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01 異世界転移

 


 気が付けば異世界に転移していた。


 普段通りにゲームをしていると、ゲームキャラクター【リゼル・ヴェラ・フォン・ヴィクター】として異世界に転移していたのだ。


 自分でも何を言っているかわからない。


 そして現在、リゼルがいるのは会議室の末席である。


「諸君。我々は未曾有の危機に瀕している。謎の現象によりエスペランド帝国本土は、異世界に転移したと思われる。

 殆どの海外領土は失われ、通信も途絶した。これは有志以来の危機と言えるだろう。

 軍は最大限の警戒をして貰う」


 と長々とこの後色々と説明を受けた。



 そしてリゼルは参謀本部に呼ばれた。


「ヴィクター魔導少佐。精鋭の君の大隊を率いて、外に偵察に行ってもらいたい。

 航空機や艦は現在異常がないかの確認中であり、即応部隊が不足しているのでな」


「了解しました。交戦規定は?」


「ふむ、出来れば交戦は避けて欲しいが、攻撃されれば反撃を許可する。

 可能なら捕虜を確保してほしい」


「はっ!了解しました」



 すぐにリゼルは部下達の元に向かう。


 初めは転移して戸惑ったが、前の世界にそんなに未練はなくこのゲームに熱中していたので、寧ろ嬉しく感じている。



 今ではこの世界であった出来事は、過去の記憶として頭の中に入っている。


 そして自らが鍛え上げた精鋭中の精鋭である、参謀本部直属の航空魔導士部隊である『第301大隊』の元に向かう。


「総員!少佐殿に敬礼!」


 次席指揮官であるオルテマン大尉の号令に沿って、部隊員がリゼルに敬礼する。


「ご苦労。休め」


「総員!休め!」


「参謀本部より、我々に偵察任務が命じられた。場所は本土より北東200kmの地点までだ。帝国は現在未曾有の危機に瀕している。

 我々の働きが、帝国を救う鍵になるかも知れない。総員気を引き締めて任務に邁進するように」


 第301航空魔導士部隊は、北東に向けて飛び立つ。


 航空魔導士部隊の編成は戦闘機と同じである。


 戦闘機の巡航速度と同程度の速さで、第301航空魔導士部隊は目的の索敵ポイントまで進む。


「ヴィクター少佐殿。レーダーに反応あり。多分船舶かと」


「何処だ?」


「此処から北西に2km地点です」


「そこに向かうぞ」


 レーダーに反応があった場所に向かう。


 そこには帆船の姿があった。


「あれは帆船か?」


「そのようです。あ、あれを!」


 部下が指差す方向には、蒸気船の姿があり帆船から追われているようである。


「帆船にしては速いな」


「どうやら魔法で風を送って速度を速めている様です」


「なるほど。魔導反応は?」


「ありますが……我々のとは少し反応が違う様です」


「ふむ、本部に連絡し指示を仰ごう」


「はっ!」


 暫くして本部から、蒸気船の救助を命じられる。


 帆船には対空手段は無いようで、簡単に鎮圧出来た。


 魔導兵の姿もあったが、こちらより練度は低く杖を使用していたので目立っていた。


「救援に感謝します」


 蒸気船の船長がそう言うが、こちらを警戒している。



「我々はエスペランド帝国軍だ。貴殿らは?」


 名乗ると船長や他の者達は訝しむ表情をした。


 それもそうだろう。


 聞いた事も無い国の筈だ。


「我々はジャーナンド帝国軍所属艦だ」


 船長の話によると、ジャーナンド帝国は現在ヴィンラル合衆国と戦争中であるらしい。


 先の帆船もヴィンラル合衆国の船らしい。


 そんな事も知らないのか?となった。


 此処はお偉方に任せるに限る。



 蒸気船はかなり損傷していた。ただの矢で、鉄の装甲を貫通しているようである。魔法の力だろうか?


 その後はジャーナンド帝国軍の船が救援に来た。

 上層部同士が外交団を派遣し、色々と調整があった様である。そしてどうやらジャーナンド帝国と同盟を結ぶ事になったらしい。


 ジャーナンド帝国はアルニア連合王国とカセレス王国の二国と、対ヴィンラル合衆国の軍事同盟を結んでいるらしい。


 ヴィンラル合衆国は七つの大公国から構成された国家であり、この世界最強の国であるらしい。

 そして魔法至上主義国家であり、科学大国であるジャーナンド帝国に対して、今回大陸暦1914年の8月に宣戦布告を行った結果、同盟国であるアルニア連合王国とカセレス王国も合わせてヴィンラル合衆国に宣戦布告した。


 そうして始まった戦争だが、ヴィンラル合衆国は早速アルニア連合王国の北半分を占領し、カセレス王国に対しては、カセレス王国から数年前に反乱を起こし独立した(カセレス王国とその同盟国であるジャーナンド帝国、アルニア連合王国は国家として認めていない)バダホス公国に対して交渉(脅迫)して、攻め込ませた。


 その結果、カセレス王国はバダホス公国に掛かり切りになり援軍を送る余裕は無かった為に、ジャーナンド帝国とアルニア連合王国のみで戦う事になった。


 閑話休題。


 CC (大陸暦) 1914/10/13


 この日、正式にエスペランド帝国はジャーナンド帝国、アルニア連合王国、カセレス王国から国家として認められ、対ヴィンラル軍事同盟にも参加した。


 こうして異世界から来た国家は、本格的にこの戦争に介入して行く。







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