第一話 遭難、そして襲撃。
海の波に流された結果。僕はとある岩場に流されついた。普通は浜辺につくものだと思っていたが思うようには行かなないみたいだ。僕はその岩場を海に沿って左側に歩いている。僕が流されついたのはニューファンドランド島というアメリカの近くの島だ。この崖を見て情報を取り込んだらわかった。僕はここからアメリカ大陸に行く。吸血鬼が多く隠れている場所がアメリカ大陸にあるからだ。
「うお!」
足を滑らせ海にもう一度落ちた。バシャンと音がして僕の体が海の中に入っていく。僕は目の中に海水が入ってこないように目をつぶりながら海面に上がる。そして近くの岩に右手をかけて海から出る。服がびちょびちょだ。岩の上を歩くたびに靴の中に入っている水がグチョと音を立てる。バックは濡れていないみたいだ。一応、”空気層”魔術をつけておいて正解だった。
僕は少しひらけた場所を見つけてバックの中から服を取り出して着替える。左手が動かないせいで服が着替えにくい。僕は日本刀で濡れた服の腹のところを縦に切ってジャンパーを脱ぐように服を脱ぐ。左手の骨折のせいで熱があるみたいだ。海に入り続けたせいでもあるだろが頭がボーとする。僕はバックの中から缶詰を1つ取り出す。食欲があるうちに食べないと。中身は....野菜スープみたいだ。温めたいが火を起こすための薪がない。僕は両足で缶詰を抑えて右手のナイフを開けて飲む。冷たい。コンソメ味のどこにでもあるような味と具材だ。
ふと遠くを見てみると漁船とカモメの群れが見える。漁船の上に鳥が飛んでいる。あいつらを狩って鶏肉を食べたいが左手の回復がまだ終わっていない。おそらくあと2日くらいはかかるだろうか。僕は左手をナイフの鞘とさっき切って脱いだ服の布で結んで固定する。痛いな。僕はバックから毛布を取り出して、毛布に”不可視”の魔術をつけて羽織ってその場に横になる。頭の中に女性の歌声が聞こえてくる。こんなのが聞こえてくるなんてかなり疲れているのだろうか。だがそれのおかげですぐに眠れた。
〜〜〜
「アナ、腹減ったんだけどご飯余ってたりしない?」
「余ってないわ。というかさっき昼ごはん食べたでしょ?」
「あれじゃ、足らないよ。もっと作ればよかった〜」
私とオルはあの後、ラユラさんに捕まってしまった。だけどなぜか私たちのことを匿ってくれている。今は山の中にある小屋に隠れている。狩が始まる時期までは誰も使わない小屋だ。森の奥にひっそりとあって、ドライアドたちに囲まれており、私たちは逃げ出すことができない。逃げ出した場合すぐにラユラさんにバレてしまう。だから逃げ出そうにも逃げ出せない。
「オルくん、これでも食べて。二人とも足は大丈夫?」
ラユラさんがドアから入ってきた。手に桃を持っている。そして一つの桃をオルに投げた。それにオルがかぶりつく。犬みたいだな。少しは攻撃してきた相手を警戒してほしいものだな。
「ラユラさん、なんで私たちを匿っているんですか?」
「なんででしょう?」
ラユラさんが悪そうな顔で微笑む。この人の性格が読めないな。ちょっと怖いくらいだ。あの後私たちは森の中を逃げている最中、ラユラさんに足を射抜かれて捕まってしまった。そしてその後、ここに連れてこられた。もうけがは完治している。だが血を流しすぎたせいであまり動けない。立ち上がっただけでも少し立ちくらみがする。
「もう傷口は塞がりました。今は血が足りてない状態です」
「そう、多分後1日くらいで回復できると思うわよ」
「ありがとう、ラユラさん。それと今度からもうちょっとご飯の量多くしてね」
オルがもう桃を食べ切ったみたいだ。水道で手を洗っている。
「わかったわ、オルくん。それと2人とも体を鈍らせないように運動しておきなさいよ。この小屋の前のところまでだったら出ても大丈夫だからね。後これ」
