プロローグ
投稿初めての初心者です。
暖かい目で読んでいただけると嬉しいです。(><)
よろしくお願いします!
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雨の降る日、僕はある屋敷の前に立っていた。
「ここは...?」
ふと街を見ると街は炎に包まれ人々の悲鳴が聞こえ
空にはがトカゲに羽をつけたような生き物が飛び、不思議な生き物が人々を襲っている。
バン!!!
ドア?門?が開き二人の大人が出てきた。
一人は鋭い鉄でできたもを持っている。
「僕!お父さんとお母さんはどうしたの?」
わからない
「お父さん、お母さんってなに?」
僕の前にいる二人は驚いたような顔をした。
しかし突然顔色を変え僕の手を引っ張って家の中に走りだした。
「僕!いいからこのばあさんと屋敷に入りなさい!その頭の怪我もすぐ手当てしないと」
僕の頭からは赤い液体が流れていた。味はなんと言えばいいのだろう、少し苦いのか?
「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ。お名前わかるかい?」
「みなと?成瀬港」
名前というものがわからないが多分これで正解だろう
成瀬港これが僕の知っている唯一のことだ。
キュイン!
ふと後ろを見ると背中の中を生き物が通ったかのような感覚に見舞われた。
後ろではさっきの髪の白い大人と背中から羽が生え、爪が真っ黒な大人が火花を散らして戦っていた。
次の瞬間、髪の白い人が蹴られ僕の横を飛んで行って近くの木にぶつかった。
「ウゥ..」
「あんた!」
ばあさんと呼ばれていた人が僕の手を引いて近くに走って行った。
口から赤い液体が出ている。
「師範!中に入ってください!ここは私たちがなんとかします!」
屋敷から手に棒みたいなものを持った大人たちが走り出して来た。
「やめろ!!木刀では歯が立たない!中にもど....」
バキバキバキ!
走って行った大人から赤い液体が吹き出した。背中から白いものが見える。
まさに瞬きをするぐらいの速さで羽が生えた大人が前の一人に噛み付きそれを吸っている。
あれは飲むものなのか?
僕も自分の頭にある赤い液体をもう一度舐めて見た。
「ウエェ」
あんまり好きではない
「港君!走って!屋敷の中に行くよ!」
「あんた!死んだらぶっ殺すからね!」
「老人には優しくしろよ。老人のくせにそんなこともわからんのか」
「蹴り飛ばされて血を吹いたのに生きている奴が老人なわけあるか!」
僕は白い髪の人の脇の下に頭を通して運ぶのを手伝った。
「横山!そいつを射ろ!」
白い髪の人叫んだ瞬間
ヒュ!
何かがものすごいスピードで羽の生えた大人に向かって飛んで行った。
しかし羽の生えた大人は人を噛んだままそれを避け飛び塀の上に立った。
「あっぶねえな!何すんだてめぇ!」
「こっちのセリフやボケェ!うちの家族に何してんだ!」
上に横山という人がいるのだろう。声が聞こえる。
「黙れ餌ども!貴様らは我々吸血鬼の餌だろう!なにふざけたこと言ってやがる!」
塀の上にいる人は吸血鬼というらしい。
「まあいい。腹も膨れたし我らの王のところに帰るとしよう。これは我からの洗礼だ。我らを生き返らせたな!」
吸血鬼は飛び立って闇に消えて行った。
「あれ全て人間が作ったのか?」
ふと顔を上げると周りの大人はみんな顔が青白かった。
全員赤く燃える街の方を見ている。僕も同じように街を見る。何かが爆発したらしい。
強風が僕らを襲い僕はその場にこけた。
「いって」
僕の言葉に反応したらしくその場の全員が僕に目を向ける。
師範という人が口を開けた。
「急いでお前ら屋敷に避難しろ!横山降りてこい!このガキを連れて屋敷には入れ!」
「はい」
横山という人が降りて来て僕を抱えた。
「おい少年」
少年とは僕のことだろうか
「はい?」
「俺らの師範に感謝しろよ、お前を助けると言い出したんだからな」
「はい」
この胸を掴まれている感覚をなんというんだろう
「それとな」
横山という人は話を続ける
「死んだ俺の姉ちゃんに感謝しろよ」
横山という人の声は震えている。
僕は”姉ちゃん”という言葉に違和感を覚えた。僕は”姉ちゃん”というものを知っている。
その言葉は僕にある情景を思い出させた。
〜〜
「港!逃げなさい!お姉ちゃんは走れないの知ってるでしょ!」
「やだ!なんで父さんと母さんまでいなくなったのに姉ちゃんまでいなくなろうとするんだよ!」
パン!!
この音と同時に僕の頬に痛みが走った。
〜〜
そうだ僕には”姉ちゃん”がいた。
〜〜
「逃げなさい!私はもういいの!だから逃げて!」
「嫌だ!」
僕は姉ちゃんを背中に背負って歩いてこの屋敷を目指した。
だが突然姉ちゃんは背中を押した。
「何すんだ姉ちゃ...」
そこには姉の首を噛むさっきと同じ吸血鬼がいる。
「に..げて、港」
「姉..ちゃん..?」
「逃げなさい!港!」
僕はなぜか走り出した。お姉ちゃんを失いたくないという気持ちがあるにもかかわらず。
後ろから姉がもがく声が聞こえる。まだ戻れば助けられるかもしれない、そう思った瞬間、姉ちゃんの声が止まった。
姉ちゃんはどうなったのか、生きているのか、しかし僕は後ろを見れなかった。なぜならお姉ちゃんは死んだからだ。
僕の目の前にさっきの吸血鬼がいたからだ。僕は逃げた。とにかく逃げた。こけて頭を打っても山道を走り続けて、そしてこの屋敷についた。なぜ逃げ切れたのかはわからない。あの吸血鬼が逃がしてくれたのかはわからない。
〜〜
「お前」
横山さんが驚いた顔をした。
「泣いてるのか?」
僕は泣いていた。そうだ僕には姉ちゃんがいた。横山さんと同じように。
最後の最後まで怒り続けて優しい言葉すら言ってくれなかったけど最後の最後で僕に少しの間だけど無くしていた
記憶を感情を戻してくれた。
「はい、すびバゼン」
「お前、感情持ってたんだな。こんな状況でも泣きもしないガキだからてっきり心がないんだど」
「そのとおりです。なかったです。でも姉ちゃんが思い出させてくれました」
「そうか、お前にも...なんとなくわかった。一つお前に教えてやる」
ふぅっと息を吹くと横山さんは続けた。
「これからは俺がお前の兄貴になる。それと泣くな笑え。涙は麻薬のようなもんだ。泣けば嫌な気持ちも忘れられる。だから人は苦しいことがあるとすぐに泣く。それが悪いとは言わない。でもなこれから泣いても忘れられない気持ちもいつかきっと出てくる。だから笑え。それが強いものの証だ」
とても綺麗でまっすぐな目をしていた
「わかりまじだ。それじゃ兄さんひとつお願いがあります」
「なんだ」
少し驚いたような顔をした。
「僕に剣術を教えてください」
「そこは弓道だろ」
「嫌です。兄さん」
「まあいい」
「兄さんって呼ばれんの気分いいですか?」
「は?」
「だって顔が笑ってますよ。兄さん」
「あははははは!生意気な弟を持ったもんだ」
「覚悟しとけ、うちの親父は厳しいぞ」
「頑張ります」
僕は思っ切り笑った。
「なんだ笑えるじゃねーかよ、 港」
また泣きそうになったのは内緒だ。




