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06 イレストバック攻防戦③

 


 市内に侵入したエスペランド軍は、順調にエリアを確保して行っていた。


 だが、ヴィンラル軍は白兵戦に長けている為に徐々にエスペランド軍の被害も大きくなって行っていた。


 更に大型の弩であれば、こちらの戦車の側面の装甲であれば貫く事が実証され、数両の戦車が潰された。


 ヴィンラル軍は徐々にだが、対抗策を生み出し始めていたのである。


 アパッチが飛び回り大型の弩を捜索するが、瓦礫の中などに巧妙に隠されており上空からの発見は困難であった。


 取り敢えず怪しい場所には、ロケット弾などが撃ち込まれてはいるが、それでもそこにある保証はなく、進軍速度は目に見えて遅くなった。



「これは予想以上だな。ヴィンラル軍の白兵戦能力は我々の予想よりも高いか」


 エスペランド軍ももちろん格闘術などを兵士達は収めているが、それ以上に魔導兵と呼ばれる者達の数は多く白兵戦は向こうに利がある。


 魔導兵は、剣の扱いを見る限りは殆どが素人に毛が生えた程度の実力しかないが、それを魔法による身体能力向上と、ある程度の弾丸を受け止める事が出来る魔導鎧で補っていた。


 それでもこの街にいるヴィンラル軍は、ジャーナンド軍やエスペランド軍の様な銃を装備した敵とは初見であると言う。


「つまりジャーナンド帝国の本土側にいるヴィンラル軍は、こちらの予想よりも強い可能性があるか」


 この予想を上層部に伝えることを、マットロック少将はメモ帳に記し、今はイレストバックの攻略に集中する。




 それでも抵抗は一時的なものであり、終始エスペランド軍が圧倒し敵も降伏した。


 こうしてイレストバックの街は、僅か数時間で奪還に成功したのである。



 奪還した後、ジャーナンド帝国とエスペランド帝国の船が港に到着し、続々と兵士達を降ろして行く。


 あとは消耗した武器弾薬や燃料などの補給物資である。


 壊した街の復興と防衛陣地の構築である。


 エスペランド帝国軍が、塹壕を掘り始めるとジャーナンド軍は疑問に思っていた様だが、塹壕の意味や利点などを伝えるとイエルク侯爵は、手伝いを申し出てくれた。


 重機により塹壕を掘り進めているので、邪魔にならない端の方をお願いした。







 ■■■■■


 アルニア連合王国北部戦線から、引き返している最中のヴィンラル軍にイレストバックが陥落した情報が伝わる。


 すると一旦軍を停止させ、大公達は集まり会議する。


「どうやら敵の狙いはイレストバックだった様ですね」


「ええ、急いでイレストバックに向かいましょう!」


「確かにそうですが、全軍では向かいません」


「なんでよ?」


「ルージュ。私達の元々の目的を忘れたっすか?北部も放っておくと私達はこのままだと包囲されるっす」


「わ、わかってたわよ」


「なので此処は軍を二つに分けようと思う。イレストバックと当初の目的通りに北部に向かう軍との二つに」


「本土からの増援はまだなの?」


「そちらも編成に入っている様だ。近々新たに送られて来る手筈になってはいるが、それまで我々だけで耐えなければならない」


 ヴェール大公は最悪の状況も想定して、北部の基地が襲われたと同時に、本土に増援を要請していた。


「さて、どう軍を分けるかだが」


「私の軍がイレストバックに向かうわ。やられっぱなしは私の性に合わない」


「わかった。ではルージュの軍とジョーヌ。君も行ってくれ」


「わかったっす」


 ジョーヌはヴェールの指示に素直に従うが、ヴェールの発言にルージュは少し不機嫌になる。


「私の軍だけじゃ不安?」


「そうじゃないよ。敵の規模もわからないし念の為だ。それにあまり時間をかけると敵の増援が来るかも知れないからね」


 ヴェールは優しく諭す。


「まあ、わかったわ」


「では宜しく頼んだよ。こちらも何とかこれ以上戦線を拡大されない様に努めるよ」


「返り討ちにするとは言わないのね」


「敵の正確な戦力評価がまだ出来てないからね」


「では、また」


 こうして軍を二つに分け進軍を再開する。


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