイミングと重なると見るのが難しい場合もある。

だからこそ、ふと思い立った時に星空を見たくなるのかもしれない。

自分の頭上で毎日起こっている天体ショーを見るために。


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