第十一話 会議っていうか説明会だな
「これより会議を始める。議題は先日、朝礼で言ったとうりだ」
曇天の空の下、ホルス先生が会議を始める。
僕らは神託の前に列になっている。ほとんどの生徒の顔は真剣そのものだ。学校とかの朝礼前のあのなんとも言えない不思議な空気とは比べものにならないくらい冷たい空気が漂う。そしてひとつ気が付いたことがある。逃げ出した生徒のほとんどが、僕と同じように外部から来た生徒たちだ。
「まずは、テュポーンの復活の阻止についてだ。テュポーンのいる場所はシチリア島の真下、封印されているのではなく、シチリア島に押しつぶされていると言った方が正しいだろう。復活についての詳しい情報はないが、おそらく敵はシチリア島ごと破壊するつもりだろう。今わかっているだけの敵の戦力は、幻獣の母エキドナ、吸血鬼、ルイン卿とその家臣50人、それと神の子200人。数では圧倒的に劣っている」
ルイン卿って誰なんだろう、僕は記憶の中を探る。あった、吸血鬼、ルイン・ウェルネス。5000年以上生きる吸血鬼の貴族だ。人間との共存を目指さない、”支配派”のリーダーでもある。
吸血鬼の世界には二つの派閥があるらしく。人間との共存を目指す”保守派”人間との共存に反対する”支配派”に分かれているらしい。保守派のリーダーはミルルの父、ジェヴァム・ルドルフがやっている。昨日エレナに聞いた。
オスカーが壇上にゆっくりと上がった。
「我々の任務は4つある。まず初めにノアの方舟の捜索。二つ目にラビュリントスの迷宮の幻獣、魔獣の掃討。そして制御室の捜索。三つ目に仲間集め。そして最後、テュポーン復活を阻止すること。それを二年間でこなす」
会場がざわつく。かなりハードなスケジュールだもんな。
「そこで今回君たちには、少数精鋭の部隊で任務にあたってもらう。1グループ大体10人前後だ。理由は大人数で行動すると敵の襲撃を受ける可能性もあるかもしれないからだ。グループはこちらで分けておいた。今日中にメンバーと任務について通達されるだろう。ここまでで質問はあるか?」
「仲間とは具体的に誰ですか?」
僕の隣の人が質問した。
「ケンタウロスを筆頭とした獣人族。精霊族、エルフ族、小人族、巨人族。彼らは一応、我々神の子に協力してくれるらいがほとんどの種族が数が少ないく力がない。ほとんどの種族が戦い向きではない。そこで私たちが仲間に引き入れようと考えているのは。アマゾネスと吸血鬼の”保守派”のグループだ。彼らを味方にしたいと考えている」
なるほど。僕はいい考えだと思うが、吸血鬼を恨んでいる生徒たちには反対するだろう.........と思っていたがそうでもなかった。みんな吸血鬼のすべてが悪い奴らではないことはわかっているみたいだ。
「なぜノアの箱船を探すんですか?」
ーノアの方舟、別名、ノアの戦艦。大洪水とはもともと人間を殺すためではなく、人間を助けるために海の神ポセイドンによって行われた。地上にいる魔獣、幻獣を駆逐し人間の住みやすい世界を作るそれが神々の目的だ。ノアの戦艦とはその時に神と共に魔獣、幻獣と戦うために作られた船である。ー
僕は図書館の文献のノアの方舟について思い出した。オスカーも同じように説明した。
「今回の戦いはこの世界の命運がかかっていると言ってもいい。そして絶対に失敗できない。各々そのことをしっかりと心に刻め。以上。解散!」
案外早く終わったな。もっと時間がかかるものだと思っていたが。
僕はその足で学校の図書館に向かう。少し白猫に用があるからだ。
〜〜〜
「港、何の用だ?」
白猫は随分とあっさり見つかった。学校近くの木の上でうたた寝してた。
「用というのは、図書館についてです。白猫さんは以前この世の全てを書き溜める、と言っていましてよね」
「よく覚えていないが、そんなことを言ったはずだ」
「じゃあなんで、ミルルのことが書いてなかったんですか?」
白猫が少し黙った。何かまずいことを聞いてしまったんだろうか。
「少し細かくいうとな、あの図書館は確かにこの世の全てを書き溜める。だがそれは人間の世界で起こったことだけだ」
どういうことだ?
「ミルルの生まれた場所が人間の世界ではなかったんだ。だからわからなかった。ただそれだけだ。あまり深く考える必要はない」
何かしっくりこないが、そういうことなんだろう。白猫は何か隠している気がするが今は触れない方がいいのかもしれない。もう少し仲良くなったら聞いてみよう。
「ありがとうございます」
「用はそれだけか?」
「そうですけど....」
嘘だ。何個かあるが聞いてはいけない気がする。
「そのくらい自分で解決しろよ。私の睡眠の時間を奪いやがって」
「すみません、次からは気おつけますから」
「まったくだ」
白猫が顔をふせて眠ってしまった。なんかいつもより機嫌が良くなかった気がする。寝起きだからだろうか。猫も人間も寝起きは機嫌が良くないってことだな。
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少なくなくてすみません。明日はいっぱいあげるので楽しみにしてて下さい。
よろしくお願いします。




