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指輪

「正解。指輪だよ。


最近、ご令嬢の間で指輪がお守りとして流行っているらしいんだ。


だからセウスにもあげたいなと思って。」


「へえええ、凄い綺麗だけど不思議な色。」


シルバーのリング台座に青色のような宝石。


青色にも見えるが不思議なことに金色にも見える。


まるで金色の宝石の中で青い色が動いているかのような。


「そうだろう?探すのが大変だったんだ。


セウスの金色の髪の毛と、青い瞳の色を表すのにぴったりの石だと思って。


それと僕の髪の毛と色が同じシルバーの台座にしたんだ。


この宝石は金色にも見えるから僕の瞳と同じ色だし、僕のことをセウスに思い出してもらうのにもいいかな?と思って。


どうかな?」


お兄様は上目遣いをしてジーっと見てきて、私の反応を窺ってくる。


私とお兄様の特徴を合わせた指輪。


嬉しくない訳がなかった。


「素敵!凄い嬉しい。お兄様ありがとう!


せっかくだから、お兄様。私にこの指輪をはめてくれない?


お母様が、指輪をお父様にはめてもらってるのを見て憧れだったの!」


そう私が伝えると、お兄様は「喜んで。」と言いながら微笑んで私の目の前で片膝をついた。


私が握っていた指輪をそっと取ってお兄様は言った。


「どの指がいい?サイズは調整できるからどの指でもいいよ。」


どの指につけてもらうかは、指輪を見た時から決まっている。


「左手の薬指がいい!」


昔、お母様が”大切な人にもらった指輪は薬指につけるのよ”って言っていたのを覚えていた。


だからこそ、大好きなお兄様にもらった指輪は左手の薬指につけたかった。


「・・・!? えっ! い、いいよ?」


お兄様は一瞬、躊躇ったが了承してくれた。


照れ笑いを浮かべながらお兄様が言った。


青い炎で分かりづらいが若干、顔が赤いようにも見える。


「で、では、はめさせていただきます。」


珍しく敬語で、そんなことを言われると緊張した。


お兄様の態度から、ん?私何か変なこと言ったかな?と思ったが、お母様もお父様に指輪をつけてもらう時こんな気持ちだったんだと思うと、自分も同じ気持ちを体験できて嬉しく思う。


ゆっくりと指輪が自分の指に通っていくのを見てドキドキする。


終着点である指の付け根で指輪が止まり、綺麗にはまった。


自分の指の上でキラキラと輝く宝石に、わぁと思わず声が出る。


「ほんっとうにありがとう!お兄様!一生大切にする!」


今日はなんて最高な日なんだろう。


お兄様の魔法も綺麗だったし、3日後にはお母様にも会えるし、指輪も素敵だし、幸せ。


「気に入ってもらえてよかった。


セウス、じゃあ時間も遅くなってきたからそろそろお開きにしようか。


この時間だと眠いはずなのに起きててくれて、ありがとう。」


お兄様は立ち上がり、帰る支度を始めた。


いつの間にか23時になっていた。

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