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ある日、僕は神様の子供になりました。  作者: tomo
黄金のリンゴ
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第五話 決闘

「君はなぜ彼女を抱えてきたんだ?」

「それはその......倒れてたんで」                 

「それじゃあなんで君は彼女の手足を拘束していたんだ?」

「それはその.......色々ありまして.....」


 あーあ。やっちまったー。やっぱりあの運び方はまずかった。


 今、僕は尋問されております。右から腰に剣を携えたいかにも強そうな男のダークエルフ、髭を生やした筋肉マッチョのゴブリン、肩に棍棒を担いでいるサイクロプス。そんで僕は手足に錠をかけられ後ろの岩に固定されている。ベースキャンプの目の前で左奥から腹に毒矢を打たれた。そんで眠って、起きたらこんな状態だった。どのくらい日が過ぎてしまったのかもわからない。人間界と冥界に時差ってあるのだろうか。


「もういいじゃないか。彼が我々の仲間を救ってくれたのは確かだろう?少なくとも敵ではない」

「救ってなどはいない!あいつは我々の同志の時を止めている。意識はあるが治療しても一向に傷がふさがらないではないか!」


 なるほど、だから僕の言っていることを信じてくれないのか。魔法紙を剥がせば済む話なのに。ん?ていうことはまだ3時間も経っていないな。あの魔術の使用可能時間は3時間だ。まだ1日も経っていないのか。


「さっきから言っているんですけど、時は止めていませんし、僕の使ったのは魔術です。彼らの中心についている光っている紙をとって治療すれば傷は治りますよ....?」

「黙れ!神の子よ。我々は貴様らに幾度もなく同志を葬られてきた。貴様らの言葉を信頼することはできん!」


 男のダークエルフが僕の喉に剣の刃を添える、目には怒りが写っている。怒りしかない。僕に対してそれ以外の感情がない。その理由は僕ら神子のなら全員知っている。僕ら神の子は確かにダークエルフを殺していたからだ。正確には僕らの30年ほど前の神の子だが。理由は彼らが魔法を使うからだ。

 

 それに対して僕は何も言い返せない。言い返す資格すらない。


「落ち着け。アウル。彼はハデス様が我々の送ってきた人間ということを忘れるな」


 彼の名前はアウルいうらしい。マッチョゴブリンがアウルの肩をたたく。アウルが視線をゴブリンの方に移す。僕の喉に剣を押し付けたまま。少し血が垂れているみたいだ。僕の肌に金属が混ざってくる感覚がある。おそらく剣で肌が切られたと同時に肌が剣を巻き込みながら再生しているみたいだ。


「黙れ!ギミル!お前も同じだろうが!」

「しかしそれは彼の世代ではない。だから私は彼を恨むことはできない」


 なんかゴブリンの方がダークエルフより男前だな。


「しかし、もしもこの子がその世代だったら。今すぐにも首をへし折っているよ」


 ギミルというのかこのマッチョゴブリンは。両手で拳を作って指を鳴らした。ボキボキボキ!ではなくゴキゴキゴキ!って感じだ。触られたらすぐに首がもげてしまいそうだ。マジで怖い。ちびってしまいそうだ。


「ウオオオォォォォォォ!」


 サイクロプスが地面に棍棒を叩きつけた。砂ぼこりと小石が飛び、サイクロプスの目の前にクレーターができた。やはりサイクロプスの力は恐ろしい。しかしこんな攻撃にも耐えれるヒュドラにも驚きだ。多分怒っている気がする。間違えた。確実に怒っているな。


「落ち着け。サイクロプス」


 あ。彼には名前がないんだ。なんかかわいそうだな。


 なんでハデスは僕をここに送ってきたのだろうか。おかしいだろ。僕にここをまとめる力はない。信頼すらされていないのに。それにゴブリン、サイクロプス、ダークエルフは特に神の子に対して恨みが強い種族たちではないか!


「おい、お前。名前はなんという」

「成瀬港です」

「では港。貴様は何の神の子だ」

「オーディンです」


 彼らの顔色が突然変わった。なんだ?何かあったのか?


「緊急の伝達です!ヒュドラがアケロンの川から市街地に移動を始めました!あと2日ほどで市街地に着くと思われます!」


 突然、装備を完璧に揃えたダークエルフが突然現れた。


「何!?どうする?」

「ヒュドラを止める」

「しかし今の軍勢で...」

「考えるのは後だ。今すぐに移動しよう。二人ともそれでいいか?」

「ああ」

「うう」


 アウルがやってきたダークエルフの兵士とともにどこかに飛んだ。そしてサイクロプスも僕に背を向けて歩き出した。サイクロプスは言葉は理解できるみたいだ。ならなぜ喋れないんだろう。

 

「さて、オーディンの子よ。どうするかね。一応今から錠を外す。君には今二つ選択肢がある。人間界に帰るか、ここで死ぬかだ」


 ギミルが僕の錠を外した。ガシャンと錠が音を立てる。手足が自由になるっていいものですね。僕はゆっくりと体を起こす。ギミルの体は大きいな。僕の1.5倍くらいある。そしてマッチョだ。ボス以上だな。


「あの、僕が選択したい選択肢がないんですけど」

「この二つ以外にはない。ならどちらを選ぶ?」

「そんじゃあどっちも選びません。僕は嫌かもしれませんがあなたがたに協力します。それがハデス様に命令されたことだからです。僕にもあなたがたみたいに守りたいことが山ほどあるんです。山ほどではないな。小石くらい。でも守りたいものです。そのためにヒュドラを倒すのに協力させてください。邪魔はしません」


 僕はギミルに向かって頭をさげる。早く。髪の毛が僕のおでこに鞭のように当たった。ちょっと痛かった。


「いいだろう。ならば私を倒してみせろ。それからだ」


 ギミルが腰の短刀を抜いた。そして盾を左手につける。


「待ってください!なんで僕があなたと戦わなければ.....」


 ギミルが僕の顔めがけて短刀を左下から右上に向けて切り上げた。僕はそれを体をそらして寸土のところでかわす。前髪が少し切れた。


「待って待て待て!僕は武器を持ってはいない!」

「戦場に待ったはない!」


 ギミルが僕に向かって走り出してきた。速い!僕は右側に飛ぶ。そして地面で転がる。そして骸骨を5体呼び出す。


「僕の装備一式探してこい。それとその剣貸せ!」


 1体の骸骨が僕に向かって短刀を投げてどこかに走り出した。僕はギミルに向かって剣を向ける。西洋の両刃の剣か。使いこなせるか心配だ。


「私に勝てれ、お前の技量は認めよう。しかしもしも勝てないのであれば帰れ。貴様のような子供に上には立たれたくはない」


 これはチャンスかもしれない。もしもここで勝てれば僕は彼1人だが認めてもらえる。なら戦おう。それが僕の今すべきことだ。


 僕はギミルに向かって走りだす。勝てるかはわからないがやるしかない。

 


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