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あめつち  作者: きまぐれ猫


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楽しむ

「人が生きる意味とは何か」と問われる場面が、生きていれば何度か訪れる。

自問のこともあれば、誰かに問いかけられることもあるだろう。

昔は、連綿と続く生命を次の世代に繋ぐことが生きる意味で、そうすると「ただ生きること」がその答えなのではと考えていた。

でも、今は少しだけ違う。


人として生きている日々を楽しむこと。

それが私の思う生きる意味だ。


ペットを飼っていると、動物にも感情があるように感じる場面が多々ある。

嬉しいとか楽しいとか、悲しい寂しいという感情が、言葉が無くても伝わってくるものだ。

そうした実体験があるから、感情が人間にしかないものとは思わない。

ただ、「生きていることを楽しむ」というのは人間にしか出来ないのではないだろうかと思っている。


例えば、美しいものを見て感動したり、誰かと協同する、または応援することで得る一体感や達成感だったり、同じ気持ちを共有できた幸せだったり。

人間だからこそ持ち得るそうした楽しみを見出すことは、人間として生きている今生でしか体験できないことであり、それは生きる意味になるのではないだろうか。


誰しも生きていることで苦しい思いをしたり、理不尽な目に合うことがあるだろう。

どれだけ恵まれているように見えても、本人の感じていることは誰にも分からない。

病気や障害を持っていても、前向きに生きている人は大勢いる。

どんなことに悩むのか、幸不幸の基準をどこに置くのかは人それぞれだ。


だから、誰かを基準にするのではなく、自分にとっての幸せを考える。

今日一日を平穏に過ごせること、ご飯を食べられること、安心して眠れる場所があること、家族と居られること、好きな人と過ごすこと。

行きたい場所に行けること、会いたい人に会えること、やりたいことが出来ること、「ありがとう」と伝えること。


どれもきっと簡単なことだけれど、本当は簡単なことではない。

例えば災害が起きたなら、今日一日を平穏に過ごすこと自体が難しくなる。

衣食住の全てにおいて誰かの援助が必要になる事態を、他人事ながら何度も目にしてきた。

大切な人と時間を共有することだって、お互いの歩み寄りがなければ出来ないことだ。

そして、ありがとうと言えるには、誰かとの関わりが必要で、その上で自分に感謝できるだけの心の余裕が無くてはならない。


どんなことも、どんな状況も、受け入れて楽しめれば良いというわけではない。

そう出来ない状況があるからこそ、何事もなく生きている今を楽しむことが大切で、生きる意味なのではないかと思うのだ。


被災した人や、紛争に巻き込まれる人を見る度に、何も出来ないことに対する無力感に襲われる。

一方では、それが遠く離れた場所で、自分の身近に起きなかったことに安堵する。

そして、その当事者の境遇を想像するだに悲観する。

でも、紛争地の子どもたちが将来の夢を語る姿を見て、希望もなく生きているのではないと知ると、ちょっとした衝撃を受け、安心する。

そんな風に他人の境遇を見聞きしては自身の身に置き換えて想像するだけの自分が、どうにも身勝手に感じることもある。


誰かの境遇に心を痛めること、共感することは必要なことに違いない。

ただ、誰かと比べて幸不幸の基準を作ってはいけないのだ。

自分には自分の幸せがあって、その物差しで誰かの幸不幸を決めることなどできない。

だからこそ、せっかく人間として生きている今、自分に与えられた環境の中で、出来る限りの楽しみを見つけながら生きることを大切にしたい。

それが今の私が思う生きる意味だ。



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