ラユラさんが足に紐を取り付けられた2匹の鳥を私たちの目の前に取り出してきた。もう2匹とも死んでいるみたいだ。抵抗せずにプランとしている。
「これ今日の晩御飯の鴨ね。血抜きはしてあるから自分たちで捌いて食べてね。これは野菜ね。それじゃ、私はいくから」
ラユラさんが小屋から出て行った。小屋の中には私とオルと二匹の鴨といくつかの野菜が残った。シンクの方から水の流れる音が聞こえる。オルが鴨の羽をナイフを使いながら取っている。食べ物のこととなると少年みたいにすごく元気になる。精神年齢が幼いと思う。紛争地域にいたせいなのだろうか。
「アナ。この鴨の捌き方知ってる?」
オルがナイフを手の上で回しながら私の方を見て笑っている。本当に無邪気な子だな。危ないな。
「捌いたことないの?」
「ない!。早く捌いて食べようぜ!」
「それ夜ご飯だからね。自分の無くなっても私のあげないからね」
「大丈夫だよ。ちょっと食べるだけだから!」
私はオルの隣に立ってもう1匹の鴨の羽を取る。羽が笹舟のように水の上を漂い排水口に羽が溜まっていく。
「お腹の中の内臓を出して、首を落として。手羽先と鶏胸肉、もも肉に切り分けて」
「ごめん、どこそれ?わかんないから丸ごと焼いて食べて見ない?」
オルが首のところから鉄の棒を突き刺して丸焼きにしようとている。
「オル!。落ち着いて。私料理できないから失敗しちゃうのは避けようよ」
「大丈夫だって、ちゃんと教えてあげるから」
オルが右手のナイフをまな板に突き刺してシンクに鶏肉を立てかけた。そして左手から火を呼び出して鶏肉にまとわせる。ジュ〜といい音を聞こえる。脂がしたりシンクの中が光って見える。葉っぱの上に乗った水玉のようだ。少し獣臭い匂いがする。
「なんか臭くない?」
「鴨肉は臭いんだよ」
オルが袋の中からブロッコリーを取り出した。そしてそれをナイフで切っていく。
「アナ、そこの袋から人参取ってくれない?そんでそれを切ってよ」
「どうやって?」
「いつもナイフを持っているみたいにナイフを持って、そんで丸く切ってくれる?ってアナ。ふざけてる?」
「え?別にふざけてないよ」
いつもどうりにナイフを持っているんだが、何か間違っているのかな。
「そんな忍者がくないを持つようなやり方で切れると思うの?」
「こうするんだよ」
オルが私の背中に回って両手を脇の下から出して私の両手を握る。親指の方にナイフの刃が来るように持ち替えさせられゆっくりと人参を切っていく。トントンとまな板とナイフが音楽を奏でる。テンポがいい。
「上手だよ。そのまま、そのまま」
オルが私の右肩に顎を乗せてきた。こんな状況どっかの漫画で読んだことがあるな。エレナに借りたやつだったっけ。オルの手を振りほどき、私はもう一度ナイフをクナイのようん持ってオルの首にナイフの刃を当てる。オルが後ろに飛ぶ。
「なんだよ!びっくりした〜」
「ちょっとなんか恥ずかしかったから」
なんか焦げ臭い匂いがする。なんだ?あ!鳥が焦げてるんじゃ......。
「オル、焦げてない?」
「そんなことはないと思うけど」
オルが左手を鴨の上にかざして火を退ける。焦げているじゃないか。真っ黒だ。
「ほんとだ。焦げてたね」
「どうするの?それ」
「中の肉はいい焼き加減のはずだから大丈夫だよ。そんじゃ俺こいつ外で切って来るね」
「なんで外に行くの?」
「ドライアドたちにあげてくる」
「食べるの?肉」
「食べてたよ、それじゃ.....あっつ!!!」
オルが空中に鴨の丸焼きを投げ飛ばす。鴨の脂が宙を舞っている。綺麗だ。日光や影、木々、青空、いろんな色を取り込んでいる。私は風で受け止めて、ついでに焦げていたところを取り除いておく。綺麗な形だ。クリスマスによく見た七面鳥のターキーみたいだ。
