力が欲しいいじめられっ子と、勇気を与える天使様
ガキ大将「のど渇いたな・・おい130円だせよ。」
いじめられっ子「え・・」
ガキ大将「早く出せよ!」
いじめられっ子「う、うん・・」
細かいのが無かったので200円を出した。
ガキ大将は200円を受け取るとジュースを買った。
いじめられっ子「あの、お釣りを・・」
ガキ大将「あ?俺がもらっといてやるよ。いいだろ?」
いじめられっ子「で、でも・・」
ガキ大将「うるせえよ!」
バンッ!
ガキ大将の裏拳が僕の頬に当たった。
痛い・・すごく痛い。
ガキ大将「お前は言われたことをしてればいいんだよ。金を出せと言われたら金を出す、OK?」
いじめられっ子「でも・・」
ガキ大将「ああ!?」
いじめられっ子「うん・・」
ガキ大将「辛気臭えやつ。まるで葬式だな。」
ガキ大将は、ジュースを持って去って行った。
いじめられっ子「はぁ~」
また僕のお金をとられた。殴られたし・・はぁ、辛い。
一度でいいからギャフンって言わせたい。
僕が嫌がってるってことをわからせたい。
でも・・力がないと・・何もできない・・力が欲しい・・
・・
・・・・
どんなに望んでも力は手に入らない。
神はいない。なぜなら僕を助けないから。
もし神がいても、僕を助けない神は邪神だ。
信仰されたいなら僕を助けろ。話はそれからだ!
占い師「ひまひまひーまーひーまー。ひーまーひーまーひーーーーーまーーーーー」
いじめられっ子「・・」
十字路の歩道に占い師っぽい女の人がいた。
机と椅子を設置して、机の上には水晶玉が置いてある。
占い師「占い・・する?」
いじめられっ子「いえ、遠慮します。」
占い師「まぁそう言わずに座って。願い事や悩みはない?」
いじめられっ子「金欠なので・・」
占い師「役に立たないと思ったらただでいいわ。役に立ったら出世払いね。」
占いって、役に立つかその場でわかるものなの?
でも占い師さんが綺麗な人だったから占ってもらうことにした。
占い師「・・ほっぺた、少し赤いわね。どこかにぶつかった?それとも・・誰かにやられちゃった?」
いじめられっ子「あ、いえ・・えっと・・」
占い師さんの手が僕の頬に添えられる。
綺麗な手・・ドキドキする。
さっき殴られた痕がまだ残ってたんだ・・でも、殴られたなんて言えない・・
占い師「あなたは考えすぎちゃうのね。それで言いたいことが言えなくなってる。」
占い師「殴られてもあまり騒ぎにしたくない。あなたがきっぱり拒否していないから。」
占い師「もっと自分が強ければ拒否できるのに・・それをしていないことを非だと思っている。」
占い師「公にして自分の非も知られちゃうのが怖いのね。」
え・・
いじめられっ子「・・いけませんか?」
占い師「いいえ。論理的な思考でわかりやすい。でも肝心な解決する力がないから現状維持か悪化しかしない。」
占い師「力が欲しい?」
いじめられっ子「は、はい。」
占い師「なら100万円♪」
やっぱり来た!壺とかお守りとか売りつけられるんだ!
いじめられっ子「・・もってないです。」
占い師「そう?なら力はあげられないわね。」
いじめられっ子「100万円で力を買えば解決するんですか?」
占い師「今の問題は解決するわ。でも・・あなたは横暴な人間になってみんなから嫌われる。」
いじめられっ子「え・・?」
占い師「そんなあなたにお勧めの一品。勇気のボタン。」
占い師さんが出したのは消しゴムサイズのプラスチック。そこにボタンがついている。
占い師「あなたがピンチになった時に押すと勇気がみなぎるわ。」
いじめられっ子「・・はぁ・・ちなみにいくらですか?」
占い師「100円♪」
値段が1万分の1になったよ。
安いけどジュース代の他にもお菓子代とかゲーセン代とかガキ大将にとられてるからなぁ・・
100円でも出費は惜しみたい。
占い師「出世払いでいいわよ。」
出世払いって、出世・・まぁお金に余裕が出来たら払って・・ていう話だよね?
