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きっかけ


大学の時、バイトでアミューズメント施設のプール監視員をやっていて、欠伸を噛み殺しながらのんびりと時間を潰していた時だ。


ウォータースライダーの近くで遊んでいたソイツは、体よりも浮き輪のほうがでかかった。後から聞いたら5歳だっていうんだから当たり前だ。


ウォータースライダーっていうのは、傾斜が高くてスピードが出るやつほど、ゴール地点の水深を深くしないと底にぶつかって怪我をしてしまう。


なぜ、ソイツがそんなところに命綱の浮き輪ひとつで来たのかといえば・・・単純にウォータースライダーで滑りたかったんだろう。親が一緒に滑ればいいのに、弟と妹が一緒に来てその両親がつきっきりで相手をしているので、自然とひとりになる姿が目立っていた。


危ないな、と思い、ソイツより手前にいた親に声をかけに行ったところで、事件がおきる。


ウォータースライダーを滑り終わったひとりの子供が水中から出る時に、勢いよく浮き輪をひっくり返してしまったのだ。


ソイツは頭を水中につけているのに、足をバタバタともさせない。サイレント。だが、自力で状況を打開させられるとは思わなかった。


俺は迷わず飛び込んで、浮き輪ごとひっくり返してやる。


何が起こったのか、当人も、周りもわかっていなかったようだ。こどもは発信力無く静かに溺れることがあるから気をつけろと先輩に言われた通りになった。


水を吐いた腕の中のこいつを見て、父親のほうが慌てて飛び込んできた。


幸い、少し水を飲んだだけで済んだみたいだ。良かった。


「水の中、綺麗だね」


誰も助けなければ危なかったこいつはそう俺に笑いかけると、次の瞬間には父親の手の中にすっぽり。


「ごめんなさい。助けていただきありがとうございますっ!美兎みう、大丈夫か!?」


「パパ、だいじょーぶ?」


焦ってる父親を見て、自分のことよりも父親が心配になってしまった美兎ちゃん。


まさかこの子との出逢いが後々に続きがあるなんて、誰が思うだろうか?



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