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クリスマスローズ

作者: Blue

どこもかしこもキラキラ光るイルミネーション。

行き交う人は大人っぽい服にもこもこマフラー。

あなたが来るのを待つ、美味しくてなんとなくカイロにもなるからと買っておいた2人分のコーヒー、あなたの手にはクリスマスローズ。


 今夜はとても冷え込むでしょう。家から出る30分前にテレビに映るアナウンサーはそう言っていた。厚着してお気に入りのコートを身にまとう。トレンドって言う言葉をあまり好まない私にとっては落ち着くコート。有線イヤホンを付けながら片手はポッケ、片手はスマホ。

これからイルミネーションをみたりするっていうのに聴いているのはなんとクリスマスソングで。

胸焼けしそう、なんて思っているけどあなたの顔を思い浮かべながら歩いているのだから憎い。

どっかの誰かさんがインスタに書いていた“万人受け香水”

とやらの匂いが彼は嫌いじゃないだろうかと心配していたら待ち合わせ場所に着いた。

お洒落ぶってスターバックスで二人分のコーヒーを買って待つ。

「おまたせ」

大好きなその声がした。十分それだけでドキドキしたけど

平常心を保ったまま

「本当だよ、遅い。」そんなことを言ってみる

「待ち合わせぴったりだけど?」

「ふーん」

こんな会話をしてコーヒーを渡す。照れ隠しに急いでコーヒーを流し込むと舌を火傷した。馬鹿だ。

「行くよ」なんで手を出されることも慣れたはずなのに少しためらってから手を重ねた。あなたは私の気持ちがわかるようでふふっと笑ってみせる。

イルミネーションを横目で見ながら歩く私達は、他の誰よりも静かだけどそんな特別な日が毎年好きだった。

片手はコーヒー片手はあなたの手。雑貨屋さんでお揃いのキャンドルを選んで、消耗品の方がいいだなんて2人そろって言ったりなんかして。

あなたには寒がりだからいい匂いの入浴剤をあげる。

私には日常づかいできるようにといい匂いのハンドクリームをくれてありがとう。

いつもの忙しない日々とは裏腹に、ゆったりと流れていく時間。

今日12月25日が中々来なかったのはこの日の幸せの為だったのかと納得する。日々のストレスと上司の理不尽さにイライラしてたこともあなたと居たら忘れられる。

「もしかしてあんたって魔法使いかなんか?」

と、ぽろりと口から出た言葉に少し戸惑ってみせたあなたは

君専属の魔法使いだと言った。

何それ、変なの。

でもそれは心のどこかで待っていた言葉で。本当にあなたは私専属の魔法使いなんだと実感した。


 行きよりもっと強く握ってくっつく帰り道。名残惜しいけど、ぱっと解散するのが私たちのルール。


 家に帰って早速キャンドルをお風呂の中でつける。

この匂いってなんだろう、

“クリスマスローズの香り”

、、、か。そういえば最後にあなたから柄にもない花を渡された。

「はい、こんなものあげるのらしくないよね。」


 あなたの手からクリスマスローズ。


fin…


貴方の元にクリスマスローズが届きますように。

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