100円のために?いいのかなそんなの・・忘れちゃいそう。
冗談のつもりなのかな?
いじめられっ子「じゃあ・・出世払いで。」
占い師「ふふ、きっと役に立つわ。」
そんなわけで勇気のボタンを買った。
ピンチになった時に押すと勇気が出るってことだっけ?家に帰って押したけど何も起こらなかった。
・・
・・・・
次の日になり、勇気のボタンを持って登校する。
とりあえずやばいと思ったら押せばいいんだよな。
ドンッ。
後ろから突き飛ばされた。
ガキ大将「とろとろ歩くな。おらどけよ。」
きききき来た大ピンチ!
いつもなら大人しくどくけど・・勇気プリーズ!
僕は勇気のボタンを押した。
いじめられっ子「お前がどけよ!」
僕はグーでガキ大将を殴った。
ガキ大将「・・は?」
いじめられっ子「今のは昨日お前に裏拳もらった分だ!」
ガキ大将「はっ、全然痛くねえし。なんだお前、いっちょ前に逆らう気か?」
いじめられっ子「チキンじゃなけりゃかかって来いや!負けた方がどくんだぞ!」
ガキ大将「いいぜ!お前に立場ってもんを教えてやるよ!」
場所は校門。
周りの生徒たちが目を丸くして僕たちの殴り合いを見ている。
ガキ大将「まったく・・効かねえよ!!!」
いじめられっ子「ぐぶっ・・!?」
アゴに強力なのをもらい僕は地面に倒れた。
ガキ大将「どけ。」
ガキ大将は倒れた僕を足でどかす。
ガキ大将「これに懲りたらもう逆らうなよ。」
いじめられっ子「うっせえお前に殴られたりバカにされたりお金とられる日々はもう終わりじゃ!」
いじめられっ子「今まで100回以上不戦敗だったんだ。今更1,2回負けたところでくじけんわ!」
ガキ大将「なんだよ気持ち悪い・・」
ガキ大将は舌打ちして校舎に入っていった。
僕はというと・・痛くて起き上がれなかった。
ふと疑問に思ったんだけど、これ・・無謀ボタンじゃない?
・・
・・・・
今日の体育はサッカー。
運動神経0の僕はだらだらしてよっと。
どうせガキ大将とか一部のやつががんばるだけ。
というかまだ体が痛い・・
ガキ大将「ぼーっとしてんじゃねーぞ!」
いじめられっ子「え?・・え!?」
ガキ大将が蹴ったボールが僕に直撃した。
ちょ、ゴールと全然違う方向だよ・・無謀ぼた・・勇気ボタンさんお願いします。
ガキ大将「そんな調子じゃ成績1だな。雑魚が!」
て、テストは優秀だから5段階評価で3はもらえてる・・
僕は勇気ボタンを押した。
イケメン「ボールを人にぶつけるのはよくないよ。」
ガキ大将「うっせえ文句があるなら俺からボールを奪えばいいだろ!」
いじめられっ子「じゃあとってやるよ!」
スライディングでボールを奪いに行く。
が、さらっと避けられた。
ガキ大将「バーカ。体育の授業でスライディングとか普通しねえよ。」
いじめられっ子「どんな手を使ってもお前からボールをとるからな!ずっとお前をマークしてやる!」
ガキ大将「お前にゃ無理だ。」
ガキ大将が走り出す・・が、なぜかボールは消えていた。
イケメン「マジごめん。」
ボールはイケメンが奪っていた。
ガキ大将「ざっけんな!!!」
ガキ大将がイケメンを追う。
いじめられっ子「お前は僕にマークされろ!」
僕もガキ大将を追った。
マークって言うよりは、ガキ大将の後ろを走っているだけっぽくなってしまったが。
それでもパスしづらそうだったしちょっとは意味があった・・と思いたい。しかし・・
きつい・・体力もたない。
ガキ大将「もうへばったのか?雑魚すぎぃ。」
もっと体力が欲しいぃ。
結局少し邪魔しただけみたいな感じで授業が終わってしまった。
イケメン「いい動きだったぜ。ナイスファイト!」
イケメンがいい笑顔で褒めてくれた。
僕もイケメンになりたい。
ガキ大将「(おかしい、まるで別人だ・・)」
・・
・・・・
放課後になり家路を急ぐ。
体痛い(><)今日は無茶苦茶がんばったよ。
勇気ボタンのせいでね!
