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第3話「特許状」⑦




10歳でテニーは、イオタン王に勇者として特許状を受けた。


それまでも彼は、怪異と言えるほどの逸話を数々巻き起こしていた。

一夜で山の木を全て切り倒したり、川を大岩でせき止めてみたり怪力無双で知られた。

4歳にして大の大人であっても殴り殺した。


彼を養子としたのは、ギドという邪教徒の商隊を率いる男だった。

商才だけでなく争いの調停役を務めたり寄付や慈善事業などでも知られ、人柄も人望を集める名士として知られていた。

だがテニーは、彼の手に余る怪児だった。


5歳の時、何を思ったか街を襲撃した。

これに養父ギドが驚いて南部諸侯のタルホー公に身柄を引き渡した。


しかしテニーは、タルホー公の城から逃げ出した。

牢を破り、兵士たちを撲殺すると城壁をよじ登って堀に飛び込んだまでは良かった。

流石に城壁に手間取っている間に兵士たちに囲まれてしまった。


だが兵士たちもテニーに恐れをなし誰も近づけない。

怖気づいた兵士たちを突破するとテニーは、国境まで逃げ切って養父ギドのもとに帰り着いた。

途中で人質を取ったり、民家を襲ったりと悪逆非道を尽くした。


また6歳になる前に女体の神秘を知った。


しかし絶えず相手がいる訳ではなかった。

そこで、はじめ家畜を犯し、野菜などに穴を空けて我慢した。

それも長く続かず養父の商隊が滞在する街でレイプを繰り返した。


それでも我慢できず頻繁に手淫した。

商隊の誰かが彼に教えたらしい。

余りに多く何人かが手淫中の彼を見ている。


商隊が移動する間の馬上では、腰を前後に振り、鞍遊びした。


また陰茎を鍛える為として奇妙な行動を験すようになった。

地面に穴を掘って、そこに陰茎を出し入れしたり、岩で陰茎を叩いたり、草の汁をこすり付けたりした。

寒風吹き荒ぶ山々で風に当たり、冬の海や川に飛び込むなどもした。


さらに好んで肉や乳製品、精力の着くとされた食べ物を求めた。

時にテニーは、鳥獣を生きたまま猛獣のように食らったともいう。

ルーヴグリンでは、海外の珍しい果物や酒などは、媚薬として信じられたため、これらも求めた。


鍛えた甲斐があったのか露出狂のように陰部をさらけ出して人に見せ付けた。

この時、3kgある鉄兜を陰茎で持ち上げたという。


テニーは、7歳の時、預けられていた養父ギドを殺した。

その上で養父の妻たち、商隊の女たちを一晩で犯した。


養父を殺した理由は、分からない。

弾み、過失であったと言われた。


その後、父の率いていた商隊に代わって凶賊たちと徒党を組んだ。

テニーの凶党は、南部王国の各地を襲って利益を北部にもたらした。

穀物や必需品、美術品などの珍しい品、奴隷、家畜。


やがて街をまるごと一つ手に入れた彼は、そこに女たちを住まわせ遊郭にした。

彼と彼の部下たちのハーレムで、巨大な歓楽街であった。


テニーは、毎日、一日中、可能な限り何人もの女を犯した。

最も多い人数で50人を相手にしたと語り、十月十日後、同じ年の同じ月の間に何十人かの子供を確かに産ませている。


精力情欲だけでなく、いよいよ悪魔じみた怪力も人間離れしてきた。

百人力の大岩を一人で動かし、王都の近くに6つ積み上げた。

専用の大弓を作らせ、ある時、1本の矢で鎧を着た兵士8名を諸共貫き、別の時には、矢で船を沈めた。


性欲と破壊欲の猛りが治まらなければ三日も続けて暴れ回った。

もう体一つでは、足りないような暴走である。




やりたい放題のテニーは、怒らせれば何を始めるか分からない危険な爆弾だった。

彼が勇者として特許状を受けたことは、諸侯が仰天した。


彼は、どちらかというとカトルダマ人である。

魔王軍に着いても不都合はない。

あの凶暴な怪童が敵に回るのは、危うい。


そもそも彼は、悪党だがイオタン王には、礼節を尽くしている。

彼は、北部風の名前を名乗り、北部王国に属していると考えているらしい。

そんな彼を拒絶するのも不憫と王も考えたのだろうか。


それ以前に王の処刑者に推薦する意見もあった。

だが彼は、北部王国領内では、罪らしい罪は、犯していない。

