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おもてなし


「この度はお招き頂きありがとうございます。工藤です」


父親に頭を下げられて、堪らず営業トークを開始してしまう。


「いえいえ!こちらこそわざわざお店まで来ていただき、ありがとうございます!」


「この子、昨日あなたからの手紙が届いて、どうしてもって聞かなくて・・・学校休ませて連れて来てしまいました。ご迷惑でしたか?」


そう言う母親がチラッと店内を見て、満席に近い状態を指して心配された。


「せっかくなので、食べて行かれませんか?色々サービスします!」


「そんな、声が大きいですよ。普通の客と同じようにしてください」


そんなことできるかっ!チラシをばら撒いて来てもらうより、何倍も何百倍も嬉しい。手紙が来てから2日経ってるから、すぐ来てくれたのが本当に嬉しかった。


「もうっ!パパとママばっかりずるいっ!今日は美兎にとって再会を果たした記念すべき日なのっ!つまり、美兎の日なのっ!美兎に喋らせてっ!」


ふんぞり返っている当の美兎ちゃんをよく見る。


ポニーテールに水色のペンタ丸のシュシュ。黒髪で目がパッチリしている。助けた時はぶっくりとしたほっぺが印象的だったのだが、今は肌の白い、すっきりとした鼻と可愛らしい唇が印象的だ。


クマのぬいぐるみ柄の黒色モコモコした服に下がミニスカート。たくさん動く子供にしては上が暑い格好かなと思う。


「おじさん、今日ね、勝負服なの!」


「可愛いね」


「ありがとう!美兎的におじさんの好感度ポイントプラス10点です!」


おや、格付けが始まりましたか。美兎ちゃんの採点は何点が合格なんだろう?


「マイナスにならないように頑張るよ」


「おじさん、女性慣れしてなさそうだから、甘めの採点にしてあげるっ!」


なんで女性慣れしてないってわかるんだろう。女の勘ってやつかな。あまり深く突っ込まないほうが良さそうだ。


「今日は来てくれてありがとう。手紙、嬉しかったよ」


「おじさん、速達で手紙くれなかったから、マイナス5点!」


「あちゃー、おじさんうっかりしてたわ。次から速達にするね」


「そんなめんどくさいことはもういいよ。おじさん、連絡先教えてっ!」


「5名様、ご来店でーす!」


「ああ!もうおじさんっ!美兎を無視したからマイナス50点!」


ひえー!いきなりマイナススタートだ。さあ、大事なお客さんをもてなそう。


「個室にするね。美兎ちゃんのために、とっておいたんだ」


「もう少しマシな嘘ついてくれる?予約してないから、そんなことあり得ないでしょ」


あら、ダメか。厳しい。


俺は美兎ちゃんにプラス評価をもらえるのだろうか。


頑張ってかっこいいおじさんになれるように頑張ろう。





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