でも・・僕があんな強気になれたのは初めてだよ。
これがあれば僕は変われる気がする。
いじめられっ子「これさえあれば、もうガキ大将を恐れる必要はないんだ。」
ガキ大将「ほほう、それがマジックのタネということか?」
いじめられっ子「え!?」
ガキ大将「後ろに目がない奴は不便だな。どうも怪しいと思ったら、そんなものを使ってたのか。」
やば・・勇気ボタンさんお願いします!
が、ボタンを押す前に取られた!
ガキ大将「なんだこれ?四角いケースにボタンがついただけ・・?」
いじめられっ子「あ・・か、返して・・」
ガキ大将「・・よくわからんが、いつものままってことは、これが原因で間違いないな。」
ガキ大将「オラッ!!」
いじめられっ子「あ!!!」
ガキ大将は、川に向けて勇気ボタンを投げ飛ばした。
勇気ボタンは川に落ちて流されていった。
いじめられっ子「ひ、ひどいよ。あれがないと僕は・・僕は・・」
ガキ大将「男なら自分の力で何とかしてみろよ。道具に頼った力が本当の力だと思うな!」
いじめられっ子「でも・・」
ガキ大将「言いたいことがあればお前の意思で、お前の口で言えよ。今日のお前は今までで一番情けなかったぞ!」
いじめられっ子「・・」
ガキ大将「だんまりか?それが本当のお前なんだな。つまんねぇ。」
何も言えずうつむく僕を置いて、ガキ大将は歩き出した。
ガキ大将「今日は・・正直ちょっと楽しかったんだが、マジで残念だ。」
そんなこと言ったって、言いたくても言えないんだ。
頭が真っ白になって、体がすくんで、声が出せないんだよ。
僕だって、こんなのがいいとは思ってない、変えたいと思ってるよ。
でも・・体が動かないんだ。これが僕なんだ。
力が、力さえあれば・・
気が付くと、ガキ大将は見えなくなっていた。
考え事しすぎたかな・・というか、目に映ると辛いからこの方がいいや。
僕も歩き出した。
はぁ、占い師さんにも会いづらい。
勇気ボタンとか技術的にどうやってんだろうな。
100円の出世払いって言ってくれたけど、実際はもっと高い物だろうなぁ。
川に流されたなんてバレたらきっと幻滅される・・はぁ、なんでこんなことに・・
?「ふざけたことぬかすなクソガキがあ!!!」
ごごごごめんなさい!
思わず心の中で謝ってしまったけど、僕・・じゃないよね?
駆け足で声の方へ向かった。
・・
・・・・
向かった先・・そこにはガキ大将と、ガキ大将より背の高いスーツの男の人がいた。
さっきの怒鳴り声はスーツの男だ。
スーツの男「オレの車をこんなにしやがって!覚悟はできてるんだろうな!?」
ガキ大将「い、いえだから違いますって。俺は通りがかっただけです。」
スーツの男「は~?ちょっとそこの自販機に行ってた間に車が傷つけられてたんだぞ!」
スーツの男「お前くらいしかここを通ってないだろうが!!!」
ガキ大将「知りませんよ。俺はやってませんって。」
うわぁすごい事に巻き込まれてる。
僕にはどうすることもできないし、回り道するのも面倒だし終わるまで待とうかな。
はぁ~、平和だ・・青い空を見るとちょっと落ち着く。
・・このままでいいんだろうか?
せめて通報くらいした方がいいんじゃないか?