免罪される覚えはない。


ともかく味方に回るというなら断る道理はない。


今現在、彼は、14歳になった。

産ませた子供は、数知れず、その何倍もの女を犯し、その十倍の敵を殺した。

彼の現れるところ破壊と殺戮と狂乱が起こり、立ち去った後には、何も残らない。


「彼もワズール王の王孫まご

 父上に恨みがあるのでは?」


「いや、彼は、出生を知らないはず。」


北の王太子・小イオタンの問いかけにユービット公が即座に答える。


キャファイス姫も今年で29歳になるが息子には会っていない。

彼の恐るべき逸話を聞いて母親の彼女も会うのを怖がっているのだ。

何といっても養父を殺し、その日のうちに養母や父の愛人、姉妹、使用人に至るまで全員犯した怪物である。


その場に自分が居合わせなかったことが不幸中の幸い。


「…テニーの戦闘力をサーテオ殿は、高く評価している。

 確かに特許状を取り上げるべきではないかも知れん。

 だが…。」


ユービット公は、諸侯をなだめるためサーテオの献策を実行した。

一先ず三名以外の特許状を取り下げ、諸侯に彼らを召し抱えさせた。

その上で三名を王都に召喚した。


だがトリオリ伯は、一足早く脱落した。

やはり貴族の子弟である彼にとって父や兄のもとで行動するのが理に適っている。

本人の意思がどの程度かさておきサンファイル公の意向が絡んでいることは疑いようがない。


一方、案の定、シバイは、召喚に応じなかった。

本気で取り下げるつもりがないと思っているのか。

あるいは、今回も彼個人に出向くことが出来ない事情があるのか。


結局、召喚命令に応じたのは、テニーだけだった。

彼は、情婦や手下を引き連れて王都まで上洛した。


まず彼が飼っている自慢の馬群が王都の城壁を何度も周回した。

先頭の馬群と最後尾の馬群が輪を作り、王都を包囲するほどの頭数だった。


次に裸の女たちが街中を練り歩いた。

自分で乳房を掴み、両足を広げ、群衆に向かって煽情的に振る舞って見せた。


最後に手下の豪傑たちが入城した。

それぞれが力自慢、技自慢を披露して大岩を持ち上げたり、巧みな弓や剣、槍の曲芸を見せた。

また早食い、大食い、飲み比べを披露して自分たちの肉体を誇示した。


特にテニーは、力と技、食べ比べ、飲み比べ、全てで皆を驚かせた。


王城では、魔王軍や南部王国から奪った宝、戦利品の数々が展示された。

どれも城内の廷臣たち、王の家来たちが驚くような珍しく素晴らしい品々である。


「この中から望むものを皆、選んで財とするが良い。

 テニー様の心許しである。」


クマの様な大男が並べられた財宝の前で叫んだ。




「召喚命令は、イオタン王の勅命である。

 摂政殿下、陛下に御取次ぎを。」


テニーは、ユービット公に面会するなり、王と直接交渉すると言い張った。

それ以降、王弟の交渉は、這う這うの体である。


「私は、これまで南部の都市を幾つも陥落させ、敵陣を破ってイオタン陛下の王国のために戦ってまいりました。

 魔王軍が敵となって勇者を拝命してからも、誰よりも多く殺し、誰よりも長く戦って来た。

 今更、私以外の勇者に一元化するなどと滑稽、滑稽、滑稽千万。」


「ま…」


ユービット公が何か言おうとするとテニーは、背を向けて歩み去った。

ルピオは、謁見の間から出て来たテニーを見た。


短く刈られた髪、幼さの残る子供のおもて

髪、両耳、首、上腕、手首、太腿、足首と全身例外なく眩い宝石と金細工がはめられている。


身体は、ほとんど裸で上半身は、胸元が大きく開き、両肩に僅かな羅紗がかかっているのみ。

下半身も腰巻があるだけで後ろは、尻穴以外に隠している部分がない。

しかも陰茎の大きさ、形がハッキリ分かるような装いである。


王都に来て以来ずっと日に一回、ユービット公に一言二言喚いてからすぐに退散した。

後は、大勢の男女と猥らな狂態に励むのみ。


「ルピオ。

 風間殿にお伝えください。


 テニーと決闘で雌雄を決する他にないと。

 貴殿の覚悟が決まり次第、王の御前にて決着を着けん。」




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