「ナイスキャッチ、アナ。マジでビビったよ」
「こっちのセリフだよ。手、大丈夫?」
「大丈夫、ちょっと痛いけどすぐに治るよ」
オルが両手を口に入れている。どこかのゆるキャラみたいだな。
「水につけなさいよ。それと包帯でも巻いておきなさい」
「ありがとう、それと悪いんだけど巻いてくれない?そんなに器用じゃなくてさ」
「しょうがないわね」
オルが水から手を離して私の方に両手を差し出す。包帯を巻いていて気がついたが傷だらけの手だな。あちらこちらに切り傷や銃弾で撃たれたような跡がある。私は煽るの手をゆっくりと撫でる。手のひらに凹凸を感じる。
「アナ、くすぐったい」
「ご、ごめん。すぐ巻くね」
「港とエレナ。大丈夫かな」
オルが窓の外を見る。とても悲しそうな目で。
「大丈夫よ。あの2人なら」と言い。私もオルが見ている方を見る。空は少し曇っていて白色に灰色を混ぜた感じの空だ。もうそろそろ雨も降ってきそうな天気だな。
〜〜〜
「助け......」
グシャ!という音とともに1人の男の顔が目の前に落ちた。奥の方では首のところから血が出ていて体が少し痙攣している。まるで体全体に電気マッサージを受けているみたいだ。僕はバックから銃を取り出して構える。
僕の目の前には体は鳥で顔が女性の顔をした幻獣、セイレーンが100匹以上はいる。さっきの男性の死体を食っている。とてもグロい。目の前の岩にさっき見た漁船がぶつかって煙をあげている。
さっき聞こえてきた女性の歌声はセイレーンの歌声だったのか。気がつかなかった。
セイレーンは海の近くにすむ幻獣で船乗りを襲う幻獣だ。歌声で船員たちを眠らせてそれを食らう幻獣だ。
漁船の方を見ると見た限りまだ5人ほど生きている。僕は手を地面につけて命令する。
「彼らを同じ安全な場所まで運べ。それと運び終わったらできるだけ多くのセイレーンを倒せ」
5体の骸骨が寝ている人の真横から突然現れる。そして寝ている人たちを担いで僕の方に帰ってくる。安全な場所が僕のところと判断したのか。確かにこの”不可視”魔術のついた毛布の中は安全だが1人しか使えないんだよ!もっと正確に命令すべきだった
だがセイレーンがその骸骨たちに襲いかかるのは時間の問題だな。僕は毛布をかぶりながら装備を整える。左手に日本刀をくくりつけて、右手でFN P90を構える。弾は50発。左手が使えないからリロードができない。1発も無駄にできないな。
骸骨たちが僕の目の前に着いた時。僕は毛布を一気に脱いでFN P90を打ちまくる。銃声と薬莢の落ちる音しか聞こえない。ゆっくりと前に進みながらその船員の人たちを守るように立つ。そしてその音に驚いて船員の人たちが目を覚ました。僕の方を見て驚いている。それもそうだ高校生がアサルトライフルをぶっ放し、日本刀を左手にくくりつけているにだから。
「きゃー!!」といながらセイレーン5匹が左側から突っ込んできた。口を縦に開いて、鋭い牙が見える。あれに噛まれたら骨ごと持っていかれるだろう。僕は左手の日本刀の先を先頭のセイレーンの頭に突き刺し、足の方まで一気に切る。セイレーンが僕の目の前で真っ二つになって僕の横に落ちる。次の2匹は骸骨たちが短刀で串刺しにして地面に突き立てた。僕は後ろの二匹を撃ち落とす。1匹は頭に命中したが、もう1匹は右の翼に当たった。地面に顔から落ちていく。
「やめろ!どこかに行け!」
後ろの船員の1人たちがセイレーンに襲われている。目を覚ましたみたいだ。少しでも傷つけられてしまっては神の子になってしまう。僕は骸骨たちに命令する。
「彼らを守れ!絶対に近づけるな!」