それくらいなら僕だって・・でも通報ってなんか抵抗あるよね。
とりあえず携帯を出して、スリープ解除しよう。通報するかはまだ迷うけど。
いじめられっ子「え?」
携帯の画面に、勇気ボタンが映っていた。
これは・・押せということか!
僕は画面に映る勇気ボタンを押した・・が、勇気・・でないよ?
携帯の画面には、”(^O^)/がんばれ”と表示されていた。
え?え?それだけ?
勇気が出て全部解決!これからは携帯で勇気ボタンを押そうね♪じゃないの?
また携帯の画面が変わった。
「あなたはとても真面目な人。知らないこと、未知のことには強く躊躇する。」
「勇気を勉強しないといけなかった。」
「でも今日あなたは勇気の手本を体験したわ。それをマネすればいいの。」
あれは勇気というかただの乱暴者な気もするけど。
それにあんな怖そうな人に通じるの・・?
僕は・・
スーツの男「オレを舐めてんのか?お前しかやりそうなやつはいないんだよ!」
スーツの男「あんまふざけたマネぬかすと、お前んちが大変なことになるかもなあ。」
ガキ大将「ちょ!」
スーツの男「制服だしこの辺に住んでんだろ?”組”の情報網があればすぐわかるからな。」
ガキ大将「勘弁してくださいよ。本当に俺じゃないんです。」
スーツの男「お前以外にはいないんだよ・・おう事務所に来いや。そこでゆっくり話聞くぞ。」
ガキ大将「やですよ。こんな小さい傷くらい直せばいいじゃないですか。」
スーツの男「高級車の修理費がいくらかかるかわかってんのか?小さな傷でも100万はかかるぞ。」
ガキ大将「100万・・」
スーツの男「お前がどれだけ重い罪を犯したかわかったか?ああ?」
ガキ大将「お、俺じゃないですって!」
スーツの男「詳しい話は事務所で聞こうか。おう車乗れや。」
いじめられっ子「待て!」
スーツの男「あ?誰だお前?」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
いじめられっ子「友達が誘拐されそうになってたら助けるに決まってるだろ!」
スーツの男「はあ?こいつがオレの車に傷つけたんだよ。お友達ならキミが肩代わりしてくれるのかな?」
ガキ大将「いじめられっ子は関係ないだろ!・・お前なにしに来たんだよ。早く帰れ。」
いじめられっ子「おうヤクザのにーさんや、賭けでもしないか?」
スーツの男「賭け?」
いじめられっ子「殴り合って負けた側が修理費を支払う。」
ガキ大将「おい!お前みたいなモヤシがガチな人に勝てるわけないだろ!」
スーツの男「へっ、その話乗った・・ぜ!」
スーツの男がいきなり殴りかかって来た。
手慣れた一撃が僕の胸に衝撃を与え、一瞬息が止まった気がした。
いじめられっ子「・・いてえじゃねえか!」
僕はこぶしを作り、大拳頭を意識してスーツの男を殴る。
スーツの男「全然効かねえぞ。こりゃ楽に100万もらえそうだな。」
やっぱ火力も耐久力も敵わないか・・
スーツの男「ははは、今なら200万で許してやってもいいぞ。怪我するの嫌だろう?」
いじめられっ子「勝負は最後までわからんだろうが!負けるのが怖いのか?」
スーツの男「お前バカだよ・・いいぜ、徹底的にやってやるよ。」
スーツの男が二撃目を放つ。
後は回避に専念すれば・・ぐはっ。
来るのがわかっていても、避けれるかは別問題・・顔に一撃もらってしまった。
スーツの男「ガキが粋がるんじゃねえよ!こっちは舐められたら生きていけない商売やってんだぞ!」
いじめられっ子「命懸けて生きてないやつはいねえよ!お前の生きてる世界はどんだけぬるいんだ!」
一撃目だけで後は回避する予定だったが・・つい反撃に出てしまった。
が、反撃はかわされ逆に男の肘を受けてしまった。
いいいい痛いぃぃぃ。肘はいいの?ありなの?
