04 イレストバック攻防戦①
エスペランド帝国軍がイレストバックに向かってるのと同じ頃、ジャーナンド帝国の4つの機甲師団の内の一つである第1機甲師団は、もうすぐでアルニア連合王国北部戦線に到着しようとしていた。
主力部隊は引き返しているとしても、戦線にはヴィンラル合衆国軍の部隊が残っている。
しかし未だにヴィンラル合衆国は、戦車に対抗する手段は設置型の巨大な弩しか無く、それも十分な数は揃える事が出来ず、殆どはジャーナンド帝国本土に侵攻しているヴァイスとブラオの両軍に配置されていた為に、第1機甲師団は戦線を軽微の損害で突破した。
すぐにこの事は、ヴィンラル合衆国軍のアルニア連合王国北部戦線の司令部にも伝わる。
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==アルニア連合王国北部戦線・ヴィンラル合衆国軍司令部==
「何!?戦線の一部が突破されただと!」
大公3人が主力を率いて戻った後の、北部戦線の指揮官に任命されたのはゲルプ大公国のダリオ伯爵である。
ダリオ伯爵は戦線を任されて、早速一部が突破された事に狼狽する。
「戦線を突破したのは、ジャーナンド帝国の戦車部隊です」
「ジャーナンド軍の戦車だと?ジャーナンドの戦車部隊はヴァイス軍とブラオ軍の方に全て回されていた筈では?」
「全てではなく一部だけを回した様です」
「しかし何故だ?一部の戦線を突破したとしても、意味は無いはずだが」
「後続の部隊が突破した戦線に防衛陣地を築いている様ではありますが、急拵えであり魔導兵を5千ほど送れば封じ込める事は出来るかと」
「いや、主力が引き返した今は戦車部隊に対抗出来る魔導兵は使いたくない。先ずは戦車部隊の目的地を探る必要がある。
こちらに来るならそれに備えないといけないが、そうじゃない場合は狙いを早く探らないと致命的な一撃になる可能性もある」
「わかりました。アルニア連合王国軍にはどう対応しますか?」
「うむ、連携した動く気配はない。一応兵を集めてはいる様だが、あの動きから察するに今回のジャーナンド帝国の動きは知らされて無かったのだろう。
まあ、だからこそ我々も後手に回っているのだがな」
アルニア連合王国軍に潜り込んだスパイからは、今回のジャーナンド帝国の動きに対する報告は、一切上がって来ていない事から知らされて無かった可能性が高い。
「取り敢えずアルニア連合王国に対しては、このまま戦線を維持する事に努めて攻めて来なければ放置で良い」
「了解しました」
「引き返した主力部隊にも念の為にジャーナンド帝国の動きを知らせておくように」
「はっ!」
ダリオ伯爵と参謀達は、ジャーナンド帝国が狙うとしたら何処かを話し合う。
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エスペランド軍第63機甲師団は、ヴィンラル合衆国のいる場所は出来るだけ避けながらも、最速のルートでイレストバックに向かっていた。
ジャーナンド帝国の擁する戦車よりも、性能が格段に上でありただでさえ、ジャーナンド帝国の戦車に明確な対策が取れていないヴィンラル合衆国は苦戦していた。
そして圧倒的な速度で、第63機甲師団はイレストバックに到着した。
「マットロック少将。ジャーナンド帝国軍はまだの様ですね」
マットロック少将は、第63機甲師団の師団長である。
「予定時刻までまだ少し時間がある。突入準備だけは念入りにしておく様に。それと時間がくればジャーナンド帝国軍が間に合わなくても我が師団単独でも決行する。時間が過ぎれば敵の増援が来る可能性が高まるのでな」
「了解しました」
第63機甲師団はイレストバックの攻略準備に掛かる。
「少佐。我々第301航空魔導士大隊は、上空から援護します。市街戦となると民間人の犠牲も考慮しないと行けません。予め退避するように通告しますか?」
「そうだな。本部に問い合わせる」
マットロック少将は参謀本部に連絡を入れる。
下された命令は避難勧告を出し、従わない者達は敵勢力と認定する事であった。
すぐに師団所属のAH-64 アパッチが4機と、リゼルの大隊が避難勧告が書かれたビラを町中に撒く。
それに合わせて拡声器で外からも呼び掛ける。
イレストバックにいるヴィンラル合衆国軍は、魔導兵を差し向けて来た。
アパッチとリゼル達は交戦せず撤退する。
そして予定時刻になる直前に、ジャーナンド帝国の第1機甲師団が間に合った。
ジャーナンド帝国軍の機甲師団はエスペランド帝国軍と違い、戦闘ヘリなどは擁していない。
そもそもヘリコプター自体が未だに開発されて居ないのである。
閑話休題。
「さてこれよりイレストバック奪還作戦を行う。此処を取り戻せばヴィンラル合衆国に大打撃を与える事が可能だ。皆気を引き締めて行け」
先ずはエスペランド帝国軍の重砲部隊による砲撃から始まった。
既に民間人は退避済みである。
沖合に到着している戦艦の主砲による艦砲射撃も行われる。
奪還作戦の為に砲撃するのは街の外縁部のみであり、必要な湾口設備には被害が出ない様に注意して砲撃を行っている。
街の城壁が崩れると、砲撃は一旦停止され戦車部隊による突撃が行われた。
エスペランド帝国軍は北からで、ジャーナンド帝国軍は南から攻め込む。
ヴィンラル合衆国軍は矢で応戦して来る。
魔導兵が矢を要ると、薄い鉄だと敵の矢は貫通する。
M48戦車を盾にする様にして、エスペランド軍は接近する。
エスペランド軍の兵士の基本装備はM4カービンであるが、ジャーナンド軍はドライゼ銃と呼ばれる初期のボルトアクション式の小銃が標準装備である。
その為にヴィンラル軍は、エスペランド軍はジャーナンド軍と同様の性能の銃だと誤認し、射程距離と連射性の違いを身を持って知る事になった。
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