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第1話「Assemble! 妖怪探偵団、出動!」

 3分間だけ探偵団! ~読者あなたが決めるものがたり~

 INSTANT DETECTIVE


 第1話「Assemble! 妖怪探偵団、出動!」


 【不発弾処理:出題編】


 【1】


 妖怪探偵(ようかいたんてい)()(おもて)(きょう)()には3つの不思議な力がある。


 ひとつ、親から受け継いだ退(たい)()の力で妖怪を味方にできる。

 ふたつ、すぐそばにいる妖怪の力を身に宿し、3分間だけ超人になれる。


 みっつ、これが一番だいじ。京子は、誰とでも仲良くなれる。


 そして、京子が率いる矢面妖怪探偵団には必ず守らなければいけない3つの絶対のルールがある。


 ひとつ、事件の現場にいちどに連れていける妖怪は3体まで。それ以上は、京子の霊力がもたない。

 ふたつ、京子は超人になるとき、そばにいる妖怪3体の能力を合わせた力を発揮できる。

(仲間の妖怪は7体いるため、能力の組み合わせは35通り存在する)

 みっつ、これが一番だいじ。

 一緒に連れていく妖怪を誰にするかは、必ず依頼主(あなた)が決める。京子たちに決定権はない。

 

 【2】


 都会の一等地、駅前のきれいなビルの1階に矢面妖怪探偵事務所はある。元々は「矢面探偵事務所」という名前だったが、オーナーの矢面美弥子(みやこ)が長い闘病生活の末に亡くなり、娘の京子が所長を引き継いだ際に「矢面“妖怪”探偵事務所」と改名している。京子の下で働く従業員は7名いて、その全員が、かつて京子の父親と戦ったのち改心した妖怪だ。


 今日も響く、電話のベルが鳴る。

 事務所の固定電話に着信があった。ナンバーディスプレイの画面には「ケイサツ:ジングウジさん」と表示される。


 細くて長い手が受話器に触れた。電話を取るのは、従業員番号003、有能で事務所一番の美女、「口裂け女」の咲き子さんだ。彼女は耳まで裂けた口をつつましく開き、美しい声で応答する。


「お電話ありがとうございます。矢面妖怪探偵事務所いちの美女、口裂け女の咲き子がご用件をお伺いします。この電話は録音されています。ピーッという発信音のあとに、『私きれい?』とお尋ねしますので、私の美しさを全力で褒めたたえてください。さもないと呪われますわよ。ピーッ。私きれい?」

『……、僕は、女性というのは誰もが美しいと思っているが、きみの美しさは、その中でも群を抜いていると思っているよ?』

「おほほ、嬉しいですわ、神宮寺さま」

『咲き子くん、悪いが緊急事態なんだ。意味のない悪ふざけは慎んでくれないか?』

「あら、悪ふざけとは心外ですわね。乙女はいくつになっても、素敵な殿方から『美しい』と誉めてもらうことに喜びを感じるものですのよ?」

『なるほど、それはよく分かった。京子ちゃんに電話を替わってもらえるかい?』

「所長は食料品の買い出しに出かけておりますの」

『えっ? もう外は真っ暗じゃないか。あの子ひとりで大丈夫なのか?』

「アカマとハナが一緒に行っているから大丈夫ですわ。小学生の相手には、ぴったりの妖怪でしょう?」

『赤マントとトイレの花子さんは、小学生を誘拐する妖怪じゃないか……』

「時代は変わったのですわ。今どきの小学生は塾通いで夜遅くまで忙しいですからね。所長はもうすぐ戻られると思いますが、ご用件をお伝えしましょうか?」

『ああ、そうしてくれ』


 電話の向こうの男――警視庁特務課に所属する神宮寺刑事は声のトーンをやや落として続ける。


『先ほど我々の管轄内で、人間の技術では絶対に解体できない強力な爆弾が見つかった。不発弾で、いつ爆発するか分からない。申し訳ないが、きみたち「矢面妖怪探偵団」の助けを借りたい』