僕は彼に近づいているセイレーンを撃つ。腹のところに当たって寝ている人に血が飛んだ。しまった。彼らに血がかかってしまった。
「ギャアーーーーーー」
血のついた人がかかったとことを抑えて叫び出した。当然だ。生身のただの人間が魔血を浴びると体が溶け始めるからだ。まずい。すぐに洗い流さないと。
「彼を担いで海水の中に投げ入れろ!そしてはそのまま彼を守れ!」
1体の骸骨が彼を担ぎ上げて海に向かって走るが...セイレーンが襲いかかる。僕は当てずにその骸骨を援護するように打ちまくる。そしてその骸骨が海にたどり着いた時にはもう弾がなくなっていた。セイレーンはどんどんとくる。キリがないな。
FN P90を地面に置いて腰の手榴弾を右手で持ちピンを咥えてピンを脱いて投げる。ドン!という音とともに何匹かのセイレーンが地面に落ちる。やはり不意をついて投げないと決まらないな。避けられてしまう。
「銃のリロードをしろ!」と骸骨の方を向いてい言う。そして前に顔を戻した瞬間。セイレーンが一斉にこっちに飛んできた。まずい。この数は凌ぎきれない。僕は手榴弾をもう一度投げる...が死んでいく仲間を気にもせず。僕の方に突っ込んでくる。まずいな。僕もそのセイレーンの群れに走り出す。彼らの注意を逸らさなければ。しかし、セイレーンは僕のことを無視して通り過ぎてしまった。後ろの彼らが狙いか!とも思ったが崖の上めがけて飛んでいく。なんだ?なぜ僕らを無視して飛び去った?
「あーあー。王様。なんで殺気をぶつけちゃうのさ。逃げちゃったじゃんか。あいつらの肉美味しいのに」
「そんなことより早く彼らを運べ。海の中にいる彼は集中治療室へ。初め!」
崖の上に1人の男性ともうひとりの僕と同じくらいの少女がいた。そして僕は次の瞬間、腰のSIG SAUER P22を手に取り彼らにを向けた。崖の奥から何匹もの吸血鬼が飛び出してきた。そして彼らの背中からも羽が生えた。こちらに飛んでおりてくる。
「銃を収めて欲しい。オーディンの子よ。我々は君らの敵ではない」
さっき”王様”と呼ばれていた男性が話しかけてきた。なぜ僕がオーディンの子だとわかったのだろう。だがそんなことを気にしている場合ではなかった。もしも彼が本当に王様なら彼は”ジェヴァム・ルドルフ”ということになる。そしてなぜ彼のような吸血鬼がここにいる。僕も口を開く。つばが少しドロドロとしていて唇の端が少しくっついている。
「知っているさ。エレナ・バン・ヘルを返せ」
僕はSIG SAUER P22を構えながら近づく。ゆっくりと。安全装置も解除する。
「それはできない話だな。これは我々吸血鬼に対する裏切りと捉えても構わないのかね?」
ジェヴァム・ルドルフの爪の色が黒く変わった。まずい。吸血鬼の王に勝てるだろうか。僕はトリガーに指を伸ばす。
「はははは!。すまない。君を脅すようなことをしてしまって。君はエレナの友達か何かか?案内しよう。ついてきたまえ」
僕の口が無意識に開いた。唖然としているのだ。それと同時に安心したのかもしれない。僕は膝をつく。気持ち悪さと熱で意識がとうのく。熱があるときに動き回ったのはまずかったか。僕は両手をつく。息が荒いが深呼吸をしてジェヴァム・ルドルフに話しかける。
「彼らを殺すな....頼むから。集中治療室とか言っていたが.....何をするき...オエェェ」
僕は吐いた。ゲロからコンソメの匂いが少しした。気持ちが悪い。体調が良くないのに能力を使いすぎたな。体力が限界みたいだ。僕は体を地面につける。エビのように体を曲げながら。どこからか声がする。そしてジェヴァム・ルドルフの顔が目の前にある。何か言っているがわからないな。僕の視界が真っ暗になった。まぶたが無意識に閉まり。僕の意識も同時に消えた。




