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命をもらった私

作者: 鈴木翔華

初の試み大目に見て下さい。

2XXX年地球はロボットに乗っ取られようとしていた。

ある日一台の軍事ロボットが暴走した。その暴走は人間が計画的に起こした犯行であると断定され、歴史から軍事用ロボットごと消されてしまった。その100年後再び戦争が起き、軍事用ロボットの大量生産が行われてしまった。歴史は繰り返す。一台、また一台と暴れだす。とうとう全てのロボットの制御を失った。その時ある学者がいった。

「これはロボットの反逆だ、復讐なのだ。人間には止められない。」

そこから間もなくして地球全体が荒野と化した。

多くの人間は何も知らぬまま死んでしまった。その方が幸せだったのではないか。生き残った誰もがそう思う。ロボットは何を求め、何のために動いているかわからない。本当に復讐のためなのか。罪のない人を殺す必要があったのか。人間は思う。「理不尽だ。」


一人の学者はあるモノを作った。

「…動かない…か。また失敗。もう資材も尽きかけている。次が最後になってしまうだろう。」

ガガッ

動き出す。

「!成功したのか!?話せるか!?テストに移ろう!!」

「…」

「…話せ…ないのか?」

「…は…な…せ…る。」

カタコトの言葉を話す。

「今の気分は?」

「しあわせ?」

「成功だ!!!成功した!!!!」

作ったモノを持ち上げる。

「お前は救世主だ!」

「?」

男はロボットを作った。

「お前には命がある!必ず平和な世界を創れる!」

「うれしい?」

「勿論だ!!」

男は喜ぶ。全てを忘れてロボットの完成に喜ぶが

不幸はいつだって突然に起こる。

パンッ!!

銃声が鳴り響く。

「ヒトリヤッタ。」

銃を射った主それは軍用ロボット。安全なところなどない。そんな中での歓喜の声はロボットを呼び集めるモノでしかなかった。

「びっくりした。なんできゅうにねたの?」

「ゴフッ…突然眠気が来たんだ…お前なら人とロボットを繋ぐための橋になれる…頼んだぞ。」

「おやすみなさい。」

「あぁ…おやすみ。」

「ヒトカ?イヤチガウカ。」

「わたしにはいのちがある。」

「ナニ?イキテイナイオマエニイノチワナイ。」

「そうなの?」

「ソウダ。」

ロボットが去る。


そこから少女のようなロボットは学者が起きるのを待ったが。学者が目を覚ますことは二度となかった。

「いつまでねてるの?」

「ねるのはたのしい?」

「いのちってなに?」

その問いに答えが返ってくることはない。

「なにかいってくれないとかなしい。」

そんな日々が何日かたった後、少女は手帳を見つける。

「よんでいい?」

「よむね。」

それには日記が書かれていた。

今日は形が作れた。後少し。

そんな内容がなんページかに渡り書かれていた。最後のページに掻き消された文があった。

「つ…ま…と…む…す…め…と…あ…そ…ぶ」

妻と娘と遊ぶ。その文字が掻き消されていた。次の行に妻と娘の墓を作る。世界を平和にする。ロボットの破壊は危険が伴う。ロボットなら平和を創れるのではないか。希望が見えた。命を持つロボットを作れば…

