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ある日、僕は神様の子供になりました。  作者: tomo
アルツベン高校
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第十一話 戦闘開始!

 パンツの替えが欲しい。パンツがびちゃびちゃで、ものすごく気持ちが悪いし冷たい。ズボンも濡れている。訓練着が防水だったらどんなによかったどうか。まさか、一太刀受けただけで小川まで吹っ飛ばされるとは思わなかった。判断を間違えた、あれは受け流すべきだった。...... 決して漏らしてはないぞ。


「港とか言ったか、俺の剣を食らって倒れないとは、なかなかやるじゃないか。でもどうやって俺を倒すつもりだ?」


 脳筋バカ(ボス・アルシュ)が地面に大剣を突き立てこちらを見ている。彼の後ろにはフラッグがある。あれを取れば勝てるが、そう簡単にはいかない。

 

 腰にかけている、SIG SAUER P226の残りのゴム弾を全てボスの頭めがけて撃つ.....がボスの右手に当たった瞬間全てのゴム弾が粉になった。そしてボスも銃を抜き僕に向かって3発撃ってきた。


 僕も能力には能力で対抗する。左側からゴム弾の情報を読み取る。”左太もも”、”股間”、”右膝”の順で当たる。

 息子はちゃんと守らなければ!


 僕はそれらを日本刀で切る。股間のところはかなり慎重に、もしも失敗して息子を切り落としたら大変だ。しかし股間を狙ってくるとは最低なやつだな。


 ”破壊の力”。自分の体に触れたものを破壊する。これがボス・アルシュの能力だ。この能力が厄介すぎる。さっきから色々試しているが、銃は当たっても全く効果がない。


 「さっきから言ってんだろ、俺に銃は効果がない。さあ、どうするのかな?」


 ボスは地面に突き刺していた大剣を片手で持ち上げ、肩にかけると僕に向かって走り出してきた。僕も急いで腰の日本刀を両手で構える。


「おら、かかってこいや!脳筋バカ!」

「さっきからうるせーんだよ、お前!ぶっ殺す!」


 ボスのこめかみに血管が浮き出た。怒ってる、怒ってる。だが計画を始めるにはまだ時間がかかりそうだ。僕一人で耐えられるだろうか。


〜〜


 雨で服が濡れて体にくっついて気持ち悪りぃ。港が一人でフラッグを取りに行ってから大体20分くらいがたったな。


「港とか言ったっけ?一人でうちらのボスに挑みに行ったやつ?死ぬぜ、あいつ」

「うるせーよ、戦いの最中に喋り掛けるな!」


 俺は右手の盾で切りかかってきた相手を押し飛ばし、左手のFN P90で相手を撃とうとする....が、目の前が一瞬で明るくなるせいで目が開けられず狙いが定まらない。相手の能力が厄介だ。


「アナ!エレナ!そっちのやつ早く片付けてくれないかな!俺の能力使えないんだけど!」

『うるさい!』


 エレナとアナの返事が被った。少し面白かった。


「オルだっけ?しぶといなお前、さっさと降参しろよ」

「余計なお世話だ、このボケ!。さっきからピカピカ眩しいだろうが!このチビ!」

「うるさいやつだな、死ねや!」

「致命傷ダメだって聞いてなかったのか!?」


 相手がまた走り出し、突っ込んできた。相手の両手には”ジャマダハル”という北インドにある剣がある。拳の先に剣の刃があり、手で握って殴るように使う独特な剣だ。盾が一つしかない俺にはきつい相手だ。


 相手がジャンプして右上から切りかかってきた。俺はそれを盾で受け止めて、左足で蹴るが、当たった感触がない。後ろに飛んで避けられたみたいだ。背が小さくてすばしっこいやつだ。猿みたいに走り回っては隠れている。


 突然、視界がさっきとは比べ物にならないほどの光で覆われた。あれか!と思うと、俺ははしゃがみこんでフラッグの前の地面に盾を突き刺し、体全体を隠す。

 ダダダダッっという発砲音とともに盾に衝撃が走る。これが実弾だったら防ぎきれないかもしれない。


 俺もすかさず、音のする方に撃つ。当たっただろうか、しばらくして相手の攻撃が止んだ。どうするべきか、と立ち上がろうとすると盾が持ち上がらない。くそ!やられたかもしれない。盾の表の方を見ると一枚の紙が貼ってある。読めないが、このままにするのはやばいのは確かだろう。


