シロツメクサ
庭にシロツメクサが一株ある。
元からそこに生えていたものではなく、今年になって見るようになったもので、鳥が運んで来たか、近くの草地から飛んで来た種がそこで育ったのではないかと思う。
砂利を敷いた場所に生えているから、何もなければ他の雑草のように抜いてしまうのだけれど、四つ葉のクローバーが庭で見られるかも、と期待してそのまま残している。
今のところ、シロツメクサの花と三つ葉が元気に育つのを観察する毎日だ。
家の近くの空き地にはシロツメクサが群生していて、種が飛んできたとしたらここからだろうと考えている。そこでは四つ葉のクローバーも見つかる。
沢山の三つ葉の中に紛れてなかなか見つかることのない四つ葉。幸運の象徴と言われるだけあって希少な存在だ。
探したからと言って毎回見つかるわけではないし、必ずそこにあるというものではないけれど、だからこそ見つけた時には自然と嬉しくなる。
四つ葉が発生するには、何かしら原因がある。
よく聞くのは、踏まれることで発生する確率が高くなるという話。
踏まれるだけでなく、動物によって噛まれることもあるかもしれない。そうした原因で植物の成長点が傷付いた時に、本来の三つ葉とは異なる奇形として四つ葉が生じる。
世の中には四つ葉のクローバーの栽培キットというものが売られている。そのことを考えると、他の植物と同じように、四つ葉を生じやすい遺伝子を持つものを選別して掛け合わせていくことも可能に違いない。
遺伝子の変異が、四つ葉が発生する原因だとすると、遺伝子のコピーミスで突然変異が起こることもあれば、そもそも遺伝子が変異した状態で種子になった株もあるかもしれない。
いずれにしても、本来四つ葉は稀にしか発生しない存在で、その希少性が幸運の象徴と言われる理由の一つになっている。
その上、たくさんの類似した葉の中から、あるかも定かではない四つ葉を見つけるのだから、運の要素が大きいように感じるのも当然だろう。
確率で言うと何万分の一くらいなのだという。
中には五つ葉以上の奇形もあって、当たり前のことながら、そちらの方がより稀なものになる。四つ葉以上のクローバーにも意味があると知ったのは、五つ葉のクローバーを見つけた時だ。
四つ葉のクローバーが見つかる時というのは、必死に探して見つかる場合と、目の前に差し出されたかのように直ぐに見つかる場合とがある。
特にパッと目を向けた先に四つ葉があった時は、普通に見付けるよりも特別に運が良いように感じられて嬉しいものだ。何だか背中を押してもらえているような気持ちになる。
もしかしたら、そういうところも幸運の象徴だと感じる要因になっているのかもしれない。
シロツメクサにたくさんの葉が付いて、花が咲き、枯れる。
それはただそこにある自然の一部。
でも、その中に四つ葉を見つけた時、人間は「幸運の象徴」という意味を持たせる。
見つかる前から同じ場所に四つ葉は存在していて、他の三つ葉と同じように養分を作る役割を担っているに過ぎないのに。
人間にとっての幸せとは、そこにあることに気付くかどうか。それを幸せと思えるかどうか。
きっとそれだけなんじゃないかと思う。