「了解しましたわ」


 咲き子は耳にかかった長い黒髪を手でかき上げ、耳元まで裂けた口を最大まで開いた。そして、長い舌で上唇をべろりと舐めながら、澄ました声でこう言った。


「どんな悩みも『力』で解決。矢面妖怪探偵事務所いちの美女、従業員番号003、口裂け女の咲き子が、責任を持ってそのお言葉を所長にお伝えしますわ」


 【3】


 神宮寺刑事との通話を終え、咲き子が受話器を置いたタイミングでドアが開いて、スーパーの袋を抱えた矢面京子が帰ってきた。つやのある黒髪を顔の輪郭に沿うように短く切り、シャツに短パンを履いて動きやすそうな恰好をしたボーイッシュな女の子だ。


「咲き子さん、ただいま」


 と、伝える声は幼い。彼女はまだ10歳だ。父親を早くに亡くし、病魔に冒されていた母親も昨年、闘病の甲斐なく病院で息を引き取った。年齢の離れた兄は家を出て行ったまま連絡が取れず、天涯孤独となってしまった彼女がたったひとりでどうにか生活ができているのは、母が遺してくれた探偵事務所と、父親から受け継いだ「退魔の力」、そして気の良い仲間たちのおかげである。


 父の家は先祖代々続く陰陽師の家系だった。古くからの因習に縛られ、ハンバーガーもポテトチップスも食べられず、炭酸飲料を飲むことすら許されない厳しい家庭環境で育てられた父親は「俺はコーラが飲みたいんだ!」と言い捨てて家を飛び出し、都会の大学に進学する。一人暮らしを続けるなかで母と知り合い、大恋愛のすえ婿入りして苗字を変えた。


 母は生まれつき頭が良く、先天性の閃きや鋭さを持っていたので、大学を出たあと、資産家の実家の支援を受けて「矢面探偵事務所」を設立した。そこで持ち前の推理力や実家の人脈を駆使して様々な難事件を解決し、それなりの名声を得ていた。


 京子が生まれたあとは父親が家庭を守り、母親はキャリアウーマンとして働いて2人で子どもを育てあげた。父親は実家と疎遠になってしまったが、母親の実家が娘と孫に甘かったので金銭的にも精神的にも多大な支援を受けることができ、京子はなにひとつ不自由することなく真っすぐに育っていた。


 京子が8歳のときに父親が事故で他界し、9歳のときに母が病気で亡くなった。母の両親、京子にとっての祖父母が彼女を引き取って自分の家で育てようと提案してくれたが、京子は毅然とした態度で首を振って断った。


「おじいちゃん、おばあちゃん。そのお気持ちはありがたいのですが、わたしはお母さんがのこしてくれた探偵事務所と、お父さんが一生けん命戦って、こらしめて、もう悪いことはしませんと誓ってくれた妖怪さんたちを、最後まで守ってあげたいんです」


 孫の決意に心を打たれた祖父母は、保護者としての義務は果たしつつも、京子の意志を尊重して遠くから見守る道を選んだ。


「京子や、いつでも遊びに来ておくれ」

「きちんと食事をするんだぞ。つらくなったらすぐに連絡をしなさい」


 と、目をうるませる祖父母の言葉に甘えて京子は、週に1回ぐらいのペースで彼らの家にいってごちそうになり、お土産にお小遣いやらお菓子やらをきっちりともらって帰ってくるのだった。


 【4】


 スーパーで買い込んできた食料を冷蔵庫に入れながら京子は、荷物持ちに付き合ってくれた2体の妖怪たちにお礼を言った。


「アカマくん、ハナちゃん、お疲れ様。荷物を持ってくれて助かったよ」

「なに、いいってことよ。困ったときはいつでもおいらに頼ってくれよ、京子!」


 そう言って荷物をテーブルの上に置き、鼻の下を指でこするのは、赤いタキシードを着た男の子だ。身長も見た目も京子と同じぐらいだろうか。赤いネクタイをきっちりと締め、赤いマントを着こなしている。