 俺は手のひらに火を呼び出した。あまり力を使いたくはないが仕方がない、しかし雨が強くて、火を手のひらに保てない。


「もらった!」と草むらからさっきのやつがフラッグに向かって走り出した。


俺はとっさに相手に向かってFN P90を乱射する。


「うお!あぶねえな!」


 相手が後ろの草むらの方に飛んだ。この時を待っていた!相手に向かって銃を向けた時、相手の顔から戦意が消えた。諦めたらしい、目を閉じた。俺は引き金を引く。


 カチッっという音がなった。弾が切れてたみたいだ。やらかした。弾の数、数えるの忘れた。

着地と同時に相手が叫んだ。


「バカが!弾の数くらい数えておけ!」


 目の前がまた光に包まれる。


〜〜


 エレナはその瞬間を見逃さなかった。オルの目の前がものすごい光で包まれた瞬間、光の中からグレイが飛び出してきたのを。狙いはフラッグだ。フラッグに向かって手を伸ばしている。


 エレナはそのまばゆい光でできたオルの影の中にフラッグを隠す。そしてオルに向かって叫ぶ。


「オル!右回りで地面を這うように右足を振り切って!」

「オラァァ!」


 オルが指示どうりに右足を振り切ると、オルの右膝がグレイの顔に直撃した。


 「あがぁ!」という声とともにグレイが吹き飛んで岩に当たって倒れた。白目を向いて口から泡を吹いている。


「どうだこのやろう!」


 オルが叫んだ。嬉しかったのだろう。


「サンキュー、エレナ。ナイスアシスト!」

「ナイスキック!オル!」


 まるでサッカーの試合中、点を決めたみたいだ。


〜〜


 アナはエレナとオルの戦いを見ていた。


 さっきまであんなに顔色が良くなかったエレナをここまで回復させられる港の力には尊敬する。友達一人助けられない私とは大違いだ。しかしそんなことを気にしてる暇はない、エレナの境遇を聞いた今、私は目の前の戦いに集中しなくてはならない。


 アナは戦いながら準備室であったことをおもいだした。


〜〜


「みんなに聞いて欲しいんだけど、僕らは初めは攻めに行かない。相手が何人で攻めてきたかで僕が作戦を出したいんだけどいいかな?」

「それはいいけど、なんでそんなに本気になってるの?別に負けてもいいのに」

「それもそうなんだけど、少し訳があって..」


 私は準備室で港とオルと話していた。

 エレナはその時見た所、恐怖のせいで話すことすらできなかった。


「エレナ!大丈夫?」


 私はエレナの顔を上げさせた。そこには苦しそうな顔があった。オルと港も心配そうにこっちを見ている。

 私は力一杯エレナを抱きしめた。

 

 そんな中、急に港が口を開いた。


「エレナ、僕は君を絶対に守る。君が怖がっているのはボス・アルシュだね」


 告白!?なんて少しワクワクしたのは内緒だ。オルもそう思ったらしく、二人でしばらくニヤニヤしながらエレナを見ていた。


 すると港とエレナが何か話をし始めた。何を話しているかはわからなかったが。二人の真剣な顔からとても大切な話をしているのがわかった。


 しばらく、エレナと港が話した後、港が話してくれた。エレナの境遇について。


 初めは、「僕たち付き合います!」なんていうのを予想しいて、話の内容をよく理解できていなかったが、だんだんと理解していくうちに反吐が出そうになった。確かに、彼らの境遇も辛いものかもしれないがそれをエレナにぶつけるのはあまりにも理不尽な話だった。あまり怒らなそうなオルまでがイラついていた。


