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2人だけの蝋燭パーティー

もうすぐ21時になる。


もしかして今日のお昼のことで気を悪くしていて、来てくれないのかな。


パーティーしたかったな。


なんで聞いちゃったんだろう、私ったら本当に馬鹿。


早く謝りたい。


そんな思いを抱えながら気が紛れるように自分の部屋にあるキッチンでお菓子を作っていた。


以前、お兄様が持ってきてくれたレシピ本に書いてあったマシュマロというお菓子。


オススメの食べ方として火で炙ったら美味しいと書いてあったから、蝋燭の火で炙ってお兄様と食べようと思って。


お兄様はもしかしたら来てくれないかもしれないけど。


「……。」


そう思うとなんであんな質問をしてしまったのか、後悔から涙が出そうになった。


その時だった。



”コンコンっ”



「!!! お兄様!?」


ガチャリと扉を開けると、いつもと変わらない笑みを浮かべたお兄様がいた。


謝らないと!と思ったが、両手に重そうな袋を持ったお兄様に気づく。


そのまま立たせるわけにいかず、とりあえず部屋に入ってもらうことにした。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「セウスごめんね、遅くなって。」


私の方が悪いことをしたはずなのに開口一番謝るお兄様は優しい。


「ううん、全然いいの。それよりお兄様、さっきはごめんなさい。


私、お兄様を悲しませるつもりで聞いたわけじゃないの。


ただ、お父様が私の誕生日パーティーで魔法を見せてくれたから、


蝋燭パーティーではお兄様が魔法を見せてくれるのかなと思って……。」


そう伝えると、お兄様はいつも以上に柔らかい笑みを浮かべた。


「ううん、気にしないでセウス。


セウスが優しい子なのは僕が一番分かってるんだから、そんなつもりじゃないことは分かってたよ。


だから謝らないで。その話はせっかくだから蝋燭の火を見ながら話そうか。」


お兄様は袋の中からたくさんの蝋燭を出してくれた。


色んな形や色の蝋燭があり、火を付ける前の今ですら微かに良い香りがする。


2人で机の上に蝋燭を並べてソファーに座った。


「そうだ、これをセウスと一緒に食べようと思って。」


そういってお兄様が出したのは私がさっき作っていたものと同じ、マシュマロだった。


考えていることが同じで嬉しくてついつい笑ってしまいそうになる。


「ありがとう、お兄様。実は私も用意してたの。自分で作ったものだから不恰好だけど。」


そういって私も作ったマシュマロをお兄様に渡す。


まさか被ると思っていなかったと動揺しているお兄様と、目があって思わず2人でも笑ってしまった。


「ふふふっ」


「ハハハハハッ」


一頻り笑い終わった後で、お皿にお兄様が持ってきてくれたマシュマロと私のマシュマロを並べた。


「じゃあセウス、蝋燭パーティーを始めよう。部屋の灯りを消してくれる?」


お兄様が横にいるから暗闇も怖くない。


「うん、分かった!」


私は指をパチンと鳴らし、部屋の灯りを全て消した。


部屋の灯りは部屋主の合図で消えるようになっている。


私の部屋は真っ暗になった。


怖くなってパニックにならないように自分に言い聞かせる。


ーーー大丈夫、お兄様が横にいる。大丈夫、大丈夫。


私が隣で怖がっているのを察したのか、お兄様は手を握ってくれた。


お兄様の手、温かい……。


暗い場所で1人じゃない、お兄様がいる。


そう思えたことで心がほっと落ち着いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「それじゃあセウス、蝋燭に火を付けるよ。パーティーの始まりだからね、見ていて。」


どうやって火を付けるんだろうと思っていると、手を繋いでない方のお兄様の指先から青い炎が出るのが見えた。


「綺麗....」


幻想的な青い炎に思わず言葉が漏れる。


私の反応を見て、お兄様はフっと笑うと青い炎を蝋燭に灯した。

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