 アカマは、元々は夜遅くまで外にいてひとりで遊んでいる子どもを連れ去って血を抜いたり発狂させたりする恐ろしい妖怪だったが、京子の父と戦って負け、すっかりおとなしくなってしまった。かつては小学生以下の子どもを恐怖で震え上がらせた「怪人赤マント」も、今では小学生の味方である。


「ねえ、キョーコ。これはどこにしまったらいいの?」


 と、かわいらしい声で尋ねるのは、米の入ったスーパーの袋を頭に乗せ、落とさないようにバランスを取りながら歩いているおかっぱ頭の幼女だ。赤い吊りスカートと白いシャツが印象的で、名前はハナと言う。


 彼女はまだ幼稚園や保育園に通っていそうな年齢の子に見えるが、実はこの探偵事務所の中では一番の年長者で、見かけによらず腕力もある。女子トイレの奥から3番目のドアをノックすると現れて、子どもたちを異世界に引きずりこんでしまうとされているが、本来は水の妖怪であり、水のあるところなら最大限の力を発揮する。


 京子がそんなハナをちらりと見て、的確に指示を出す。


「ハナちゃん、お米はキッチンの下の米びつの中にしまってね。ラップは上の戸棚の中に入れられるかな?」

「背が足りなくて届かないよ」


 一生けん命に背伸びして爪先立ちになるハナの背後に「……」と無言で近づき、手にしたラップをひょいと取り上げて、高い戸棚に楽々としまうのは身長が八尺(はっしゃく)(240センチ)もある長身の美女、八尺様だ。


 彼女は自らを「あばれ八尺」と名乗っており、怒ると手が付けられなくなるが、そこまで我を失うことはほとんどない。彼女が本気を出して暴れるのは、自分や仲間に命の危機が迫ったときか、京子の尊厳が傷つけられたとき、そして期間限定のスイーツが自分の目の前で売り切れたときぐらいのものである。


「あっ、ハッシャク、どうもありがとう」


 ハナがお礼を言うと八尺は「……」と無言で目配せをして、足音も立てずに猫背気味にリビングの方へと歩いて行く。八尺は事務所の外に出ていくときは、妖怪エネルギー節約のために身長を縮めて行動することもあるが、京子の父親が張った強力な結界に守られた事務所内ではほぼ無尽蔵にエネルギーが使えるため、元の身長のまま活動することが多い。


 京子が買ってきた食料品やら日用品やらをひととおり定位置にしまい終えたのを見計らって、髪をポニーテールに結わえたセーラー服姿の少女が元気に彼女に話しかけた。


 高校生ぐらいだろうか。すらりと伸びた長い手足と、健康的に日焼けした肌、そして空気抵抗が少なく走るのが得意そうな凹凸のない体が特徴的な美少女が、腕に抱きかかえた白いポメラニアンを京子の方に見せながら言った。


「おう、京子。ちょっといいか?」

「なんでしょうか、キロロさん?」

「このワンコロを散歩に連れてってやりてーんだ。悪ぃが、もうちょっとだけ外遊びに付き合ってくんねーか?」


 はすっぱな口調で、白い歯を見せてにかっと笑う。彼女は「百キロババア」のキロロだ。本気で走るとポニーテールを結わえているゴムが摩擦で弾け飛び、髪を振り乱して四つんばいになって突進するので、見た目が山姥(やまんば)のようになることから「ババア」という呼称で知られているが、普通に暮らしているときは女子高生のような身なりをしている。


 ちなみに「百キロ」というのはかなり控えめな数字で、彼女が全力で走るとマッハ1・5まで出せるので常人の目では動きを追いきれない。


 キロロは京子のそばに寄り、腕に抱いたポメラニアンをその鼻先に近づける。


「最近、こいつはメシを食ってゴロゴロしてばっかりで、少しずつ重たくなってきてやがるからな。公園に連れてって、本気で運動をさせてやりてーんだよ。マッハ1・5ぐらいの速さでな」