スーツの男「よわっ。口だけの雑魚じゃねえか・・さっさと負けてしまえ!」
重いのが来る!
とっさにガードした。
バキッ。
いじめられっ子「え・・?」
ガキ大将が横からスーツの男を殴り飛ばしていた。
ガキ大将「俺を無視してんじゃねーよ!俺だって当事者なんだから混ぜてもらうぜ!」
スーツの男「ガキが増えたところで勝てねえよ!」
スーツの男がガキ大将に重い一撃をいれる。
すかさずガキ大将も反撃する。
僕は・・ちょっと蚊帳の外かな?
う~~う~~~~う~~う~~~~。
スーツの男「警察!?」
いじめられっ子「住宅街で大人と子供が殴り合いしてたら通報もされるわな。続きは警察署でやろうぜ。」
スーツの男「冗談じゃない!くそ、覚えてやがれ!」
スーツの男は車に乗り込んだ。
いじめられっ子「修理費はいいのか?」
スーツの男「・・ちっ、保険を使う。」
いじめられっ子「保険あるなら最初から使ってよ!」
スーツの男「ガキにはわからんかもしれないが、保険使うと保険料が高くなるんだよ!できれば使いたくねーんだよ!」
へー、知らなかった。
スーツの男は急いで車を走らせ逃げていった。
いじめられっ子「修理費は自分で払うそうだし賭けは向こうが逃げたからこっちの勝ち。もう文句は言わせない。」
ガキ大将「警察が来るのを見越して勝負を挑んだのか?」
いじめられっ子「あーいや・・実は自分で通報しといたの。通報してもらえなかったら勝ち目ないもん。」
ガキ大将「無茶しやがって・・勇気、出せたな。サンキュ。」
いじめられっ子「あはは。」
なんて言ったらいいかわからないや。
もー限界。家に帰ってゆっくり寝たい。
・・
・・・・
警察さんには怒られました。
危ない人に喧嘩売っちゃダメだって。
親にも連絡が行って、まぁ当然のように怒られた。
でもその日から、何かが少し変わった気がする。
十字路へ行ったけど、占い師さんはいなかった。
携帯の画面にも、もう勇気のボタンが表示されることもなかった。
数年後・・
久しぶりに帰省したから近所を散歩することにした。
そしたら・・十字路に・・あの占い師さんがいた。
占い師「大きくなったわね。」
いじめられっ子「え?え?」
占い師さんは・・数年前と、まったく変わってなかった。
そんなことがありえるのだろうか?
占い師「じゃあ数年前の料金を支払ってもらうわ。」
いじめられっ子「え?」
占い師「勇気のボタンの代金、100円ね。それとも占いは役に立たなかった?」
いじめられっ子「いやそんな、役に立ちました。というか・・人生が変わりました。」
占い師「そう。じゃあ100円。」
そこまでこだわる金額とは思えないけど・・僕は100円を支払った。
いじめられっ子「あの、100円でいいんですか?もっと出してもいいくらいですけど・・」
占い師「100円という話だったんだから、100円でいいわよ。」
占い師「・・さて、これでさようならね。」
いじめられっ子「さようならって、違うとこで占い師をやるんですか?」
占い師「今日はあなたから料金を徴収するためにいただけだから。」
それだけのためにいた?
なんでそこまで・・
いじめられっ子「・・僕を助けてくれたのは、偶然だったんですか?」
もしかして、それだけのために数年前、あの日あの時ここにいた・・?
数年前からまったく変わっていない占い師さんを見ると、そんな気がして来る。
占い師「あなたが言ったからよ。信仰されたいなら僕を助けろって・・ね。」
え・・?いや言ったというか思ったというか、なんとなく覚えがある。
神様がいるなら僕を助けろって。
僕を助けない神様は邪神だって。
信仰してもらいたいなら、僕を助けろって・・でもそれって・・
いじめられっ子「神・・様・・?」
占い師「違うわ。でも、たまに代理みたいなことはやるわね。」
占い師さんは一体・・
占い師「じゃあね。」
僕は何も言えなかった。
ただ涙を流した。
END.