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10話.[作る必要はない]

「翔太君、昨日は楽しかったですか?」


 正直に言ってこれにはえぇ……となってしまった。

 流石に僕よりも大きい男子が佳代の真似はきつい……。


「……流石にそれは気持ちが悪いよ」

「……真っ直ぐに言ってくれるなよ」


 いやでもこればかりは仕方がないだろう。

 元から敬語キャラであれば丁寧だな~程度の感想で済ませられるが、そうではないのだから意味のない話だと言える。

 多分、佳代が聞いても同じような反応を見せると思うし。


「で、頭を撫でたりはいあーんをしたりといまさっき翔太の口から聞いたわけだが」

「ははは、一成の口からはいあーんが聞けるとはね」

「笑い事じゃないぞっ」

「静かに、あまりにうるさくすると隣から苦情がきちゃうからね」


 一成については分かりやすく行動してくれているからありがたいかもしれない。

 中々できることじゃない、あまり素直に動ける人間ばかりではないからだ。

 特に僕なんかがそう。

 仮にそういう気持ちがあっても同じようにはできないから。


「はい、どうぞ」

「……なんか調子に乗っていないか?」

「いやいや、だって昨日は一成とゆっくりできなかったからさ」


 いや違うか、だからたまにはしてあげないと駄目なんだ。

 そのため、こちらから思い切り抱きしめておいた。

 これで嬉しそうな顔をしてくれれば嬉しいし、焦ってくれればなんか可愛い気がする。

 先程の敬語キャラはあれだったものの、大きな男子がそういう意味で慌てるというのはなんだか見てみたいのだ。


「そうだ、いい子いい子」

「はあ……?」

「いつも偉いね、あと、いつもありがとう」


 がばっと押し倒してくれても面白いが、ここは逆に押し倒してしまうことにする。

 ……重いから危なかったなあというのが正直なところ。

 頑張って支えたことで痛い思いをさせることもなくてよかった。


「もっと色々な表情を見たいんだよ」

「……普通逆じゃね?」

「そうかな? 僕みたいな人間が攻めてもいいと思うけど」


 なにか損するわけでもないからこれでいい。

 羞恥心とかもどこかにいっていた。

 いまはそれよりも、ただただ彼の色々な表情が見たかった。


「普通はこうだろ」

「んー、小さい男が大きい男を攻めるからいいと思うけどな、それが逆だとなんか普通になっちゃうというかさ」

「普通でいいだろ……」


 確かにそうだ、いや、普通がいい。

 余計なあれはいらない、無理やり特殊な雰囲気を作る必要はない。


「ごめん、調子に乗った」

「いや……別に謝らなくていいけどよ」


 なんか申し訳なくなったから再度抱きしめておいた。


「菓子でも食べるか」

「そうだね」


 ありがたみがなくならないように気をつけようと決めた。

 まあ僕と一成であればきっとできることだろう。

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