『フン。()ットイテクレヨ』


 キロロの腕に抱かれたポメラニアンが、あくびをしながら念力で京子たちの脳内に直接語りかける。人間と同じ思考をし、テレパシーによって人語で会話ができる超能力人面犬のワンダ・フル3世だ。ワンダは面倒くさそうに続ける。


『我ハ自分ノ意志デ運動ヲスル。きろろ、オ前ノヨウナ体力オバケニ付キ合ッテイタラ、我ハ ヤセスギテ、骨ト皮ダケニナッテシマウダロウ』

「うるせー。動かざる者、食うべからずだ。ほれ、つべこべ言わずに散歩に行くぞ散歩に。それ以上丸々と太ったらポメラニアンなのか、お歳暮のハムなのか、分かんなくなっちまうぜ?」

『放ットイテクレヨ。オ前コソ、ソレ以上ヤセタラ、針金カ棒カ分カラナクナルゾ』

「いいんだよ、あたしは。アスリートの体ってのはこういうモンだ」

「2人とも、せっかくだけど、散歩に行くのはおあずけよ」


 すべての爪のネイルアートをしっかりと終えた咲き子が、パンパンと手を叩いて、探偵事務所にいる全員に聞こえるような大声で言った。


「神宮寺刑事から仕事の依頼が入ったの。所長、いいかしら?」

「はい、分かりました。みんな、集まってください」


 京子のほか、リビングでテレビを見ていた八尺とアカマ、ワンダを抱いたキロロがやって来る。


 最後に少し遅れて、シャワーを浴びていたハナが髪を拭きながらやって来た。咲き子は全員を「ひぃ、ふう、みぃ」と指さし数えたあと、「メリーがいないわね」とつぶやいて、スマートフォンを操作して耳にあてがった。


「もしもし、メリー? 仕事よ。今、どこにいるの?」

『わたし、メリーさんよ。今、八尺様の背中に張り付いているの』


 全員の視線が八尺に集まった。八尺が「……」と無言でくるりと振り返る。その背中には数百年前の外国の貴族のようなふわふわのドレスを着た少女がしっかりとつかまっていた。年齢で言えば中学生ぐらいだろうか。まるで人形のような愛らしい顔立ちをしている。彼女の能力は変身と擬態。身近なものに化けて対象に近づき、気がついたらすぐ後ろに迫ってきているのが特徴だ。


「どこに隠れているのよ、まったく。これで全員そろったわね」

「それでは、全員集まったところで作戦会議を始めましょうか」


 京子がおごそかに告げ、妖怪たちはピンと背筋を伸ばした。


「咲き子さん、神宮寺さんに連絡をしてパソコンをつないだあと、モニターに映してください。オンラインで仕事の内容を聞いてから、いつものように、探偵団の誰と誰を現場に連れて行くのか神宮寺さんに選んでもらいましょう」


 【5】


 依頼内容:爆弾の解体。

 今回の目的:周りに被害を出さないように爆弾を無力化すること。

 任務達成に必要なスキル:爆弾の知識、手先が器用


 パソコンのモニターに映し出された神宮寺刑事は京子たちに仕事の内容を簡潔に説明したあと、くせのある髪の毛を申し訳なさそうにかきむしった。年齢は30歳を超えているはずだが、まるで大学を出たてのような風貌で、顔にはまだあどけなさが残っている。


『京子ちゃん、すまないね。警視庁で詳しく調べた結果、この爆弾には何らかの人外の力が加わっていることが判明した。僕たち人間が下手に解体しようとすると、どんな罠が発動するか分からない。念のため、半径数キロメートル以内の住民は避難させるから、君たちは爆弾の解体に専念して欲しい』