そこで日記は終わり。少女は考える。

「すこしそとにでる。」

少女が初めて外に出る。少女の瞳には荒れた街や死体が映る。学者が射たれた日より人気がある。

死体に花を置き死者を弔っている老人の姿を見つけ、

「なんでねてるひとにはなをおいてるの?」

「この人達は寝てるんじゃない。死んでいるんだよ。もう二度と目を覚まさない。」

少女には知識がなかった。

「死んだ人間が少しでも明るい道を歩けるように花をおいてあげるんだよ。」

「いつからねてるの?」

「…五日くらい前だね。」

学者が死んだのも五日前だった。その日はこの街にロボットが集まっていた。そんな時に少女は完成した。

「わたしにもはなちょうだい。」

「いくらでも持って行きな。」

「ありがとう。」

少女は花を十本持って帰る。

「しんじゃったの?」

「だからなにもいってくれないの?」

「おはなきれいでしょ。」

「たくさんあればよろこんでくれるとおもって。」

花を添える。

「またおはなししたかった。」

「いまかなしい。」

涙が溢れる。

「なみだでてきた。」

「すごい?」

「うれしい?」

少女はとてつもなく人間に近い。それ故涙が流れた。

「またすこしそとにでる。」

先程の老人のところへ向かい話をする。

「また来たのかい?」

「へいわなせかいってどんなの?」

「はは…難しい質問だな。

 昔はもっと明るくて嬢ちゃんみたいな子供がこんなに苦しむ必要のない世界だった。」

「それがへいわなせかい?」

「そうかもしれないな。」

「わかった。」

「食べ物はあるかい?」

「いらない。」

「そう遠慮するな。皆で平和を取り戻すんだ。」

パンをもらう。

「ありがとう。うれしい。」

「久しぶりに笑顔が見れてうれしいよ。こちらこそありがとう。」

「わたしにはいのちがある?」

胸に手を当てさせる。

「わたしひとじゃないの。」

「驚きだよ。でも君にも命はあるさ。今はまだわからないだけだよ。」

「そうなの?」

「あぁ。」


老人が笑顔で去って行く。

少し歩く。少し歩いて一ヶ月が経った。

ロボットが再び集まってくる。

「なんのためになにをしてるの?」

ロボットに問う。

「ヒトワイナイホウガイイ。」

「なんで?いいひとはいるよ。」

「ワルイヒトモイルカラダ。」

「そう…」

ロボットは少女を後に街を捜索する。


また歩く。次の街へ。

何かを作ろうとしている老人を見つける。

「なにつくってるの?」

「ロボットを壊すロボットを作っている。」

「てつだってあげようか?」

「いいのかい?成功するかわからないのに。」

「いいの。」

少女は老人と行動を共にする。その老人は街から街へ移動して材料を集めているようだった。

「へいわなせかいってどんなだとおもう?」

「皆がいつでも笑顔になれる世界かな。」

「ふーん。」

そんな少しの会話をしながら歩く。材料が集まると街に戻り、研究をする。そして失敗する。その繰り返し。それでも老人は研究をやめようとしない。

「できた?」

「また失敗だよ。」

「もうなんかいもしっぱいしてるよ。あきらめないの?」

「続ける理由があっても諦める理由はない。失敗何て覚悟の上さ。」

「みんなでいっしょにたたかえば?」

「人は君が思うより汚い生き物なんだ。」

「ふーん。わたしてつだうのやめていい?」

「別に構わないが外は危険だよ?」

「だいじょうぶ。」

「そうか。楽しかったよ。」

「わたしも。」

少女はまた一人で歩く。

試しにロボットを壊すこともした。

ビー ビー

警報がなりロボットが集まる。しかし少女に牙を剥くことはなく。

「わたしはおそわないの?」

「ヒトイガイワオソワナイ。」

「なんで?」

「ヒトワアクイヲモツカラダ。」

「そう…わたしがろぼっとぜんぶこわしてもうけいれられる?」

「ソレガオマエノノゾミナラナ。」

少女は不思議に思う。これまで出会った人は悪意とは無縁の行動をする人ばかりでロボットの言い分を理解することができなかった。

少女は歩く。新たな街に着く。

そこでも苦しむ人が多かったが、

「お嬢ちゃん、ご飯あるかい?」

「ないよ。」

「じゃあこのパンを持っていきな。」

「いいの?」

「あぁ。希望を捨ててはいけないよ。助かる時まで生き延びるんだ。」

そんな会話をしていると男二人が、

「じいさん!あっちに食べ物を持ってない子供がいたんだ。届けてくるからパンをわけてくれ。」

「それは大変だ。これを持っていきな。」

パンを差し出す。そしてまた、

「今度は向こうに子供がいたんだ。」

「持っていきな。」

またパンを差し出す。

「そんなにあげていいの?」

「いいんだよ。出来るだけ多くの子供を助けなくてはいけない。大人としての役目だよ。」

少女も困っている子供を探すために街を歩く。すると

「やっぱりあのじいさんはカモだな。」

「あぁ。おかげで腹いっぱいだぜ。」

先程の男達が物陰でそんな会話をするところを目撃する。思わず声が出る。

