第八話 作戦会議
「おはようございます。すみません少し遅れてしまって」
「やっと来たか。それでは始めよう」
少し大きめのテントに入ると。アウスとギミルがいた。サイクロプスはいないみたいだ。
「サイクロプスは?」
「あいつらに作戦を理解できないからいいんだよ」
アウルが机の上に大きな地形図を広げた。その上に行くつかのチェスの駒のようなものがばらまかれる。黒色、緑、赤、色は様々だ。種族によって違うのだろうか。
「まず初めに今残っている数はどれくらいですか?」
「ざっと300ってところだ。ヒュドラ退治には大体1000以上の軍勢が必要だからハデス様からの援軍待ちってところだ」
「どのくらいできますか?」
「あと5日ほどかかりそうだ」
それじゃダメだ。あと2日以内に倒さなければならないのに。どうやって説明しよう。「あと2日以内に倒さないといけないんですー」って言っても、よくよく考えると僕いなくても大丈夫って言いそうだしなー。だけど要は300人で倒せればいいわけだ。それなら1つ策がある。もしもあったらの話だが。
「すみません。300の軍勢でヒュドラ討伐に向かいましょう」
アウル、ギミルの二人ともが僕の方を見た。めちゃくちゃ驚いている。それはそうか基本を無視して言っているんだから。だけど僕はこれが一番ベストだと思う。まあ500人の方がいいと思うが別に変わらないと思う。めちゃくちゃハードだが。
「それはふざけて言ってるのか?それとも大真面目?」
ギミルが尋ねて来た。
「結構真面目です」
意識して真剣な顔を作って返答する。さて彼らを納得させられるだろうか。
「僕がここに来た時に空から見た戦場の様子だと伝達がうまくいっていない様子でした。それに1000の軍勢でごり押しするより300の軍でしっかりと連携を取った方がいいんですよ。ヒュドラみたいな死角ななさそうな奴には特にです」
「それはそうかもしれないが、死角ないからこそ多勢で攻めるもんじゃないのか?」
「それは違いますよ。ヒュドラに知性はありません。そう考えるとただの動物です。たった一点に全てのヒュドラを集中させればいいんですよ。そうすれば死角が生まれます。特に後ろ側とか」
アウルは納得してなさそうだ。難しそうな顔をしている。理解できていなそうだな。
「だがそうなると、その一点に当たる兵士は必ず死ぬことになるよな。猛毒を食らうんだから」
ギミルが少し怒り気味に聞いて来た。それを聞いたアウルも少しキレそうになっている。
「それは大丈夫です。実験もしておいたので」
僕は一回テントの外に出て立てかけておいた木の板をテントの中に運ぶ。そして救えの上に置いてかれらに見せる。
「なんだこれは?」
「それじゃあ、実験の結果です。アウル。これに魔法を当ててくれないか?」
僕は机の上に置いて置いた木の板の後ろにつけて置いた取っ手を握ってアウルの方に向ける。少し戸惑っていたがアウルが僕に向けて左手を向けて来た。そしてアウルの手から鋭い氷の礫がいくつも飛び出して僕の持っている板にぶつかる。ガガガガガ!と板にぶつかって不規則な音が聞こえる。だが僕の持っている板には傷一つついてはいない。
アウルが驚いてもう一度打って来た。もう一度僕はそれを急いで防ぐ。びっくりした〜。
「打つならいってくださいよ!」
「す...すまん!だがそれなんで壊れないんだ?ただの木だよな」
「そうですよ。まあこれも壊れでも壊れませんよ」
僕は木を椅子に立てかけて日本刀を右手に構える。そして左脇に日本刀を添えて横に大きくなぎ払って木を切ろうとするが木はキレずに僕の日本刀を受け止めている。
「どうなっているんんだ?」
僕は木を裏返しにして彼らに見えるようにする。
「僕がけが人に使った魔術です。”現状維持”魔術です。物体、生物の状態を時間は止めずにそのままにするという魔術です。これのおかげでこの中心で光っている魔術紙をつけた時からこの物体はこの魔術紙を破壊されるか3時間経つまで絶対に壊れません。だけど」
僕は後ろについていた魔術紙を剥がす。するときの板が見るも無残に粉々になった。
「魔術を使っている間に受けた力はそのままこの板にとどまるので剥がす時は要注意です」
2人の目が少し光っているように見える。希望を持った目と言うべきか、だが喜んでいるように見える。
「これでその”一点”を担う兵士の命は保証できます」
「確かにこれでヒュドラの毒は防げるかもしれないだが......」
「絶対に防げます!」
今は彼らに疑問を持たせてはならない。上に立つものの疑問は下に伝染する。そして士気が下がってしまう。それだけは絶対に避けなければならない。300。たったこれだけ兵力であの化け物にこれから僕らは倒しに行く。なら少しでもその確立を上げておくべきだ。だから僕らは兵士の前でははっきりと自信を持って彼らに伝えなければならない。僕の言う下のものはアウルとギミルだ。実際は僕なんかよりも上のものだがこの作戦は僕がいて成り立つものでもある。
そして僕はもう一度口を開く。これさえあれば僕の作戦は完成する。
「石灰岩って冥界にありますか?」




