第九話 ヒュドラ退治へ
「ギミル。ヒュドラを見つけました。左奥にいます」
左奥のアケロンの川の近くの山と山の間にヒュドラの顔がいくつか見えた。ゆっくりと顔を動かして周りの様子を伺っているみたいだ。
「俺も見つけた。あれをどうやって引き付ければいい?」
「はじめに僕がワイバーンに乗ってこちら側におびき寄せます。それで僕が照明弾で合図を送ったと同時にヒュドラを囲んで目の前のあのくぼみにヒュドラをとどめておいてください。その後は指示どうりにお願いします。それじゃ、また後で」
僕はワイバーンに乗って腹をかかとで蹴る。するとワイバーンが羽を下に羽ばたかせ飛び立つ。ジェットコースターの落ちる時に感じるふわっとする感じがしる。僕はあんまり好きではない。内臓がふわっとして気持ち悪いからだ。
FN P90と手榴弾をバックから取り出す。ワイバーンがスピードを上げた。前から吹いてくる風のせいで体が後ろに持っていかれて落ちそうだ。僕は体を前にかがめヒュドラの手綱にしがみつく。しばらく飛んでいると、ヒュドラの姿が見えて来た。ウネウネとした首が暗闇の中をゆっくりと動いていて緑色の目が見えた。怖いな〜。学校の先生に怒られている時と同じくらい怖い.............そんなに怖くはないか。
ワイバーンについた手綱を手前に引いて動きを止める。ワイバーン羽を上下に動かしが空中で止まる。僕は手榴弾の安全ピンを抜いてヒュドラに向かって投げる。5秒後くらいに爆発が少し下で起こった。その少し後に爆発音が聞こえて来た。その瞬間に緑色に光っている球体が僕の方を一斉の向いた。全てのヒュドラの頭が僕を見ていることがわかる。とても不気味でひんやりとした空間だ。無数のエイリアンに見られているみたいだ。
「おら、ヒュドラ!こっちこいや!」
FN P90をヒュドラに向かって打ち込む。空薬莢が時間が止まったみたいにゆっくりと下に落ちていく。ヒュドラの目がいくつか見えなくなったが他の目が左右に動きながら僕の方に近づいて来た。僕を噛み付こうとしているのだろう。白いものがいくつか見える。
ワイバーンが右側に急降下する。ものすごいGが僕の体にかかって来た。息がうまくできない。
「グオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!」
ヒュドラが叫ぶ声が聞こえる。僕はその方向に向かってFN P90を打つ。ザバーン!と何か大きなものが水に入る音が聞こえて来た。その瞬間に海ぼたるが光ったみたいに薄水色な光が僕らとヒュドラを照らす。川の中で漂っている魂が光っているのだろう。ヒュドラが川の中に入っている。ヒュドラの体が魂の発光おかげではっきりと見える。とてつもなく大きい。5階建のビルくらいある。
ザバザバと音を立てながらヒュドラが僕の後をついてくる。僕は体を後ろにひねりながらFN P90を打ちまくる。ヒュドラが猛毒を飛ばしてきた。グツグツと音を立てた紫色の液体がヒュドラの口から飛んできた。手榴弾をその毒の中に投げ込んで毒を爆風で吹き飛ばす。
ギミルたちのところまで結構距離がある。僕は死なずにあそこまで行けるだろうか。
〜〜〜
「アナ・キルアが学校にいるはずだ!探し出せ!」
前に戦ったボスの声が廊下の奥から聞こえてきた。こんなにあっさりとバレるとは思わなかった。
オルからもらった?奪ったの方が正しいな。私はあの後すぐに神託前に飛んでコテージから武器を持って学校近くの食堂から中に入ったのだがなぜかすぐにバレた。多分ドライアドにバレたのだろう。
「いたぞ!こっちだ!」
階段の上に生徒が何人か見える。まずいな逃げ場がない。私は風邪で彼らの後ろのガラスを割る。ガシャン!と音がして彼らに向かってガラスの破片がかかっていく。その隙にダダダダダ!と階段を急いで降りる。追ってくる様子はないな。
「下だーーーーーー!そっちに行ったぞ!」
さっきの子の声が聞こえる。魔法紙が欲しい!
階段を降りて後右に曲がって違う階段から職員室を目指す。あそこになら魔法紙があるはずだ。他の先生に捕まるかもしれないリスクはあるが一刻も早く魔法紙を手に入れたい。
「いたぞ!」
また見つかった。このままじゃ白猫に会うこともできないな。白猫に聞きたいことがあるのに。私は槍に風をまとわせて彼らの方に槍投げのように投げつける。彼らの目の前に刺さった途端、槍にまとわり付けておいた風が彼らを吹き飛ばた。
私は彼らの間を走り抜けて階段を上がっていく。どうする。武器が槍しかないし、能力を使いすぎたかもしれない。ちょっと気持ちが悪い。今、気がついたが少し学校の中が静かすぎる気がする。今日は普通に授業があったはずだ。ないとしてもこんなにこんなに生徒が少ない日はないはずだ。どこかに任務に行っているのかな。
「構え!」
最悪だ。もう職員室にはいけなそうだ。職員室前に盾を構えた生徒とオスカーがいた。あー。ついてない。きなこ棒を10本買ってその中に当たりが一本もなかったくらいついていない。オスカーに勝つことは絶対にできない。
「アナ!降参しろ!」
オスカーが銃をこちらに向けながら叫んでいる。他の生徒も私に向けてFN P90を向けてきている。後ろに下がって私は階段の近くの物陰に身を隠す。
「嫌だね。もしも降参して欲しいのなら白猫と話をさせて欲しい。そしたら降伏してもいいよ」
彼らにちゃんと聞こえるようにはっきりと話す。どうでる?こんなに簡単な要求はないと思う。もう少し難しい要求をしればよかった。高いスイーツでも頼めばよかった。
「それは無理だ。白猫は今学校にいない」
そうなのか。だが白猫が留守にすることなんて聞いたことがない。
「降参しろ!もう逃げはないだろう」
階段の下から生徒がジリジリと近寄ってくる。囲まれた。このまま動かないのはまずいな。
槍を地面に突き刺してその穴に向かって風を高速で送り込む。廊下に少しひびが走った。あと少しで下の階に........。
「そんなに自由にやらせるわけないだろう」
目の前にオスカーが現れた。いつきたのだろうか。人間の運動神経ではできない行動だ。どうなっている!?
「あ!」
体の中を電気が走った。オスカーの仕業だろう。手のひらの間に私の首がある。電気を通されたみたいだ。