〜〜


「戦いの最中に考えことか?アナ・キルアよ」


 槍が先端が目の前にきた。私はそれを首を曲げて避ける。そして槍を構えたまま、一旦後ろに下がり距離をとる。やはり男の腕のリーチの長さにはかなわない。


 目の前の相手はアレク・ジョーダン。インド神話、暴風雨の神、ルドラの子。能力は”暴風雨”。名前のとおり暴風と暴雨を操れる。


 オルが能力を使えないのは彼の能力のせいだ。雨で火を消されてしまっている。武器も私のに少し似ていて、”マルドギール”というインドの先端の横に鎌がついている槍だ。


「仲間がやられたのにいいの?」

「問題ない、我々が彼の仇を取ればいいまでの話だ」


 こいつのこの気取った口調は大嫌いだ。


 そして、後ろのやつがさらに厄介だ。サシャ・ブラウン。ギリシャ神話、掟の神、テミスの子。能力は”不変の掟”。彼女が紙に書いた掟を物または生き物に貼ると貼られたものまたはその中にいるものは絶対にその掟を破れないという厄介な能力だ。

 

 さっきからうまく暴風を呼び出せない。アレクの能力の方が暴風を呼び出すのに適した能力なのもあるが、おそらく彼女の能力が大きく関わっているのだろう。


 腕に色々な紙が貼ってある。彼女が掟を書いた紙だろう。アレクの槍にも何枚か貼ってあって、それも注意しなければならない。

 

「アナ!、ごめん遅れた。今どんな感じ?」


 エレナが戻ってきた。大きな鎌を肩にかけながら。見てるこっちが肩に重さを感じる。


「大丈夫だよ、エレナ。それともうそろそろだと思う」

「それじゃあ、時間稼ぎに行ってくるね。できたら合図よろしく」


 エレナが大きく鎌を振りかぶってアレクに突っ込んでいく、元気になってよかった。


「頑張れー。エレナー、アナー」


 フラッグの近くからオルの応援してくれている声が聞こえた。

 作戦とはいえ、のんきに座っているオルを見るとイライラしてきた。これが終わったらオルに一発蹴り入れてやろう。


「ありがとう、オル。あとで覚えてなさい」


 なるべく低い声で言ったせいか、オルが縮こまって顔を背けた。そんなに怖い顔だっただろうか。帰ったら鏡の前で見てみよう。


「アナ〜、ごめん、変わってー」


 エレナが押され気味になっている。


「わかった、エレナ。今、変わる」というと私は両手に槍を構えるとそのまま突っ込んで行った。

 

 アレクの近くに来るとジメジメとした空気が漂っている。順調に進んでいるみたいだ。


「やっときたか、アナ・キルアよ。貴殿と槍の決着をつけたかったところだ」

「今の世の中、貴殿とかいうやついないわよ!」


 私は槍で右肩のあたりを狙って突く。体を左に動かし避けられたが、そのまま右上から左下に向かって槍の刃を下げる。


「うお!」


 アレクが少し体勢を崩した。しかし崩しながら右腕で私の槍を地面に叩きつけた。そして右足で私の槍を踏みつけると、左手で槍を回した。私の脇腹に槍の胴の部分が迫ってくる。


「アナ!」


 エレナが鎌の内側で、槍の胴のところを止めてくれた。


「ありがとう、エレナ。それともうそろそろ、準備始めて!」

「わかった!アナ」


 エレナが鎌でアレクの槍を弾いてから、後ろに下がった、そしてオルのところまで走っていく。

そのすきに、私も槍をアレクの足から引き抜くと後ろに下がった。


「貴殿ら、何か策でもあるのかな?」

「うっさいわね、あんたの口調大っ嫌いなの!少し黙ってて!」

 

 アレクの顔が少し赤くなった。そして笑っている!?いや喜んでるのか?さてはこいつMだな。


 風が私の耳元を通った。合図だ。


 「死なないでね」と言い残すと私はエレナの方に走り出した。


「貴様!、逃げるのか!」


 後ろで、アレクが叫んでいる。


「オル!火!」

「任せろ!」


 オルが両手を前に出して火を呼び出して林に火をつけた。火柱が立った。しばらくしか持たないだろうがそれで十分だ。


「アナ!早く!」


 エレナがオルの盾でできた大きな影の上にいる。オルはもうすでに中に入ったようだ。なんかムカつくな。


 エレナが私の手を握った。


「いくよ、アナ」というと私は人生で初めて影の中に入った。

その後、どうなったかは外に出た時、風に聞いた。


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