「分かりました。それでは今回の爆弾解体作業に連れていく妖怪を3体まで、神宮寺さんの権限で決めてください」


 京子が言うと、パソコンを囲むようにしていた妖怪たちが一斉に身を乗り出した。神宮寺刑事の方からはカメラを通じて全員の顔が見えているはずだ。


「ちなみに神宮寺さん、今回もらえるポイントはどれぐらいですか?」


 という京子の問いに、


『20点だ』


 と、神宮寺が答える。


『作業の難易度に見合わないかもしれないが、申し訳ない。

 こればかりは、僕の一存で決められないのでね』

「分かっています。その代わり、ポイントが666点まで貯まったら彼らを自由にし、以降は人間社会で好きなように暮らしてもらう。更生をして社会に出た妖怪に対しては、妖怪ハンターたちによるあらゆる攻撃も調伏も許さない。この約束は守ってもらえますよね?」

『もちろんだ。君のご両親に誓う』

「ありがとうございます」


 京子は深々と頭を下げて、ちらりと後ろ目で仲間たちを見やった。

 ポイントを貯めて警察の監視下から逃れ、自由の身にさせるまでは、誰一人として成仏させるわけにはいかない。悪鬼指定された今の状態で魂ごと消されてしまうのは、あまりにも可哀そうだからだ。京子は深く息を吸い込んで続けた。


「あらためてルールを確認させてもらいます。矢面妖怪探偵事務所には父の張った強力な結界があります。ここから外に出せる妖怪は、法律によっていちどに3体までと定められています。それ以上は、引率するわたしの霊力が持ちませんし、万が一、彼らが暴れたときに抑えられる人がいないからです」

『その通りだ』

「そして、事件解決のために連れていく妖怪は、わたしの一存では決められません」

『君は未成年だからね。法律で定められた年齢になるまでは大事なことは大人が決めなければいけないんだ』

「みんな、ごめんなさい」


 京子は振り返って仲間たちに頭を下げる。


「わたしが大人になるまで、あと6年は待ってください」

「おいおい京子、あと6年もあたしたちをつかまえておくつもりかよ?」


 百キロババアのキロロが、おどけた口調で肩をすくめる。


「あいくにとあたしたちは、あと6年もこんな仕事を続けていくつもりはないぜ?

 さっさとポイントを貯めて、自由の身になってやる。そうしたら首都高でも峠の曲がりくねった道でも、マッハ1・5で走り放題だ!」

「わたしメリーさんよ。はやくひとりで外の世界へ出たいの」

「ワンワン!」

「ワンダはずっとここにいた方が安全じゃないかしら? 所長に美味しいご飯を毎日用意してもらえますものね」


 咲き子の皮肉に、


『放ットイテクレヨ』


 と、ワンダがあくびをしながらテレパシーで答える。


「それで? 神宮寺のおっさんよ、今回は誰を選ぶんだ?」


 アカマが赤マントの下に隠した様々な凶器……かつて人間から血を吸い出すのに使っていた危険な刃物の類をこれ見よがしにちらつかせながら、モニターの向こうの神宮寺刑事を挑発する。


「赤い線を切るか? 青い線を切るか? それとも黄色い線を切るか? 爆弾の解体作業なら、お手のもんでい。おいらの『工具』を使えばな!」

「アカマくん、落ち着いて」


 京子がコホンと咳払いをして、アカマのあとに続く。


「神宮寺さん。わたしはただの付き添いですが、いざとなったら3分間だけ、一緒に連れて行った妖怪の力をすべて合わせ持った超人になれるということもお忘れなく」


 京子が淡々と言葉をつむぐ。「ただし、3分以内に能力を解除できなかった場合は、この力が暴走してしまうので、万が一に備えて、わたしを抑えつけて事務所まで運んでくれる妖怪が一緒に行ってくれると安心です。たとえば、八尺さんとか、ハナちゃんとか」