「うそついてたの?」

「!こいつじいさんと一緒にいた!」

「ガキ一人だじいさんにチクられる前にヤっちまおうぜ。どうせ誰も気づかねぇよ。」

「それもそうだな。」

男達は少女に襲い掛かる。

「防御装置(システム)作動。」

「なっ…なんだ!?」

「なんでうそついたの?」

「くっ…騙される方が悪いんだよ!」

「そんなんじゃへいわなせかいはつくれないよ。」

「平和なんてないんだよ!必ず何処かで争いが起きて誰かが苦しむんだ。誰かが生きるために犠牲になる奴が必要なんだよ!!」

「わたしいまおこってるの。」

「だから何だよ!!」

近くにあるパイプを拾い殴りかかる。

殴りかかる男のパイプを折り、男の腕もへし折った。

「殺すつもりか!?」

「どうせだれもきづかないよ。」

「!!」

「逃げるぞ!!!普通じゃねぇ!」 

少女はおじさんにあったことを話す。

「あのひとたちうそついてたの。」

「そうかい。」

「おこらないの?うそはよくないんだよ?」

「悲しいかな。言ってくれればわけてあげたのに。

 それに人は嘘をつく生き物だ。簡単に信じてしまった私もわるい。」

「うそつくほうがわるいんだよ。」

「嘘にもいろいろある。自分を守る嘘、他人を陥れる嘘、理由はいろいろだよ。」

「わたしがせかいをへいわにするってうそついたら?」

「それは嘘じゃない。希望だよ。私にとって希望をくれる。それが現実にならなくても。」

「うそは─」

老人が頭に手を置く。

「誰かを幸せにする嘘は見逃してあげるんだよ。」

「わかった!」 


また歩く。そして考える。

(はかせはひとをしんじてなかったのかな。)

次の街につく。その街は食糧が底をついていた。

「ぱんあげようか?」

「子供から食糧を貰う訳にはいかないな。」

「おじさんはろぼっときらい?」

「理不尽だとは思うが人間がやったことと同じ様なことをロボットがしてるだけなんだ。ロボットは人間から学んでいる。手本になる人間が馬鹿みたいなことしたからこうなっちまったんだ。嫌いなんて言える立場じゃねぇ。」

「そうなんだ。」

「そろそろまたロボットが集まる。隠れときな。」

「おじさんはどうするの?」

「最後に人間の意地を見せて奴らに泡を吹かせてやるのさ。」

「ろぼっとはあわをふかないよ。」

「はっはっは!物の例えだよ。」 

おじさんはロボットの近づく方へ向かう。

少女は立ち尽くし考える。

(はかせのところにかえろうかな。)

博士のことを思い出してると、

(そういえばはかせもうそついてた。なんでだろ。)

(平和…)


鉄パイプを手に立ち向かうおじさん。

ビー ビー

警報が鳴る。ロボットが集まる。

少女は歩く。少女は歩くことを決めた。自分がやるべきことを決めた。

パンッ!!


「防御装置(システム)作動。」

「!さっきの…」

「わたしきめたの。ろぼっとをぜんぶこわす。」

「お…お前…」

「あとはわたしに任せて。」


少女はロボットを破壊する。破壊してまた破壊。

そんな日々が続く。そしてついに。

「あとなんだい?」

「アトイチダイ。」

「じゃあさいごだね。」

「ヒトワマタオナジコトヲスルゾ。」

「いいよ。」

ロボットの核を握り潰す。

全てのロボットが破壊されたことを知った人間は街を再建していく。誰がどうやってこの廃れた世界を救ったか知る者は少なかった。


一人の少女はあるモノを作った。

「動ける?」

反応はない。

「失敗か…」

「博士みたいにはいかないな。」

日記を書く。

今日やっと博士が生きてた頃の日常が戻った。

久しぶりに此処に戻った。博士の真似して日記を書く。私にとって今の世界は平和だよ。

日記を持って少女は研究室を出て歩く。

山に着く。とても見晴らしの良い綺麗な街が瞳に映る。

「フー…煙草吸ってみたよ。大人っぽい?」

墓の前に立つ。

「久しぶりだね。」

一本の花を添える。

「博士、嘘ついたでしょ。眠くなったって言ってたのに起きてくれなかった。いつか起きてくれるって信じてたのに。」

「博士の両親がね、お墓を作ってくれたんだよ。花を置いてくれてありがとう。ってお礼言われちゃった。」

「日記も読んじゃってさ奥さんと娘さんのお墓も作ってもらったよ。」

一息ついて煙草の火を消して自分の書いた日記と博士の書いた日記を置く。

「博士が私に任せてくれたけど、私は人の気持ちもロボットの気持ちも何もわからなくて博士が望んだ世界にならなかったかも。」

「さっきも私を作ってみたけど失敗だったよ。」

「私、失敗ばっかでさ自信がないんだ。」

「私、もしかしたら失敗作かも。偶然動いただけで、博士が望んだロボットじゃないかも。」

「…色々な人に平和について聞いてさ、平和がないって言う人もいて…」

「ねぇ博士…今の世界は博士の望んだ世界?」

「博士の平和って何?」

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