「……」八尺が無言でハナを見下ろし、ハナが上目遣いにそれに応える。


「まとめると、こういうことです」


 京子は分かりやすく説明をした。


 【6】


 今回の目的:妖怪の力でしか解体できない爆弾を無力化し、周りに被害を出さないこと。


 今回の任務にはスキル「爆弾の知識」を持っている妖怪と、スキル「手先が器用」を持っている妖怪が、1体以上ずつ必要である。ひとりで両方のスキルを持っている妖怪が参加した場合は、その1体のみで条件を達成できる。

 

 また、必須ではないが、スキル「力が強い」を持っている妖怪が1体以上参加していると、京子の能力が暴走したときに抑えてくれるので安心だ。


 以上の条件をふまえて、今回の出撃メンバーを神宮寺(あなた)に選んでもらう。


 【出撃メンバー選択 条件に合う任意の3体をリストから選んでください】


 ▼従業員番号001 ワンダ・フル3世(人面犬) 

 超能力で未来予知をできる場合がある。スキルなし。


 ▼従業員番号002 キロロ(百キロババア) 

 最大速度マッハ1・5で移動できる。スキル「手先が器用」、「力が強い」を所持。


 ▼従業員番号003 咲き子(口裂け女) 

 嗅覚と視覚、聴覚に優れており、常人が気づかないことに気づく場合がある。スキル「手先が器用」、「爆弾の知識」を所持。


 ▼従業員番号004 アカマ(怪人赤マント) 

 体中に殺傷能力の高い凶器を多数隠し持っている。スキル「手先が器用」を所持。


 ▼従業員番号005 あばれ八尺(八尺様) 

 背が高くて怪力。スキル「力が強い」を所持。


 ▼従業員番号006 ハナ(トイレの花子さん) 

 水の近くにいれば無敵。見かけによらず力が強い。スキル「爆弾の知識」「力が強い」を所持。


 ▼従業員番号007 メリー(メリーさん) 

 様々な姿に擬態(変身)できる。足音も立てずに対象に近づくのが得意。スキル「手先が器用」を所持。  


 ■所長 矢面京子(人間・強制参加) 

 妖怪を3体まで自由に外に連れ出すことができる。

 ピンチのときは3分間だけ「妖怪変化」というスキルを使い、そばにいる仲間の妖怪すべての力を合わせ持った超人になることができるが、3分以内に能力を解かないと自制を失って暴走する。そのあとは誰かに事務所(結界の中)に連れて帰ってもらうまで止まらない。


 【作者からの依頼状(おねがい)


 この小説は読者(あなた)作者(わたし)とで協力して作り上げる物語です。

 

 京子と仲間たちの活動を助けてくれる方は、上記の「出撃条件」をお読みになったうえで、感想欄にて出撃メンバーを「提案」してください。


 例:次の作戦(不発弾処理:出撃編)に行くのは【ワンダ、咲き子、八尺】 …など。


 感想を書いていただく際に、そのメンバーを選んだ理由まで述べていただいても、もちろん構いません。


 一定の募集期間を経たのち、いただいた感想の中からひとつを選ばせていただき、作者(わたし)がその設定で物語の続きを書かせていただきます。


 なお出撃メンバーの選定は多数決ではありません。


 あくまでも物語として、もっとも京子たちが活躍できる組み合わせを選ばせていただきます。


 物語の性質上、みなさまからの感想やコメントがないと、この話はここで終わってしまいます。

 みなさまのご参加を、心よりお待ちしております。


(第2話【不発弾処理:出撃編】に続く)


(2022/10/29 追記 第2話にて任務に当たる妖怪は決まりました。メンバー選出に関しては新規の募集を〆切ます。たくさんのご提案ありがとうございました)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語にどんどん引き込まれていって 早く続きが読みたーい!って思います。 [一言] 連れて行きたいのは、キロロ、咲子、アカマです。 一緒に行った3人で、どんなお話になるのか 楽しみです♪
[良い点] ところどころユーモアのある表現が面白いです。続きが気になります! [一言] 爆弾事件:解決編:咲き子、ハナ、メリー
[良い点] 読みやすく流石です [一言] 【キロロ、咲き子、メリー】 返信能力は浪漫
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